晴明の覚悟!神魔浄滅隊と謎の遺跡!?
三蔵が部屋を出ようとした時に現れた緊急の報告。
それは三蔵にとって、思いもよらない内容であった。
俺は三蔵だ!
俺は再び座主率いる明王の魂を持つ、四人の男達の前にいた。
神を導く救世主なんたらと俺を担ぎ上げるつもりだろうが知ったこっちゃねぇ!
話は決別…
俺はこの場から離れようとしたのだっ…たが、
そこに緊急の報告に来た僧侶によって足を止めたのだ。入って来た男は身体中に傷を負い重症でありながら涙ながらに報告する。
俺は関わり合うのはごめんだと立ち去ろうとしたのだったが、その男の口から発っせられた言葉は…
『安部晴明の戦死…』
と言う…信じ難い内容であったのだ。
安部晴明…
かつて共に旅をし小角の死をきっかけに、俺達は別の道を歩みだした。
俺の…初めての『友』であった。
その晴明が死んだなんて絶対にありえん!
俺は…
『俺をその場所に連れて行けぇーー!』
と、叫んだのだ。
しかし何故に晴明がそんな事になったんだ…!?
それについては三千院が説明した。
俺が地下の牢屋に閉じ込められる事、
二週間…
…ん?何?二週間も俺は閉じ込められていたのか??
再び怒りが込み上げる。
いやいや…
それより、今は晴明の話だよな?
俺が地下牢にいる間、晴明もまた座主に呼ばれていたのである。
声を出さない座主に代わり三千院が話をする。
晴明「私は…私は三蔵を許す事が出来ません!あいつは…お…小角様を!小角様を!」
三千院「その事についてだが…」
晴明「聞きたくありません!私は…三蔵を許さない!そんな奴が救世主だなんて!私は…」
顔を背ける晴明に座主は晴明の心を読んだのだ。
それは…
小角の死んだ時の映像…
座主「!!」
(晴明…貴方は全てを知っている?)
座主の心を読み取った三世院が、晴明に問い掛けたのである。
三世院「晴明…お前?事の真実を知っているのか?知っていてもなお、三蔵を憎むと言うのか?」
晴明もまた心を読まれた事を察知し、答える。
晴明「ええ…全て知っています…三蔵が…小角様を手にかけた理由も…小角様が何のために死んだのかも…小角様が死んだ時の残留思念が…私に真実を教えてくれました…」
三千院「それでは何故?」
晴明「解っているさ!知っているさ!」
晴明は声を荒らげて感情をあらわにする。
晴明「それでも!それでも…」
私は…どうしても納得出来ないのです!
心が!魂が!どうしても…この蟠りを…癒してくれないのです!
どうして小角様が死なねばならなかったのか?
何故小角様が!!私は納得出来ないのです!」
晴明は全てを知っていた。
俺が小角を殺した本当の理由を…
それでも俺を恨む事で、晴明は自分自身の自我を保っていたのだ。
それだけ小角は晴明にとって…かけがえのない存在だったのだから…
晴明「親友を恨む事でしか自分自身を保てないなんて何て愚かで弱い存在なんだ…」
晴明は涙を流しながら、その場にうずくまったのだった。
そして晴明はそんな自分自身に鞭を打つかのように三千院に申し出たのだ。
『頼みがあります!』
晴明「私を貴方達と同じく『神魔浄滅隊』に参加させて戴きたい!」
三千院「!!」
神魔浄滅隊とは?
三千院「晴明、それを何処で?」
晴明「噂は耳にしています!闇に暗躍する神魔の関係した裏組織や、この世界に蔓延る悪霊や魔物を人知れず退魔する集団!それを神魔浄滅隊と呼ぶと!」
三千院「やけに詳しいな?」
晴明「……裏の業界では噂になっていますよ?私もまた裏の世界には精通していますからね」
三千院「神魔浄滅隊に入る事は長生き出来ぬ事を意味しているのだぞ?」
晴明「それは、貴方達とて同じ事!」
三千院「しかし晴明殿…貴方にその資格があるのかな?」
晴明「私では力不足と言うのでしょうか!」
三千院「いや、力は充分であろう…私が言っているのは、今の自暴自棄の!死に急いでいるような晴明殿に、この任務が任せられるかと言っているのだよ!」
晴明「それは…」
三千院「この任務は生と死の狭間の戦いだ!いつ命を落とすか解らない!晴明殿の死に急ぎを手助けするものではないと言っているのだ!」
晴明「違います!私は…私は!小角様の意志を!小角様が築いた…この組織の中にて身を投じたいのです!」
三千院「…そこまで知っていたか!」
神魔浄滅隊なる組織こそ総本山の選りすぐりの猛者を集め、小角が神と魔と戦うために長年を費やし結成した組織だったのだ。いや?この総本山全てが小角が残した遺産なのだと言う。
そして晴明の覚悟を知り、三千院は晴明の願いを承知したのだった。
その後…
晴明は神魔浄滅隊の一員として、近々見付かったばかりの遺跡調査に向かったのだったが…
そこで晴明は…死?
三蔵「晴明は死んじゃいねぇー!」
更に三千院は、報告に来た僧侶に話の続きを聞いたのである。
遺跡よりの唯一の生存者である僧侶の男は、遺跡調査で晴明に起きた出来事を説明し始めたのだ。
近々魔物が頻繁に現れると言う村から救援があり、晴明と選りすぐりの僧侶達三十名はその村に向かったのだと言う。
晴明達は無事に村に辿り着く事は出来たのだが、そこで晴明達は怪しげな謎の遺跡を見付けたのだ。
調査の結果…
魔物は、その遺跡より出没する事が解った。
遺跡は何十…何百もの強力な結解に覆われていて、遺跡の中に入るには困難を期したのだという。
だが、晴明と僧侶達は苦労の末…
結解を解きながら、謎の遺跡の中へと侵入を試みたのだ。
遺跡の中は妖気渦巻く異様な地下遺跡であった。
晴明率いる僧侶達は、更に地下へと突き進んで降りて行ったのだ。
僧侶「晴明殿…ここは一体?」
晴明「油断はなりませぬ!この妖気は尋常ではありません!この元凶を直ちに突き止め、浄化するのが我々の任務なのだから!」
僧侶「解りました!」
さらに奥に進むと晴明達は恐るべき状況を目の当たりにしたのだ。
それは遺跡の奥に潜む…
信じ難い程の魑魅魍魎や化け物の群れ!
百や千…そんな数じゃない!万単位…いや?数えられるレベルじゃない程の?
晴明「なんなんだ…この魔物達は!一体何処から現れたのだ!?」
驚愕する晴明達…
その時、背後から悲鳴が響き渡ったのである。
『うぎゃあああああ!』
それは仲間の悲鳴であった。晴明達の侵入に気付いた化け物が、仲間の僧侶を襲ったのだ!その悲鳴を聞いて他の化け物達がこちらに向かって来る!
晴明「クッ!」
晴明はすかさず仲間達に命令をくだしたのだ。
晴明『我々は今より撤退する!ここより生きて逃げ延び、この事態を総本山の仲間達に報告するのだぁ!』
晴明と僧侶達は入って来た道を急ぎ走り抜けていく。
が、そこには既に化け物達が道を塞いでいたのだ!
晴明『臨!兵!闘!者!皆!陣!烈!在!前!』
晴明はすかさず九字の印を結び、『退魔滅破の気』を放つ!
晴明の気孔破が化け物達を消し去っていく…
他の僧侶達も晴明に続き化け物達に気を放つ!
が、その化け物達の数は半端じゃなかった。
晴明達一行を飲み込まんと迫って来ていたのだ。
晴明「一人でも良い…一人でも生きて…総本山の仲間に…この事を知らせねば!」
床や壁が魔物と同化し仲間達を飲み込んでいく。更に追いかけて来た化け物達に、道を塞ぐ魑魅魍魎。
どれくらい駆け回ったのか解らない…
絶体絶命の中、一人一人仲間達が消えていきつつも、一人でも生きて総本山に報告すると言う義務のため、晴明達は出口を目差して突き進んだのだ。
傷つきながらも最後まで生き残ったのは、晴明と一人の若い僧侶だった。
だが、追いかけて来る化け物も数が減る様子もない…
そして遺跡の出口が見えたその時、晴明は一人振り返ったのである?
晴明「後は頼む…」
そう言い残すと晴明は若い僧侶が出口から出たと同時に、晴明は残った霊力を全て籠めて、
『五芒結解!』
入り口に強力な結解を張ったのだった。
それは、仲間の僧侶を逃がすためだけでなく、遺跡から抜け出ようとする化け物達を外に出さないためであった。
そして話を終えた僧侶は涙ぐみながら語り続ける。
僧侶「そう言って晴明様は、私に総本山への報告の任務を託して…一人…残ったのです。私が振り返った時には、晴明様に化け物が…化け物が…覆い隠すかのように…ウウウッ!」
己の力不足と唯一生き残った事に涙する僧侶。
三蔵「そんな馬鹿な事が…晴明が…晴明が…俺は信じねぇーぞ!!晴明は死なねぇ…晴明は死なない…死なせねぇ!奴は必ず生きている!」
俺は立ち上がり決意した。
三蔵「俺を直ぐに!その遺跡とやらに連れて行けぇー!」
俺は叫んだのだ!
三千院「それは無理だ…」
だが、ソッコー却下に俺は頭に来て一人で出て行こうとする。
三蔵「お前には関係ねぇ!俺は行く!行って、晴明を連れ戻してやる!」
大徳「今の話を聞いてなかったのか?その遺跡には数え切れないほどの魔物がいるのだぞ?それに晴明殿も生きているかも解らぬのだ!」
三蔵「関係ねぇ!関係ねぇ!関係ねぇ!関係ねぇ!遺跡の化け物も関係ねぇ!晴明は死なない!俺はその遺跡に行くんだぁ!」
三千院「まるで子供の我が儘だ…」
『今のお前では、力不足だと言っているのだ!』
三蔵「んな?」
『なぁんだぁとぉー!』
俺を三千院の言葉にブチ切れ寸前だった!
三蔵「はぁ~?俺が力不足だって?この俺の事をナメるのもいい加減にしやがれぇー!!」
三千院「ならば、私に一度でも勝てたならば考えを訂正してやろう!」
そう言って三千院は静かに立ち上がったのだ。
蛇塚「三千院さん?」
大徳「いつものあれだな…」
バサラ「サディスト…」
三千院は座主を見て了承を得る。
三千院「宜しいですね?」
そう言うと、座主は軽く頷いたのだ。
三蔵「ふっ…別にお前の許可なんか関係ねぇが、ナメられてばかりなのも腹がたつなぁ…」
『だからぶん殴る!』
俺は怒り心頭で三千院に向かって行った!
頭に血がのぼり、怒りに身を任せながら拳に炎を籠めて、目の前の三千院って奴に殴り掛かる!
三蔵「俺はロン毛が嫌いなんだよぉー!」
三千院「ロン毛は関係あるまい?」
その後、これから起きる現実に俺は信じられずに茫然となる。
俺の炎の拳は三千院の指先で止められ、その指先から放たれた霊気で隣の部屋まで弾き飛ばされたのだ!
三蔵「ば…馬鹿な…!?」
…つ…強すぎるだろ?
次回予告
三蔵「俺は強いよな?なんかよ~最近、負け続けてないか?
一応、主人公だよな?俺?
そんな事より俺を遺跡に連れて行けぇーー!!
晴明!待っていろよ?俺が必ず・・・
でも、こんな弱い俺に何が出来るのだろう??」
三蔵「いやいや!気持ちで負けてどうする?
何?次の話には俺に因縁関わる奴が現れるだと?
どんな奴だよ?何?小角の一番弟子だと???
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
俺が一番だぁーーーーいい!」




