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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
67/200

座主の少女と解き放たれた妖精!?


仲間も目的も自分すら失った№6


彼は、今・・・


俺はバサラ…


あの頃、俺はNo.6と呼ばれていた。


俺は仲間達の死の下、魔神明王の力を手に入れ、その力を使って『お父様』の命を奪おうとした。


だが、俺は失敗した…


その後、俺は洗脳され、お父様の命じられるがまま戦争に赴き、殺戮、破壊を繰り返す暗殺マシーンと化したのだ。


中でも敵国の邪魔になる主要人物の暗殺は、妖精である俺には適役だった。


俺はただ、従順に命令をこなしていく。



機械的に…無感情に…


命を狩っていた。



それから数年が過ぎていき俺は完全に自我を失っていた。そんな俺に、新たな命令が下されたのである。


それは…


日本と呼ばれる小さな国にいる密教僧の最高責任者『座主』の暗殺であった。



俺は一人、日本国に潜入する。既に組織から座主の居所は確認済みだったため、それほど苦労はなかった。


簡単な任務だ。一人の人間を殺すだけの任務なんて…


俺は座主がいると言われている隠れ寺に忍び込むために、その入り口である樹海に入って行く。


この樹海には、結解が幾重に厳重に張られていたが、俺の『妖精遺伝子』が全て無効にしていった。


俺は更に奥へと潜入する。


音も姿も闇に紛れ忍び込む俺だったが、警備をする密教僧の中には俺の気配に気付く者達がいた?


情報で聞いてはいたが不思議な力を使う裏組織。


今までの組織の連中とは何か違うのは確かだ…


だが、俺は躊躇なく密教僧達を殺していく。


そして、さらに奥に進むと、座主のいる『奥の院』が見えて来たのである。


俺は屋根裏から忍び込み座主の居場所を探る。


座主は思ったよりも早く見付かった。


その存在感…


人間とは思えぬほどの信じられぬ霊圧!


間違いない!


あいつが座主だ!



だが、俺は少し戸惑っていた。何故なら、座主とは…


女…いや?まだ14~15歳くらいの少女だったのだ!


だが、関係ない…


俺にとって男も女も年寄りだろうが子供だろうが、暗殺のためのターゲットである事に間違いはない。


俺は屋根裏から忍び込む…


音や殺気、気配すらも消し去り、まるで風が流れるように、すり抜けるように近付き、娘の眠っている部屋にまでやって来た。


俺は短刀を握りしめる。


大丈夫…一瞬だ…


痛みはもちろん、何が起きたか解らないうちにお前は死ぬ!



俺は娘に向かって近付き刃を向けたその瞬間…


「!!」


俺の身体が動かない?いや、動けない事に気付いたのだ!



金縛り!?



いつの間に…!


そして、俺の脳に直接声が聞こえて来たのだ?


それは…


目の前の娘の声だった。



『…貴方は苦しんでいるのですね?』



No.6「!!」



事もあろうに俺の目の前にいる娘は、俺を見て涙を流していたのだ。


…この娘?


まさか、俺の心を?



その娘の目は、俺の全てを見透かしているように思えた。俺は咄嗟にその場から離れたのだ。



あの娘…



俺が寺から出ると、そこには既に武装した僧侶達が囲んでいた。



しくじったか…


だが、俺には問題ではなかった。



例え幾人いようが、どれだけ腕がたとうが…


俺の…妖精の敵ではないからだ!!


俺が短刀を構えると、僧侶達の中から二人の男が前に出て来たのである。


赤い長髪の男とニメートル近くある長身の男だった。


どうやら奴達が、こいつ達のリーダー格のようだな?


俺は決着を早めるために、この二人に向かって斬り掛かった!

俺達妖精のフルスピードに、人間が着いてこれやしない…


しかし、俺が振り払った短刀は空を斬ったのだ?


…何?躱しただと!?


目の前の二人は…


「何て速さだ…人の速さではないな?」


「ふむ。噂で聞いた妖精って奴か?戦場を駆け抜ける白い悪魔…」



俺はすかさず、二人に再度攻撃を仕掛ける。


が、二人は俺と同じ極限の速度で攻撃を躱していた!


ありえん…


何者なのだ?


俺はやむを得ず己の力を解放させたのだ!



俺の中に眠る魔神の力を!


俺の背後から現れる魔神…


俺の出現させた魔神の覇気に、周りの武装した僧侶達が吹き飛ばされないように堪えていた。



力が漲る…


この力は無敵だ!



何者をも寄せつけぬ神の力を持つ俺の前で、二人の強者の僧侶は怯む事もなく俺の目の前で真言を唱えたのだ?


そして、俺の目の前に二体の魔神が出現したのだ!



「!!」



赤い髪の男は言った。



「どうやらお前も俺達の仲間のようだな?魂で繋がれた運命に導かれし仲間よ!」



俺は一瞬戸惑った。


仲間?


そんな時、僧侶達の間を割って座主が現れたのだ!


二人の男は、座主に…


「座主様!宜しいのですか?」


座主は二人に軽く頷くと、恐れる事なくゆっくりと俺の前に向かって来たのだ。


馬鹿な…


死ぬ気なのか?



俺は一瞬躊躇したが、直ぐさま魔神の拳を座主に向けて突き出したのだ!


座主の娘は俺に向けて手を翳す…


その瞬間!


俺は光に包まれたのだ!?


何が起きた??



俺の中から…


何かが渦巻き始め、膨れ上がってくるのを感じる?



これは…


怒り…悲しみ?


妖精の仲間達の記憶…


兄弟達の最後の言葉…


アアア…


俺の中で渦巻く感情が沸き上がり、俺の思考を…動きを完全に止めたのだった。


一体、何が起きたと言うのか?


辛い…苦しい…悔しい…


悲しい…怒り…


そういった感情が俺を熱くさせ、縛り付ける。


動けない…



そして俺は座主の前に平伏すように涙を流して、泣いていたのだった。



座主は…


『貴方はもう自由です…』


座主の娘は、お父様によって施された俺の洗脳を解き、俺の中の感情を呼び起こしたのだ!



俺は…


訳が解らぬまま…


座主を突き倒し…



この場から逃げるように消え去ったのだった。



倒れた座主を、赤い髪の男が起こす。


「行かせて宜しいのですか?」


『はい…今はまだ…』



「座主様の予言通りでしたね?白い妖精…」



俺は無我夢中で暗闇の中を駆け抜けていた。


追っては来ない?


何が…


何が起きたと言うのだ?


身体の奥底から熱いものが込み上げてくる?


俺は気付くと、人が全く寄り付かない寂しい墓地公園にいた。俺は一人頭を整理していた。



俺は…俺は…


何をしていたのだ?


俺は…!!


何をしていたんだぁー!




そう…


お父様に襲い掛かり、失敗した後…


再び洗脳され…


強力な暗示みたいなもので、お父様の命令に逆らえないような戦闘マシーンにされた。命令を下されると、身体が勝手に従ってしまうのである。


だが、身体は勝手に任務を遂行していたが、頭は…心は自分の行動を…理解していたのだ。


どんなに頭で逆らっても任務を終えるまで身体が勝手に動きを止めなかった。



何故、お父様は俺の心を残したのだ?


これは、お父様に逆らった事に対して、俺に与えた罰なのか?



殺戮機械と化した俺の心を残して、俺が苦しむのを楽しんでいるに違いない!



悔しい…憎い…辛い…


俺はお父様に対して怒りを憎しみをぶつけたくても、逆らえないという苦しみに耐えられなくなり…



もう無理だ…


もう、兄弟の仇は取れない!


ごめん…


俺には最初から無理だったんだ…


もう…疲れたよ…


もう…俺を自由にしてくれ?



次第に心が壊れていく自分自身に気がついた時、俺は考える事を止めたのだ。



なのに…


それなのに…



座主はお父様に施された洗脳だけでなく、そんな閉ざされたはずの俺の心まで解き放ったのだ!



俺はその足で、組織に戻った。


俺はアジトにいるお父様のいる部屋にまで向かう。



お父様は研究所にいた。



そこでは新たな人体実験が行われていたのだ。



突然入って来た俺に研究所職員が近寄って来る。


そしてお父様も…



お父様『お前は日本に向かったはずだったのでは?その様子だと、任務(暗殺)は成功のようだな?』



俺は…



「……………」



今こそ…


再び魔神との契約の約束を果たそう!


明王…金剛夜叉よ…


我が身と引き換えに…


この邪悪なるモノ達を滅ぼせ!








その瞬間、俺の身体から魔神が放たれ、アジト一帯は炎に包まれたのだった。



次回予告


バサラ「これで全てが終わる!


そう思っていたはずなのに・・・」



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