白い魔物と英雄伝説!?
三蔵、三千院、大徳、バサラ、蛇塚は遥々中国へとやって来た。
彼達の目指すは謎の遺跡。
その案内人は遺跡近くにある村に住むハンと名乗る少年であった。
俺は三蔵だ!
俺と四人は道案内のハンに連れられて、ハンの住む村にまでやって来ていた。
村はさほど大きくなく、100人足らずの村人が細々と暮らしていた。
三蔵「小さな村だな…」
ハン「余計なお世話だ!これでも何不自由なく生活してるんだよ!ただ…」
(あの、化け物さえ現れなければ…)
ハンの目付きが鋭くなっていた。
ガキの目じゃない…
よっぽど酷い目にあったのだと解る。
俺達が村に着いた時には既に陽が落ちていたため、遺跡探索を明日に備え、その日はハンの家に泊まらせて貰う事になった。
ハン「気にしなくても良いぜ?うちは母さんもいないし、父さんは…」
ん?
ハン「父さんは…あんた達が遅いから…一昨日の朝、先に遺跡に向かったんだ…」
三蔵「何だと!?」
三千院「何故、そんな早まった真似を?」
ハン「仕方ないだろ!」
「また…来たんだよ…あの白い魔物が…!」
三蔵「白い魔物?」
白い魔物とはこの村に現れ人を襲う魔物であった。
白い…翼のある魔物…
夜中になると空から舞い降りて村の人間達をさらっては、そのまま遺跡へと連れ去ってしまうと言うのだ!
三蔵「白い魔物か…」
落ち込むハンに俺は、
三蔵「よし!ハン!任しておけ!その白い魔物とやらも俺がぶっ倒してやるからよ!」
俺は励ましのつもりで言ったのだが、ハンは…
ハン「ふっ…心配いらないぜ!何せ、この村の連中には力があるからな?」
大徳「力だと?」
その時!
外から叫び声が聞こえて来たのである。
『白い魔物が現れたぞー!』
三蔵「!!」
俺と四人は直ぐさまハンの家から飛び出し外を見回す。
蛇塚「皆!上だぁー!」
見上げると暗闇の中、月明かりに照らされた白い何かが村の上空を飛んでいたのである。
一匹?いや…三匹はいるな?
蝙蝠と人間を足して割ったような白い化け物であった。
三蔵「あれが白い魔物って奴か!」
すると、その白い魔物は俺達に向かって急降下して襲い掛かって来たのだ。
三蔵「飛んで火に寄る白い魔物だぁ!」
俺の身体から炎が噴き出し戦闘体制に入る!
が、
俺…いや?他の四人合わせて信じられないような事態を目にしたのだ。
『フギャアアアア!』
急降下して来た白い魔物が、何処からか伸びて来た白い腕の爪によって串刺しにされたのだ!
三蔵「なっ!?」
俺達は白い爪の伸びて来た方向を振り向く。
そこには…
三蔵「!!」
月明かりに照らされた人影が、ハンの家の屋根上に立っていたのだ。その正体は?
三蔵「ハン!」
ハン「だから言っただろ?必要ないって!俺達には力があるんだから!」
ハンの身体…いや?左腕が伸びて白い魔物を貫いたのである。
周りを見ると家から出て来た若者達が、他の白い魔物をハンと同じく仕留めていたのだ。
三蔵「お前達…その腕は一体?」
ハン「ふっ…戦う力だよ!もう俺達は無力じゃない!もう魔物を恐れて怯えていなくて良いんだ!」
そう言うと、ハンは貫き落下して動けないでいる白い魔物に近付いて行く。
ハン「!!」
見ると、ハンの様子がおかしくなったのである?
涙を流し白い魔物を睨みつけると、ハンの手は再び形を変えて槍の形になっていき、振り上げた凶器で白い魔物を突き刺したのだ!
魔物はハンの手に貫かれ痛みで叫び声をあげた。
だが、ハンは容赦なく白い魔物に何度も何度も…
貫いていた!
三蔵「もう止めろ!そいつはもう死んでいるぞ!」
白い魔物は、無惨にも跡形もないくいらいの残骸になっていた。
三蔵「おぃ!ハン!やり過ぎじゃな…」
…ん?
見るとハンは奮えていたのだ?
ハン「そいつが!そいつが!」
ハンが指差したそこには白い魔物の残骸の中にネックレスみたいな物が転がっていたのである。
三蔵「それは?」
ハン「あれは…遺跡に向かった親父のネックレスだよ…俺のあげた奴だ…もう形見になってしまったようだけどな…」
ハンは泣くのを堪えているようだった。
ハンの父親は遺跡に向かった際に、この魔物に襲われたのだろう。
ハン「うっ…うっ…」
三蔵「我慢しなくて良い!」
そう言って俺は泣きじゃくるハンを自分の胸に抱き寄せた。
暫くして落ち着いたハンに俺達は尋ねる。
ハンの右腕?
化け物を貫いたあの伸びる白い腕が何なのか?
ハンは答えた。
それは数週間前、髪の長い男が村にやって来て村の皆に施したと言う。
この村の問題は魔物の脅威だけではなかったのだ…
もともとこの村人達は身体が不自由な者達ばかりで、腕や足、臓器や目や耳等、理由は解らないが昔から奇形の子供が多数生まれていたのだと言う。
そこに現れた髪の長い男?
その男は村人達に無償で義手や義足を提供したと言う。しかも驚く事にその義手や義足は本当の手足のように思いのまま動かせるだけでなく、村を脅かせていた魔物に対して強力な武器になると言うのだ!
今まで何の戦闘訓練もした事のない村人が、魔物相手に戦える力を手に入れたのだ。
その話が疑いの無い事は先の一件で解った。
三千院「そんな馬鹿な事が有り得るのか?」
大徳「しかし、現状が本当だと証明しているのも間違いない」
三蔵「力が得られるなら…良いんじゃないのか?」
三千院「しかし無償の力なんて…それに、その義手はただの義手ではなさそうだ?何か禍々しさを感じる」
蛇塚「何か裏を考えてしまいますよね?」
ハン「あんた達には解らないだろうよ?力無い人間の気持ちなんて!ただ、魔物に怯え…いつ死ぬか解らない日々を過ごす恐怖なんてさ!」
俺達は今はそれ以上追求はしなかったのである。
ハン「あの方は村の救世主様なんだよ!」
ん?
救世主とは…
確か俺も救世主とか呼ばれたりしたなぁ…何故か懐かしく感じるぜぇ~実際、関係ないけどな?
三蔵「それにしても救世主とは、えらくヒーロー染みた話だな?」
ハン「ヒーロー話とかじゃないや!この村にはな!二つの救世主伝説があるんだよ!あの方は、この村に現れた三人目の救世主様なんだ!」
三蔵「救世主伝説?何だ?それは?」
ハン「へへ!教えてやるよ!遠い昔…この村にはな!二度も救世主様が現れてるんだぜ?」
ハンは、この村の言い伝えである救世主伝説を語りはじめた。
それは遠い昔…
正確にいつの時代なのか?
本当の事か?
作られた創作話なのか?
ただ、長々と言い伝えられて来た伝説があるのだ。
かつて遠い昔、この地周辺に現れた白い魔物と魔物の大群!この地は、その白い魔物によって制圧されていたのだそうだ。
そこに現れた二人の少年?
一人は金の尾のある金色の髪の少年と、そして炎を纏った少年の英雄伝説!!
二人の少年は凶悪なる白い魔物相手に立ち向かい、見事凶悪なる白い魔物を退治したと言うのだ!
まさに英雄伝説?
ハン「俺はその英雄伝説に憧れて、いつかこの力で村の英雄になってやると誓ったんだ!」
大徳「うむ。信じられん話だな…」
三千院「何かの逸話か英雄信仰の名残だろう…実際、そのような事実が歴史上にあったなんて信じられぬ」
ハン「信じてないな!だったら、もう一つの英雄伝説は誰もが知る超有名人だぜ!」
三蔵「有名人?」
ハン「そうだ!その方は…かの有名な…」
『三蔵法師様だよ!』
んな?
ここに来て、三蔵法師??
ハン「どうだ?びっくりしたか?」
三蔵「なぁ…」
ハン「何だよ?」
三蔵「俺も三蔵法師なんだぜ?」
ハン「冗談は休み休み言えよな?」
三蔵「…ぶん殴る!」
蛇塚「カッ!カッ!カッ!」
三蔵「そこ!笑うな!」
ハン「三蔵法師様はな!この地に現れた数千…いや、数万の魔物をお一人で退治した偉大な方なんだ!お前みたいなムカつく奴と一緒にすんなよ!」
大徳「…数千、数万の魔物を一人でとは?これもまた有り得んな…」
ハン「じゃあ、証拠見せてやるよ!」
三千院「証拠があるのか?」
俺達がハンに連れて行かれた場所は、何百年も昔に造られたと思われる村を四方に囲んだ四本の柱であった。そこには神秘な力を感じる強力な結解が施されていたのだ。しかも、そこには確かに『三蔵法師』と記されていたのである。
蛇塚「…何て結解だ!?我々の総本山と同等の強力な結界だ!!」
大徳「しかも…我々の張る結解に似ている…」
三千院「恐らく我々の流派の先代の何者かが張った結解だろう。近辺の魔物から村を守るために、しかも張った主が三蔵法師とは…」
三千院は俺を見て、
(三蔵法師…何か因縁じみたものを感じる…)
三千院「だが、やはり伝説を全て信じる事は無理があるな…」
ハン「まだ、信じられないのかよ!」
と…
ハンが怒って腕をめくった時、ハンの義手にある『何か』に反応したかのように一人顔色を変える者がいたのだ。
(…あの、義手に刻まれた印!!間違いない!
まさか…
あの者が、この地にいるのか!?)
次回予告
三蔵「英雄伝説なんて、どうせ作り話だよな?
ん?転生記を読んで見ろだと?
何?転生記って?知らね~よ!
そう言えば、何か気になる事があるんだよな?
俺達って・・・確か、五人で来たんだよな?
そんな訳で、次回はそいつが喋ります!・・・多分」




