信じるものなんて。
少し悲しい話になります。
周りに溶け込むように、静かな動きで校舎を歩く。
ささっ、と足音を立てないように、ゆっくり、ゆっくり___
みんなの足取りは重く、そのまま空気も重い。
誰一人、声を上げる人なんていない。
誰一人__みんな同じで。
同じだからこれは「日常」で。
「…おはよう」
「…おは」
短く、仲のいいクラスメイトと挨拶を交わす。
仲が良い。その関係は、この会話だけだ。
この朝の挨拶しか話をしない。
それが、「日常」で。
この世界の、理で。
腐り切った、この世界の__
「…『手無し』のくせに」
「__ぁ…」
くすくすと、笑いが広がるその光景に。
「…あんたと『仲が良い』だったとしても、助けるつもりは_ないから」
くすくす。
「__。__あっそ」
くすくすくす。
「捨てられたのに、な〜んにも言わないの?」
くすくすくすくす。
「__。別に。もう、そんなことは、私にだって__」
くすくすくすくすくす。
「今度は、どんな風にして、私たちを笑わせてくれるの?」
「__!」
くずくずくずくずくず。
そんな言葉に
そんな世界に
そんな、私に
「…手なんていらない」
「…どうせ、なにも、掴めないから」
静かに、静かに、廊下に輝く。
黄髪少女の持つ、
華やかで、でもどこか寂しい黄色の_
彼岸花が、咲いている。
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