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サイアイ

 レミリーのクラウス奪還作戦から一週間が経過し、レミリーはクラウスと共にいた。


 そこはレミリーの別荘の地下室。


 薄暗い地下室で2人きり。


「ねえ、クラウス? あなた、本当に私を愛してる?」


「はい、愛してますよ」


 クラウスは裸の状態で手足を鎖で拘束され、地下室の壁に(はりつけ)にされていた。


「私、信じられないよ」


「愛については信じてくださいとしか言えませんね……」


「でも、クラウス逃げたよね? 結婚式から逃げたよね?」


「……」


「ねえ、あれはどうして? なんで逃げたの? 私が嫌だった? 嫌い?」


「そ、そんなことはありませんーーっ!」


「嘘よっ!」


 ぱしいいいいんっとレミリーがクラウスの体を鞭で強く打った。


「本当に愛しているのなら結婚式に来ないなんてあり得ない! 他の女と駆け落ちするなんてあり得ない! 違う?」


「……」


「答えなさいっ!」


 再度レミリーの鞭がクラウスを打つ。


 クラウスは小さく呻いてから答えた。


「あ、あれは気の迷いでした」


「気の迷い? 駆け落ちする手紙を残しておいて?」


「……そ、それは」


「あなたはもうなにも言い訳できないの。逃げ道はないの。いくら謝っても許してなんかあげない」


「……」


「なあに、その目は? 許してあげるって言ったのは嘘かって顔ね。嘘ではなかったけれど、私、偶然見てたのよねえ」


「……何を」


「あなたが他の女とキスしてたところ」


 平坦なレミリーの声にクラウスははっとする。


「私、目が良くてね。遠くまで見えちゃうの。だから見えちゃった。あれが、あの女があなたの最愛?」


「……ちが、……」


「ほうら、言いきれない。違いますって言えない。だって、あなたの最愛はあの女だから。裏切るようなことを言えないのね」


 レミリーはため息を吐き、クラウスの顎を掴んだ。


「ねえ、クラウス」


「何でしょう、レミリー様……」


「私、あなたと結婚するのやめるわ」


「そ、それはどういう?」


「だからって勘違いしてはダメよ。あなたはあの女の元には返さない」


 ふふふふふ、と不適に笑うレミリー。


「あなたはこの地下室で私のペットとして生きてもらうわ」


「何を言ってるんですか……?」


「言葉の通りよ。あなた、顔は超絶私の好みだからね。このままポイしちゃうのは勿体ないのよ。だから、私の玩具にしてあげるわ」


 大丈夫、大丈夫と諭すように言いながらレミリーは磔のクラウスにそっと抱きついた。


「安心しなさい。ちゃんと"愛"を込めて遊んであげるから」


 クラウスは後悔した。


 てっきりレミリーの夫として大人しく暮らしていけば良いと思ってたのが失敗だったと気がついた。


 裏切りでレミリーがここまで狂うとは思わなかった。


 その性格からもう少し強い女だと思っていた。


 あるいは処刑されるものだとも思っていたが、地下室で飼い殺しにされるならそっちの方がマシかもしれなかった。


「ねえ、クラウスあなたは私を愛してる?」


 二度目の問いかけ。


 全てを察したクラウスは今度は正直に答える。


「私はあなたを愛していない。僕の最愛はマキナたった一人だっ!」


「そう」


 クラウスの返事に残念そうな顔をすると、レミリーは優しく不気味に笑った。


「じゃあ、今からゆっくりとクラウスの最愛になれるように頑張るから、私といっぱい遊びましょうね。外は戦争してるけど、私がちゃんと守ってあげるからね」


 そう言って、レミリーはクラウスを鞭で打つ。


 これからレミリーとクラウスの"遊び"は延々と繰り返されるのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

もしよければ評価などしていただけますと幸いです。

よろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 王女であるエミリーに望まれたなら、最愛を諦める覚悟を持たないといけないですね。 しかも、立場を保証するということから、約束を反古にすれば、保証しないということですから。 ハーバークも機密情…
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