1:草を抜かず、土に還元。
一般的な農業(慣行農法)における「雑草」は、駆除すべき対象と看做される。
作物の生育を阻害するからだ。
ある面から見れば、これは間違っていない。
商売として農業を行うのであれば、除草剤を使って駆除することも時には必要だろう。
とは言え私が取り組むのは自然農法なので、雑草を原則的に排除することはしない。
・畑に生える雑草の種類を見れば、土の豊かさがある程度わかる。
・雑草が根を張ることで土が柔らかくなり、植物がより育ち易くなる。
・枯れた雑草を微生物が分解し、土壌が少しずつ自然に改良されていく。
・作物を食べる虫を、雑草の方に分散させることができる。
このように雑草と呼ばれる種々の植物には、きちんと役割がある。
そこに生える必然的な理由があるのだ。
……と、これらは本原稿を執筆する時点における、後付けで知ったことである。
「畑を作ろう」と思い立ったリアルタイムの私がやったことは何か。
はい。雑草を根こそぎ抜きました。
既存の生態系をリセットして、ゼロベースで始めたかった。
新しいことを始める時って、そういう気持ちになるものだと思う。
自然農法といえども雑草を放置することはなく、適宜刈り取るようだ。
この「適宜」については、今後も勉強が必要である。
さて、ともかく抜いた雑草の山ができた。これをどうしよう。
自然農法の基本的な考え方は、その土地にある生態系で完結させることだ。
雑草を抜いたなら燃やせるゴミに出すのではなく、土に還す。
山となった草たちを広げて、畑を覆うことにした。
こうすることで地表に直射日光が当たるのを避け、土の水分を保つことで、微生物の増殖を促すことができる。
6畳ほどの庭の畑が、自分で抜いた草の絨毯に一面覆われた光景は、何となく「仕事やった」感を味わわせてくれた。
充実した余暇であった。
数日後。
草をめくってみたら、ナメクジとダンゴムシがひしめいていた。
草の絨毯、終了。
枯れた雑草を畑の隅に集めて、湿気った土に太陽光を浴びせましたとさ。
自然農法、単純にはいかないな。
体系的に学習する必要がある。