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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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晴明の過去と邪神の儀式?


魔物が関与する人間達の失踪事件を調査していた玄三達、


が、玄三のドジで罠に落ちたのだった。


いや?本当に落ちたのだった。



※前話抜けてた文を付け足しました。



『う~ん…


ああ………うんん』




晴明の目の前で僕[玄三]が眠っている。


いや、気を失っていると言った方が正しいだろう。


僕が不注意にも発動させてしまった罠で、床が崩れ落ち地下へと落下してしまったのだ。



(まったく…だから、足手まといは嫌なんだよ…)



晴明は一人、隣で眠っている僕の傍らで呆れていた。



(僕はそうならない…


惨めな思いはしたくない…


僕は完璧なのだから…)




そして過去の自分を思い出していたのだ。



安倍晴明…


かつて歴史上に実在し、伝説にもなった天才陰陽師…


この少年晴明はその転生者なのである。



今から十数年も前…


日本の陰陽師の総本家の扉の前に、その赤子は捨て子として置かれていた。


ただ…


その赤子は、ただの赤子ではなかったのだ。


その赤子は陰陽道界伝説的陰陽師である安倍晴明の魂をその身に秘めていたのだ。



一体、誰が赤子を置いて残したのか?


今、まさに陰陽師史上最高の英雄が再び降臨したのだ!


しかし現存する陰陽師達はこの英雄の復活に困惑していた。



既に現代陰陽師達の世界では、表と裏の総本家に分け、縦式の上下図式が成り立っていたのだから。


その中で、この安倍晴明の復活はまさに現代陰陽師界の勢力図に波乱を呼ぶ事を暗示していたのだ。



晴明は幼い頃からその天才的才能を開花させていく。


僅か7歳で、その実力は現代の陰陽師の最高実力者に達していたのである。



やはり…本物…


だが、蔑ろに出来ぬ以上…


陰陽師の最高責任者は旅の途中寺に立ち寄った小角に、この晴明を預けたのだ。



晴明は幼き頃より孤独の中にいた。



それは子供でありながら大人びた風格に威厳…


近寄りがたいオーラと、周りからの畏怖の念…



だが、どんなに大人びた晴明であっても、その中身はまだ子供なのだ。



転生者には二種類ある。転生前の記憶がそのまま残る者と、記憶と知識だけを残し新しい人格のまま生きる者。詳しくは解らないが、生前の死の間際で己の人生を否定するか?それとも使命をやり残し悔いが残ったまま没し、新たな人生でも使命を果たそうとしていたかで決まるとか?やはりいまいち解らない不可思議な現象なのだ。



晴明は後者だった。



生前の記憶と子供の成長未発達の魂…


孤独と重圧、妬みや畏怖。それは晴明の心を閉ざすには十分であった。


しかし晴明のとった行動は己の心に仮面を被り、偽りの自分を演じる事で自分の生きる道を作る事であった。



器用な晴明は同世代の子供達には良きリーダーとして、年上や大人達に対してはうまくおだて上げ、誰からも好かれる完璧な『役』を演じたのだ。



だが、それは本当の自分ではない…



確かに孤立こそしないが、心の中ではいつも孤独感がついて回ったのだ。



心を許せる者…



晴明にとっての唯一の存在が、後に現れる事になる小角だったのだ。



晴明の評判が良くなったとはいえ、上にはやはり面白く感じない者達もいるのは解ってはいた…



その者達の策略で邪魔者である晴明は、旅で立ち寄った小角に引き渡されたのだ。



演じる事に慣れていた晴明は小角に対しても最初は己を偽ってこそいたが、小角はそれを見抜いた上で晴明に言ったのである。




『肩がこらないかのう?儂と腹を割って話さぬか?』



『!!』



いつの頃か晴明にとって小角のそばが、一番落ち着く居場所になっていた。



偽らずに、飾らず、初めて自分を出せる相手。



小角!



いや?初めて会った時に直感的に?本能的に?晴明も何かを感じ取っていた。



この小角という老人は…


自分にとって何か大切な縁のある者ではないかと?


もしかしたら前世で関わりがあったのか?


何故なら、この小角は既に何百年も生きている不老不死であると噂されていたからだ。


だが、過去は関係ない。



今の晴明にとって小角は唯一、心許せる相手なのだから…




そんなある日…


新たに加わった少年?



小角との旅の途中、突然小角が晴明を置いて迎えに行った少年。


その少年は確かに並外れた霊力を持っている事は、会った時に直ぐに解った。




しかし…


ただ、それだけ!



中身はただの生意気なガキでしかない。


何でこんな奴に小角は目をかけるのか?



と、そんな事を晴明が考えている間に僕は目を覚ましたのだった。



晴明(さてと…子守りの時間だな…)




僕は玄三!



僕が目を覚ました後、晴明と二人で洞窟の中を再び探索を始めたのだ。


中は真っ暗だったが、晴明の出した式紙から光る蝶が現れ、辺りを照らしてくれていた。



まったくもって便利だよなぁ…



そこに数人の白装束の大人達が向かって行くのを見つけたのだ。


僕と晴明は気配を消しながら後を追った。



暫く進み洞窟を抜けると、そこには広場らしき場所があり、何やら沢山の者達が集まって怪しげな儀式を行っていたのだ。



僕と晴明は隠れながら様子を伺っていた…



玄三「あれは?」


晴明「シッ!様子をみよう!」



晴明はすかさず式紙に念を込めて鼠に変えると、その鼠ははぐれた小角のもとへ走って行く。



晴明「これで良し!」



…本当に頭が切れる奴だ。


儀式は中央の石で出来た祭壇に、謎の集団が海で死んだ人間の遺体を並べていたのである。


まだ生々しいモノもあり石壇は血の色と死体の腐臭で覆われていたのだ。



そして集団は怪しげな呪文を唱えている。



玄三「一体何をやっているんだ?」


晴明「詳しくは解らないが、多分…何かを召喚?呼び出そうとしているんじゃないかと思う…」


玄三「召喚?式神みたいなもんか?」


晴明「いや!式神なんかとは比べものにはならない…それに生け贄を必要とし召喚する者と言えば…」



『邪神!!』



玄三「邪神だって??そんな馬鹿な!!」


晴明「とにかく僕達だけでは判断しかねる。小角様を待とう!」



玄三「あぁ…うん」



儀式は着々と進んでいた。


男達は死体に怪しげな液体と火を点けると、怪しげな呪文を唱え始める。


炎は次第に祭壇の中央で燃え盛っていく。これは生贄を使った儀式?炎は次第に変色し、緑色の炎が揺らめきはじめた。


すると、その緑色の炎の中から…


何か凶悪で強い意志を感じたのだ!



妖気を帯びた魔性の炎…


あれは?


すると、今度はその炎の中から声が聞こえて来たのだ。声?違う…正確には何かテレパシーのようなものだった。



『…タマシイ…ヲ…アツメ…ヨ……ツヨキ…タマシイ……ササゲヨ…ワレニ…タマシイ…ササゲヨ』



玄三「魂って何だよ!?」



僕は聞こえた声に反応して、つい声を発してしまったのだ!



晴明「ばか!」



その時、その怪しげな集団が僕と晴明の存在に気付いたのだ。



『…シンニュウシャ……シンニュウシャ……ソノ…タマシイ……ササゲヨ! 』



謎の声に反応して儀式を行っていた集団が各々武器を手にし、僕達に向かってゆっくりと近付いて来たのだ!



『侵入者殺せ!魂奪え!』

『侵入者殺せ!魂奪え!』

『その肉を引き裂き魂を捧げよ!』



狂乱するかのように僕達に向かって迫って来たのだ!


玄三「どうする?」


晴明「どうするも何も逃げるしか…」



しかし僕達の後ろからは既に別の追っ手が先回りし迫って来ていたのだ。



玄三「やるしか…」


晴明「ないようだね…」



僕達は戦う決意を固めた。


小角が来るまでの辛抱だ!それに、コイツ達…


なんかヤバすぎる!



この儀式とか放置は出来ないよな?



僕達は術札を手に儀式の中央へと飛び出したのだ。



玄三「とにかく儀式をめちゃくちゃにして行えなくしてやろうぜ!」


晴明「奴達は人間だ…勝算はある!」



が、その甘い考えは直ぐに覆されされた。


その集団は持っていた怪しげな小瓶を手に取ると、一気に飲み始めたのだ?



『!!』



すると驚く事に液体を飲んだ者達が、異形のモノへと変貌していく?



玄三「なん?何なんだよ!あいつ達、人間じゃなかったのかよ!?」


晴明「解らない…人間だった…確かに…あの液体のせい?でも、人間が化け物になるなんて…取り憑き?それとも違う…」



半人半魚の化け物…


つまり半魚人のような姿になったのだ。



玄三「お前達!刺身におろすぞ!」


晴明「僕は食べたくないな…あんな得体のしれないモノ…」


玄三「いや、それは…言葉の…あっ…僕だって食べたくないぞ!」



と、喧嘩している場合じゃなかった。



向かって来る半魚人が槍のような物を突き出して襲い掛かって来たのだ。



『グギアアアアアアア!』


晴明は半魚人の攻撃を巧みに躱しながら、術札を半魚人の身体に貼付ける。



『念!』



晴明の発した念と同時に貼付けられた術札が爆発したのだ!ゆっくり倒れる半魚人。が、更に左右から襲い掛かる二体の半魚人の攻撃をも躱し、巧みな捌きで術札を貼り付けて後方に飛び退きながら念を送る!


二つの爆発が起きて、二体の半魚人が崩れ落ちた。



す…すげぇ~


子供の動きじゃないよ!



玄三「よし!僕も負けじと術札を…」



僕は懐から術札を取り出し、構えると?



晴明「おぃ!早くそれを手放せ!」



玄三「えっ?」



晴明の声に振り向こうとしたその時!


突然、僕の持っていた術札が手元で爆発したのだ。



「うっううう…」



……一体…何が?



突然の出来事に僕はパニックを起こしていた。



頭を整理しなきゃ…




それは、僕の術札が誤発動を起こしたのである。


念を籠める前にその術札が先に発動してしまい、手元で爆発したのだ!



いや…


それより…



僕の目の前で晴明が額から出血を流して俯せになって倒れていた。



玄三「せ…晴明?」



それは、術札が爆発する寸前に先早く気付いた晴明が僕に体当たりをして庇ったために、爆発の勢いで吹き飛ばされ衝撃で額から地面に叩きつけられたのだ。



玄三「!!」



何故…?


何故、僕を庇った?



僕は晴明の身体に触れようと近付いた。


だが、そんな僕達に迫る影が!



玄三「くっ!」



既に半魚人達が囲んでいたのだ。僕は晴明を庇うように半魚人の前に立ちはだかる。



僕のせいで…


僕のせいで晴明が…


死なせない…



僕の命にかえても!




『晴明!お(ダチ)を守る!!』


次回予告



三蔵「まったく昔の俺はドジだったな・・・


まあ、だから今の俺は冷静沈着に成長したのだけどな!


あははははは!」



※牢屋にて身体を拘束され捕らわれ中



三蔵「さて、次は昔の俺が暴れるぜ!



ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!



見逃さず読んでくれよな!」




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