白銀京
我小學生時、歸道看下雪盈地。似落英繽紛、心在長望麗容。今去斯時久、恐情不復至。因作詩、料不忘往時。
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降雪蓋全鎮
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屋車蒙白淸
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神虚私想絕
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寂漠立銀京
【押韻】
五言絶句、仄起式、下平8庚(淸、京)。
【訓読】
我小学生たりし時、帰道に雪下りて地に盈つるを看る。落英の繽紛たるに似て、心は長く麗しき容を望むに在り。今斯の時を去ること久しく、恐らくは情復た至らざらん。因りて詩を作り、往時を忘れざらんと料る。
降雪 全鎮を蓋ひ
屋車 白を蒙りて清し
神 虚にして 私想絶え
寂漠 銀京に立つ
【訳】
僕が小学生だったころ、帰り道で雪が降り地面を覆っているのを見た。舞い落ちる花のようにあざやかで、しばらくそれに見とれていた。今となってはこの時をあまりに離れてしまい、この時の気持ちはもうやって来ないだろう。そこで忘れないようにこの詩を作るのである。
降る雪は街中をおおい、
家も車も白さをかぶって清らかである。
精神は空虚でほとんど雑念もなく、
こうして静かに白銀の都に立っている。