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再会

「良いことっ。人のいない建物だけ攻撃しなさい!」


「御意っ」


 レミリーは戦車部隊の先頭に立ってそう指示を出した。


 この襲撃作戦はあくまでもこの街に潜むクラウスを誘き出すためのもの。


 人を殺すつもりなどない。


 まあ、人の生活を破壊する時点で似たようなものだろうが。


「長年敵対している国相手とはいえ、あくまでも報復だからね」


 特殊警察の調査によれば、クラウスはハーバークの諜報機関の手を借りてハーバークへと亡命した。


 おそらく、王女であるレミリーと婚約していたクラウスが何かしらの機密情報を持っていると踏んだ上での手助けだったのだろう。


 まあ、そのクラウス自身は何の機密も持っていなかったわけだけど。


 今回の襲撃はあくまでも"王女の花婿を強奪したことに対する報復攻撃"という名目なのだった。


「クラウス・ハートマン、いるなら出てきなさいっ! 今ならまだ許してあげないこともないわよ」


 と、レミリーの呼びかけに素直に応じる人影があった。


 素手で戦車部隊の前に現れたのは、レミリーの最愛であるクラウスだった。


 その姿を見つけてレミリーの顔に喜びが広がった。


「クラウスっ!」


 レミリーは満面の笑みをたたえて戦車を降り、クラウスに駆け寄る。


「もうどこに行ってたの。心配したんだからっ」


「申し訳ありませんでした、レミリー様」


「あら、"様"はやめてって言ってるじゃない」


「しかし、今回の私の愚行のせいで国にも迷惑をかけてしまいました」


「ああ、いいのよ。ハーバークは挑発しすぎてるからね。このくらいして脅してやらないと」


「そうですか……」


「そうなの! じゃあ、帰りましょうか。私たちの家に」


「……」


「どうしたの、クラウス? 来るの? 来ないの?」


「行きます」


「そう。良かった」


 レミリーはクラウスに微笑む。


 対して、クラウスはうまく笑顔を返せなかった。


 レミリーは自分の戦車にクラウスを乗せて帰還を指示する。


「目的完了。帰還するわよ!」


「御意っ」


 こうしてレミリーは最愛を取り戻した。


 こうしてクラウスは不幸せに立ち返った。


 果たして、こんな2人の間に愛は成り立つのだろうか。

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