表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神を導きし救世主!  作者: 河童王子
99/200

蛇塚って奴は??


中国遺跡での戦いは終わった。


休息をとっていた三蔵は同じく安静にしているはずの蛇塚が病院にいない事に気付く。


俺は三蔵!


中国遺跡での連戦激闘の後、俺は遺跡近くにある隠れ大寺院にて治療、療養をとっていた。


そこで俺は一緒に寺院にて療養していたはずの蛇塚を探し回っているうちに、ハンの住んでいた村へとたどり着いたのだ。


蛇塚は村が一望出来る崖の上にいた。



三蔵「蛇塚…お前?」


俺に気付いた蛇塚は動かしていた手を止めた。



蛇塚「三蔵か?アハハ…どうやら恥ずかしい所を見られてしまったようだな?」



此処に来る途中、俺は出来たばかりの、化け物に襲われ死んだ村人達の墓が並んでいるのを見掛けた。


そして、蛇塚は今も村人達の墓を作っていたのだ。



三蔵「これは…お前が?」


蛇塚「あぁ…あんまり野晒しのまま放っておけなかったんでな?少しでも早くあの者達に安らかに眠って貰いたいだろ?」



三蔵「ケド!これは…」



そこには村に住んでいた半数近くの墓があった。これを一人で作ったと言うのか?


俺達が蚩尤を倒し、目覚めた蛇塚がこの村に来ると、村は廃墟になっていたのだ。


村に住んでいた村人達は一人残らず生きてはいなかった。理由はラスプーチンが村人達に施した義手や人体の補助具だった。その全てが魔物の身体で作られ、人間に移植していたのである。


俺達がラスプーチンを倒し、その呪縛を解き放ったがために、生き残っていた村人達は魔物の障気に耐える事が叶わず死んだのだ。



ここに来た蛇塚はあまりの状況に涙したと言う。



蛇塚「俺達のせいか…俺達のせいなのか?」



だが、蛇塚もまた解っていた。あの状況下では仕方ない事だったのだと…


だが、蛇塚は一人、村人達の墓を一つ一つ作り埋葬したのだ。その目に涙を流しながら、まだ立つ事もキツイ状態のはずなのにだ!



蛇塚「俺には他に何も出来ないから…」



三蔵「言ってくれたら俺だって手伝うのによ!」



蛇塚「悪いな…お前にも無理させたくなかったし、動ける状態じゃなかっただろ?」



俺は話を聞いて何も言わずに行動していた。俺は蛇塚と一緒に墓を作っていた。

全ての墓を作り終えた後、俺と蛇塚は亡くなった村人達に向けて経を唱えたのだった。




本当にこの男、蛇塚って奴は・・・


何でもかんでも一人でしょい込んでばかりで、お人好しで…マジに馬鹿だ!



三蔵「・・・・・・・・・」


蛇塚はそんな俺を見て、



蛇塚「そんな顔をすんなって?悪い…まぁ~俺の性分だから気にするなよ?」



三蔵「いやいや!責めてる訳じゃないが…それと、お前にはもう一つ聞きたい事もあるんだ…」



蛇塚「ん?何だよ?改まって?」



三蔵「お前、その右目どうしたんだ?詳しくは聞かされてはいないが、俺が戦っていた時に何があった?」


蛇塚は右目に眼帯をしていた。その目は何者かにえぐり取られたのだ!?



大徳に聞いた話だが、蛇塚が右目から流れる血を抑えながら、クローリーから『錬魂の雫』を手に入れて来たと聞いた。



クローリーの野郎!まさか生きていたのかよ?



だが、そのおかげでバサラも助かり…俺も救われた。


皮肉な話だ!



三蔵「蛇塚…お前には晴明の件でも、感謝しても感謝しきれない恩がある!その上、お前の身に何が起きたんだよ?」



蛇塚「・・・・・・・・・・・・」



蛇塚は暫く無言だったが、俺の真剣な目を見て重い口を開いたのだった。



それは俺とバサラが戦っていた時の話。


蛇塚は突然何者かのテレパシーで呼ばれて、単身クローリーの元に向かったのだそうだ。


そこで蛇塚の前に現れたクローリーは、シスターの姿をした女に抱かれた赤子の姿をしていたらしいのだが、紛れもなくくクローリー本人だったらしい。


そこで、クローリーは蛇塚に提案をしたのだ…


錬魂の雫を渡す代わりに、


クローリー『蛇塚君と言ったね?君から戴きたいものがあるんだけど…どうかな?』


蛇塚「戴きたい物?俺にか?何だ!それは?」



クローリーは蛇塚の胸を指差して言った。



クローリー「君の中にいる神をいただきたい!」


蛇塚「神?まさか…軍荼利明王を!」



するとクローリーは首を振ったのだ?そして赤子のクローリーは説明する。



『君の中にいるもう一つの神の事だよ!君の魂の中に封じられ飼われている邪悪な魂を持った神の方です!』



蛇塚「軍荼利明王じゃない神?邪悪な神だと?」


(俺の中にいる邪悪な神?そんな邪神が本当に俺の中にいるのか?だが、それをクローリーに渡して良いものなのか?いやいや!しかし…このままだとバサラさんが助からない…)



一つの選択が生死を左右する今の現状で、蛇塚に考える余地はなかった。



蛇塚「解った!俺の中の邪神を持っていけ!そのかわり約束は守れよ?」



クローリー「約束は守りますよ?私は紳士ですからね!」


(何が紳士だよ!見た目はガキ…いや、赤子じゃねぇか!)



そしてクローリーは蛇塚に膝まずかせ、目を見開くように命じたのである。


その後…


クローリーは蛇塚の胸を指差して何かの術を施し始める。蛇塚の胸が光り輝き、それはクローリーの指に誘われるかのように、蛇塚の胸、首、顎、鼻…そして、右目へと登って行く?



クローリー『悪いけど、邪神を封じて置く器がないんでね?それ…戴くよ!』



クローリーはシスターに命令をすると、シスターは蛇塚の右目の中に指を突っ込み、えぐるようにそのまま抜き取ったのだ!



「うぐぅわあああああ!」


蛇塚の目から血が噴き出し蛇塚の声が響き渡る。


クローリーは蛇塚の目を引き抜くと、蹲る蛇塚の目の前に錬魂の雫を置き、姿を消したのだと言う。




三蔵「邪神?お前の中にそんなもんが?」


蛇塚「クローリーはそう言っていた。多分、俺に流れていた蛇神の血が薄まった事と関係していると思うが?だが、俺にはあの時…ああする事しか出来なかったんだ!」



俺は・・・



三蔵「ありがとうな?お前には面倒かけてばかりだ…」


蛇塚「は~ん?何をしおらしくしてるんだよ!らしくないじゃんか?」



蛇塚は笑っていたが俺は頭が上がらなかった。



蛇塚「三蔵!」


三蔵「?」


蛇塚「お前にはこれから救世主として頑張って貰わなきゃならないからな?そりゃあ~険しい道のりだと思うぜ?それは俺には肩代わり出来るもんじゃないし、なれるもんじゃない!だからよ…そんなお前に出来る事は、このぐらいの事しかないんだよ!身を呈して、少しでもお前の試練を軽くしてやるくらいしかな?」


三蔵「お前…そこまで俺の事を?」



俺は感動して涙目になった。少し脆くなってるのかな?うるうるだぜ…



蛇塚「ばぁーろ!何を勘違いしてやがるんだ?俺は卑弥呼様のためにやってるんだよ!自惚れんじゃねぇ~よ!半人前の救世主さんよ!」


ナッ?



三蔵「誰が半人前だぁ!ざけんなよ?せっかく人が下手に出ていれば調子乗るんじゃねぇ!」



すると蛇塚は真面目な顔になり、


蛇塚「それに俺は別に自分自身の命を軽視している訳じゃないんだぜ?ただ…」


三蔵「ただ?」


蛇塚「卑弥呼様には…俺の命をかけられる!あの人のためになら…俺は喜んで命を捧げられるんだ!」



三蔵「そっかぁ!お前、あの姉ちゃんに惚れてたっけな?」



すると…



蛇塚「…それだけじゃないんだ…あの方は俺の…


俺の命の恩人!


いや、俺と妹の…


俺が今生きていられるのは、あの方のお陰だから!」



三蔵「それは、どういう事だ?」


蛇塚「・・・・・・・・・」



蛇塚は少し照れ臭そうになって言った。



蛇塚「少し…俺の昔話をするけどよ?アッ!別に聞き流してくれても良いからな?」


三蔵「あ?あぁ…」



俺は蛇塚から語られるその過去から…


俺の知らない激しい戦いがあった事を知るのだった。



そして物語は『蛇神降ろし編』へと続く…


次回予告


三蔵「待て!待て待て待て!!」


蛇塚「どうした?三蔵?血相かえてよ?」


三蔵「ふざけるなよ!何かまた過去編が始まるんだろ?そうなったら俺がまた出番無くなるじゃねえかよ!」


蛇塚「あはは!解っていると思うが、次話からは俺の過去編だぜ!


題して、『蛇神降ろし編』


すべからず待て!」



三蔵「お前の恥ずかし話なんか誰も待たねえよ?」


蛇塚「何が恥ずかしいだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ