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Prologue
深い深い穴に落ちていた。
あたりは真っ暗で何も見えない。
ただ向かう先にうっすらと暖かさを感じた。
その他には何も感じられない。ただの闇だ。
だんだんと、落ちているのかどうかも怪しなってくる。
ここはどこなのか、なぜ私は落下しているのか、これは夢なのか、なんなのか。
一寸の光もなく、指先さえ見えない。
これは本当に自分なのか。
わからない。
わからない。
わからない。
気が狂いそうだ。
わからない。
暗闇が思考にも潜りこんでくる。
もう何も考えたくない。
もう何も、考えられない。
きっとこれ以上は壊れてしまう、私という存在が曖昧になって、消えてしまう。
ならば、と、そこで全てを手放した。