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ドラゴンズゲート~Dragons gate~  作者: 農民A
プロローグ
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いざ行かん

「・・・みんな怪我は無いか? 怪我をしてるなら光にちゃんと治癒して貰え」


黒田はみんなを集め声を掛ける


「はぁ・・・はぁ・・・何とか無事です」


息を切らしながら座り込む誠。


「何とかなりましたね。黒田先生」


「ああ、お前ら良くやった。お陰で誰一人欠ける事無くこの災厄を切り抜けられた。感謝する」


「まぁ、私の防御魔術があればあのくらい楽勝ですよ!」


雪乃が自身満々に言う。


「私の術で羽を押さえてたから、あんた程度の下手糞魔術でも何とかなったのよ。 自慢するのは乳だけにしてくれるかのう?」


「あんたね~・・・私は疲れてるんだから、お子様の相手してあげられないの」


「何ぃ~・・・!?」


「はぁ~お前らなぁ・・・」


膨れる桜を見ながら誠はため息をつく。


「まったくお前ら2人は・・・あの守重の落ち着きを見習えよな」


そういって誠が指差した先では、重守がおにぎりをもぐもぐと食べていた。

具が梅干だったのか少しすっぱそうな顔をしている。


「みんなが無事でよかったわね播磨さん」


光が黒田の肩を叩く。


「ありがとう光。お前のサポートのお陰だ」


「みんなの・・・でしょ?」


「ああ、そうだなあいつらは良く頑張った」

 

RRRRR・・・♪

黒田の携帯の着信音が響く。


「おっと向こうさんも終わったようだな」


携帯を取り出し電話に出る黒田。


「もしもし、こちらは片付きました。そちらも終わったようですねアレックスさん」


ーアメリカー


高層ビルが立ち並び、目もくらむようなネオンが光り輝いていた。

その中の所々が破壊されており激しい戦闘があった事が伺える。


この戦闘で倒されたであろう大型のドラゴンの骸の頭部に、身長2メートルはあるであろう大男が

葉巻を吸いながら携帯を持っている。その両手にはガントレットが装着されておりその両方にランク4のコアがはめ込まれていた。その後ろには彼の仲間であろうブロンズの髪の女性が、身長ほどもあろうかとういうライフルを手にたたずんでいた。


「ああ、こっちはクラス4戦龍型だった。正直手ごたえが無さ過ぎて不完全燃焼さ。そっちもクラス4で翼龍型だったそうじゃないか」


「さすが情報が早いですね。他の国の戦況は入ってますか?」


「それがインド・イタリア・インド・アフリカはもう制圧が完了している。中国・ロシアは戦闘中だがもうすぐ制圧が完了するそうだ」


「クラス5の出現情報は無いんですか?」


「それが問題だ。現在確認しているドラゴンは型は違えどすべてクラス4という事だ」


「神の書が間違ってたという事ですか?」


「現段階ではそういう事になるな・・・もしくはどこかの国が報告を偽装しているかだ」


「クラス5コアの独占が目的ならありうる事ですが・・・しかし・・・考えにくいですね」


「すべての国に報告用の情報員を配置してある。彼らが嘘の報告をしたとは思えない」


「だとするとやはり・・・」

 

そこまで言いかけた黒田は異様な空気を察し振り返る。

ゲートの周りには異様な空気が張り詰め、軋み雷鳴が轟く。


「どうした黒田」


「・・・神の書の予言はやはり当たっていたようですよアレックスさん」


「まさか!」


「ええ、どうやら日本に白羽の矢が当たったようです。では又後ほど」


「ま・・・待て黒田、我々が援軍に向かうまで無茶はーーー」


アレックスの言葉を待たずして黒田は携帯を切る。


電話を途中で切られたアレックスは携帯を握りつぶす。


「おいオリヴィア! 至急支度しろ! 日本へ向かう!」


後ろでライフルを持っていた金髪の女性が、少し不満そうに口を開く。


「日本だけではクラス5は対応出来そうにありませんか? アレックス隊長」


「対応出来るから問題なのだ。日本には 黒田 播磨 を筆頭に、彼の育てた優秀な部下がいる。つまり日本だけで倒せてしまう可能性があるという事だ」


「なるほど。クラス5のコアは日本が独占という事ですね」


「そういう事だ。倒すにしても共闘という形で少しでも戦闘に参加し、コアや素材に対する発言権を得なければならない。すでに中国・ロシアのスパイが本国に通信し動き始める頃だ。分かるなオリヴィア」


「では急ぎましょう」


そう言うと同時に二人は飛び立ち日本へと向かった。


裂け目からゆっくりと現れたドラゴンはついにその全容を明らかにする。


60メートルはあろうかという図体に大きな牙、鋭い爪。口からは青いプラズマがバチバチとほとばしっている。


「クラス5・・・しかもよりによって戦龍型か・・・化け物かよ・・・!」


それを見た誠は思わずへたり込んでしまった。

雪乃も桜も同揺の色が隠せないでいる。


「みんな落ち着け。大きさは想定内の60メートルだ。それよりも問題は戦龍型のようにも見えるが・・・あの鱗の輝きは甲龍型も混じっているのかもしれん」


「ハイブリッドですか!? そんな・・・希少種じゃないですか!」


雪乃が取り乱す。


「どうした雪乃、ビビッておるのか?情けないのう・・・」


そう強がる桜も少し震えている。


「みなさん、落ち着いて下さい。そうあの重守君のように!」


そういって光が指差した先では重守がいびきをかきながら寝ている。


「あんのバカ守重・・・」


誠が頭を抱え込む。


『起きろ! バカ侍ーーー!』


雪乃と桜は守重を足で何度も踏みつける。


「何をする! ブス共ーー」


「ハッハッハッハ!」


そのやりとりを見ていた黒田が突然笑い出した。


「黒田先生・・・?」


誠は不思議そうに声をかける。


「お前ら! 緊張はほぐれたようだな! だが、気は引き締めろ!」


その言葉に緩んだ一同の顔が引き締まる。


「よし! いい戦士の顔になったな。では行くぞ! 目標は戦龍型と甲龍型のハイブリッド! クラス5!皆・・・生きて帰るぞ!」


『応!!!』


この戦いは後に【京都大災厄】と呼ばれ黒田率いる防衛部隊との激しい戦闘の末、辛くも勝利を収める。


しかし、この勝利には部隊長の 黒田くろだ 播磨はりまとその妻 黒田くろだ ひかりの戦死という大きな犠牲は払う事となった。

生き残った 神代かみしろ まこと・ 秋月あきつき 雪乃ゆきの ・百武ひゃくたけ さくら ・東郷とうごう 守重もりしげの4名は英雄として後の日本の対龍軍事に大きく貢献する事となる。


特に誠は防衛軍 元帥 へと昇進し、対龍対策の全権を日本政府に任される事となる。誠は対龍戦闘員を育成する機関として自らを校長とする特殊戦闘員育成学校 通称【特戦校】を設立し後進の育成に力を入れた。


この特戦校を舞台に1人の少年の入学によって様々な事件が起こる事を、知る由も無かった。

神代 誠 この一人を除いては。













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