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1-1 シーラの憂鬱
私は私が嫌いだ。
なんでも出来る器用さを持っているわけでもなく、何かに特化したものを持っているわけでもなく、何の才能も持たずに生まれた、生まれつきの落ちこぼれだ。
「シーラ様!朝ですよ、起きてください。」
「んぅ……あと…5分…だけ…。」
「いけません!早く起きてください。」
バッ!、ソフィはシーラが覆いかぶさっていた掛け布団をひっぺがした。
シーラは母のお腹の中にいたころの胎児のようにその体をうずめて寝ていた。
「分かったから、起きるって。」
「シーラ様、今日は何の日なのか覚えてらっしゃいますか?」
「…今日?なんかあったっけ?」
「お忘れですか!?あなたの父上の誕生祭ですよ。」
「あっ、そうだった!急いで準備しないと。」
シーラは飛び起き、パーティーをする会場へ準備を手伝うために向かった。眠気はとうに吹き飛んでいた。