血の涙?友として戦え!!
百鬼夜行と戦う俺と蛇塚だったが、
俺は蛇塚に当身をくらわされ意識を失ってしまったのだ。
そして、蛇塚は百鬼夜行に単身戦いを挑むのだった。
俺は三蔵・・・
俺は蛇塚に当て身をくらい、不覚にも気を失ってしまった。
そして一人、
蛇塚は俺の背負うべき罪《友殺し》を背負うがために、晴明である百鬼夜行に単身戦いを挑むのであった。
蛇塚「さぁ!俺が相手だぁ!かかって来いやぁー!」
蛇塚に向かって来る百鬼夜行!その突進力は、最高硬度の戦車に匹敵する。
蛇塚はその攻撃を受けるのではなく、受け流しながら躱していた。
その流れるような動きには普段の荒々しさはなかった。洗練された達人の如く、水の中を流れる柳の葉ように百鬼夜行の攻撃をいなしながら、投げ倒す!!
クロウリー「いやぁ~あの若者の使う合気なる技はまさに芸術ですねぇ~お見事!お見事!」
拍手喝采のクロウリーに、
蛇塚(チッ!こっちは命懸けなのによ!一発でも百鬼夜行の攻撃をくらえば俺もただじゃすまねぇぜ!)
その時、百鬼夜行の腕が伸びて、蛇塚の腕を掴んだのだ!
蛇塚「グッ!(ヤベェ!)」
百鬼夜行の腕が戻る勢いで蛇塚が引っ張られて行く!
そこには、百鬼夜行が拳を握りしめ待ち構えていたのだ!
蛇塚「うりゃあー!」
百鬼夜行の放たれた拳にタイミングを合わせて、逆に突っ込みながら足を腕に絡めつつ、
その勢いに任せて・・・
蛇塚「どうりゃああ!」
百鬼夜行を投げ飛ばしたのだ!
続けて蛇塚の拳が百鬼夜行の顔面に決まるが、百鬼夜行はものともせずに蛇塚に頭突きを食らわす。
蛇塚「ぐはぁ!」
蛇塚は堪らずによろけながらも、バック転しながら距離をとりつつ着地する。
蛇塚「うぐっ・・・やはり正攻法じゃ敵わないよな?だったら取って置き見せてやるぜ!」
蛇塚は指を交差させながら印を結び、軍荼利明王真言を唱え始める。
『オン・アミリティ・ ウン・ハッタァー!』
神々しいオーラが蛇塚を包み込み、次第に蛇塚の身体が、己の持つ『明王』と一つとなっていく!
『明王変化唯我独尊!軍荼利明王・合神!』
その姿!
髪は逆立ち、腕が8本に増え、身体に蛇を巻き付かせた異形の姿
『軍荼利明王・軍斗!』
蛇塚「さぁ!これが俺の本気!俺の持つ神の力だぁー!」
クロウリーは蛇塚の変化した姿を見て感心していた。
クロウリー「これは凄い!まさか己の意思で神との融合を果たすとは?これは驚きです!本当に面白い者達だぁ~歓喜!歓喜!」
蛇塚「笑ってられるのも今のうちだぜぇ!」
蛇塚は身体に巻き付いた蛇を武器に変えていく。
『明王技・蛇鞭!』
蛇塚はそれを鞭のように扱いながら、百鬼夜行に向けて放ったのである!蛇鞭は生きた蛇のように大地を猛スピードで這いながら向かって行く!その破壊力は地面を粉砕し百鬼夜行に直撃したのだ!
クロウリー「しかし、残念ですよ?百鬼夜行に神の力は通用・・・はて?」
神の力が通用しないはずの百鬼夜行の身体を引き裂くかのように、深々と傷が付いたのだ!
クロウリー「何ですと~?これはどういうトリックですか~?」
百鬼夜行は己の身体に付いた傷に怒り咆哮する!
『イギィヤアアア!』
怒る百鬼夜行は目の前にいる蛇塚に対し、獲物を狙う獣の如き眼で見据える。百鬼夜行は初めて蛇塚を狩るための敵として認めたのだ!そして、その拳から蛇塚目掛けて黒い破壊の波動を放出したのだ!
蛇塚「おぅりゃあ!負けねぇよ!」
蛇塚もまた蛇鞭を振り回しながら、凄まじい力を放出させる!
二人の力は激しくぶつかり合い、その衝撃波が部屋全体を襲った。 クロウリーは自分の周りにバリアーのような空間を造り、その様子を平然と観賞していた。
クロウリー「百鬼夜行と対等に戦うなんて本当に凄いですね!でも・・・いつまで、もちますかね?」
蛇塚は倒れている俺を庇いながら戦っていた。
蛇塚『雷雲黒雲!』
軍荼利明王と化した蛇塚の身体から黒い煙が噴き出したかと思うと、天井に雷雲が立ち込める?
蛇塚『明王雷撃!蛇手網下!』
※ヘビスモウカ
雷雲から百鬼夜行目掛けて雷撃が落ちたのだ!
百鬼夜行『フギャアアアアア!』
雷撃に苦しむ百鬼夜行だったが、転げるように雷撃から逃れ両腕にどす黒い鬼力を籠め始める?そして両腕を蛇塚に向けると、両手から鬼神の頭が幾つも現れ蛇塚に向かって口を開き向かって来たのだ!
蛇塚「くっ!」
『うりゃあああ!』
蛇塚は迫る鬼神の頭を、持っている鞭捌きで消し去っていく!
蛇塚「甘いぜ!俺の本気はこんなもんじゃないぜ?」
蛇塚の鞭が八つに枝分かれし、その先が蛇の頭となる!
鬼と蛇が互いにぶつかり合い、争いあう!!
その中、蛇塚は蛇鞭を操り油断した百鬼夜行の身体に巻き付かせて身動きを封じたのだ。百鬼夜行はもがくが、この蛇鞭は先程の結解と違い、百鬼夜行の力でもびくともせず動きを完全に捕らえたのだ!
蛇塚「クライマックスだぜ!覚悟しやがぁれぇ!」
蛇塚は自らの右手首に傷を付けると血が垂れ流れる。するとその背後に蛇神のオーラが立ち込め蛇塚の右腕に絡み付いていく?
クロウリー「はて?彼の血には何か特別な力があるのですかね?」
蛇塚「そうさ!俺の血は少し特別でな?神をも喰らう蛇神の力が封じこめられているんだよ!この血は神にすら忌み嫌われ、目の前の神も魔も滅ぼす力があるんだ!それはお前達カミシニにも有効らしいぜ!」
蛇塚の右手から深紅[鮮血]の蛇神のオーラが異様な高まりをみせ、
『ヘビメタル・インパクトーーー!!』
蛇塚の超必殺技が百鬼夜行に向けて放たれようとしたその時!
蛇塚『!!』
その時、蛇塚は・・・
「うっ…ううう…」
俺は三蔵だ・・・
俺はどのくらい眠っていたんだ?
確か・・・蛇塚が突然、俺の首筋に当て身をくらって意識をなくして?
「ハッ!」
そうだ!
俺は今、百鬼夜行(晴明)と戦っていたんだ!そして今は蛇塚が一人で戦っているはず!
俺は状況を掴もうと周りを見回す。
そこで俺は!!
何だよ・・・こりゃ?
俺の目の前には大量の血が?
その血を視線で辿ると・・・
「!!」
その先には、
蛇塚が・・・
百鬼夜行に腹を貫かれている姿だったのだ!!
俺は血の気が一気に引いたかと思ったと同時に怒りで頭に血がのぼった!
三蔵『ウォオオオ!』
俺は百鬼夜行に向かって突進した!
俺に気付いた百鬼夜行は瀕死状態の蛇塚を俺に向けて放り投げたのだ!
俺は突然の事に蛇塚を受け止める事も出来ずに衝突してしまったのである。
俺は直ぐさま立ち上がり、血だらけで倒れている蛇塚を抱き抱えた。
三蔵「しっかりしろ!おい!蛇塚ぁー!!起きやがれぇ!死ぬんじゃねぇよ!」
すると、
蛇塚は俺に気付き、
「ククク・・・ざまぁねぇぜ・・・お前の代わりに戦ってやるつもりが・・・情けねぇ・・・」
三蔵「喋るな!どうして?どうして・・・お前が俺なんかのために?」
蛇塚「ふふっ・・・お前だけのためじゃねぇ・・・俺は・・・グハァ!」
蛇塚は口から血を吐き、そして、俺の袖を掴んで叫んだ。
蛇塚「三蔵!戦え!戦うんだ!晴明と!奴と戦うんだ!」
三蔵「!!」
俺は・・・
晴明とは戦えない・・・
そんな俺に蛇塚は言った。
蛇塚「奴を・・・晴明を救ってやってくれ?お前が・・・晴明のダチであるお前が!」
三蔵「・・・・・・」
蛇塚「俺は・・・お前に・・・友を危める罪を・・・背負わせないがために・・・戦った!だが、違っていた・・・俺は間違っていたんだよ・・・」
三蔵「!?」
蛇塚「例え・・・俺が晴明を倒したとしても・・・誰も救えないと気付いたんだ!お前も!晴明も!お前達の魂は、その罪に心を・・・捕われ・・・いつまでも魂は無限地獄に堕ち、生きても死んでも・・・苦しみ続けてしまうんだよ!」
『お前達の戦いに決着をつけぬ限り・・・』
蛇塚「それは誰かに・・・肩代わりなんか出来やしねぇ・・・お前達の戦いだったんだよ!!」
蛇塚の言葉は、意味は、俺にも解っていた。
だが、俺には晴明を・・・
ダチを!
この手で殺すなんて出来ねぇよ!例え、どんなに姿が変わろうと・・・
そんな俺に・・・
蛇塚「苦しいだろう?解る・・・解るぜ?」
蛇塚は涙を流しながら俺に言った。
蛇塚「だがよぉ・・・三蔵?そろそろ気付いてやれよ・・・晴明はお前に・・・俺なんかじゃなく・・・お前の手で・・・終わらせて欲しいんだよ!唯一のダチであるお前によ!」
三蔵「!!」
蛇塚「お前だって、そうだろ?もし・・・自分が魔に堕ち、操られたとしたら・・・それでも生きていたいと思うか?俺だったら・・・一番大切な奴に・・・終わらせて欲しいと望む・・・だろうよ・・・」
蛇塚は晴明(百鬼夜行)を指差す!
蛇塚「晴明も・・・そう思っているはずだ・・・だから・・・」
『だから・・・晴明も・・・血の涙を流しながら・・・お前にそれを伝えているんじゃないかよ!』
三蔵『!!』
俺は見たのだ!!
晴明・・・百鬼夜行の目から・・・
涙が??
血の涙が流れているのを!!
三蔵『もう良い・・・解ったよ!戦うぜ・・・俺!俺は戦って!晴明を救ってやる!』
俺は蛇塚を残し、百鬼夜行に・・・いや?
晴明に向かって歩み寄って行く!
三蔵「晴明!今度は俺が相手だーー!!」
次回予告
三蔵「百鬼夜行と俺との戦いが始まろうとしている今、
もう一つのドラマが始まろうとしていた!
それは、バサラ、三千院、大徳、ホーエンハイムの前に現れた
あの破滅の悪魔!ファーストであった!」




