the Evil that めんどう
めんどいのです。
善人たろうと気をはりつづけるのは疲れるけど
悪人をやるのもめんどう
もし悪人を気どる覚悟があるんなら
うしろ指さされた背中がちくちくしても
甲羅でも背負って やりすごせ
正面きって つきつけてくるやつらには
つらの皮あつくして はじき返せ
悪い奴ほどよく眠るのさ
積み上げた枕の高さと
貪った惰眠の深さを 競い合うがいい
生き馬の目を抜き 死に馬の骨を買いつけ
築いたものの下敷きにしては
縦横無尽の人柱をはりめぐらせるように渡せ
きりきり痛む胃だなんて 知らぬはなしだと
酒池肉林を浴びて がははと笑い
そんなこんなのツケがやがてまわってきて
討ちとられたり 吊るされても悔いはねえぜと
朗々と辞世の句を詠むために
その生涯を賭して悪の華を咲き誇れ
なんてこった 冗談じゃねえ
悪人をやるってのは こうもめんどうなのか
善人の気疲れとはまたべつの気苦労
こんなんじゃ わりにあわねえよ
the Evil that めんどう
おれは悪人にゃあ むいてない
かといって善人やるつもりもないから
ただの小狡い小市民として生きよう
the Evil that めんどう
肉を切らせて 骨折り損のくたびれ儲けなんて
よくもまぁ やるもんだよな
悪人も善人もめんどい。