表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神を導きし救世主!  作者: 河童王子
193/200

転生変化?闇に堕ちた三蔵!?

三蔵の目の前で愛する卑弥呼が蚩尤の手で死んだ。


三蔵の心は・・・砕け散った。


もう…良い…


もう、終わりにさせてくれよ?


お願いだ…


もう、俺を解放させてくれよ…



俺は三蔵…



俺は蚩尤によって両手を触手で串刺しにされ、壁に張り付けにされていた。


蚩尤は勝ち誇りながら傷付いた俺を見ていた。



蚩尤『ふふふ…三蔵!俺が受けた怒りや屈辱はこんなもんではないぞ?貴様の身近な者を一人一人消し去り、孤立させて、泣き叫ぶ今のお前の姿を見たかったぞ?』



俺はそんな蚩尤の嘲る台詞も上の空であった。



解ったよ…


もう、良いだろ?



早く殺してくれ…


もう、俺には何も残ってはいないのだから…



親も師も友も妻も子供も…


皆、消えちまった…



消えちまったから…


俺が望んだ幸せは何て儚く脆いのだ…そんなに大層なもんだったのか?そもそも俺なんかが最初から望んではいけなかったのか?



俺が呪われし人間だからか?それとも俺が救世主だからか?


だったら救世主になんかなりたかねぇよ!



こんなに辛くて、苦しくて、悲しみを背負わなきゃならねぇなら、誰が好き好んでやるもんか!



こんな事なら、最初から何もいらなかった…


失うと解っていたら、幸せなんか望まない…



必要なかった…


そうだ…


俺はそもそも一人で良かったのだ…


両親を殺し、心を閉ざしたあの時みたいに…


一人で良かったのだ…



だが、俺は小角と出会ってしまった…


あの時の俺は、救われたと思った…


生きる希望を、夢を見てしまった…


俺なんかが生きていても良い等と考えてしまった…



しかし間違い!


あの日、小角にさえ出会わなきゃ良かったのだ…



そうすれば三千院、大徳、バサラ、蛇塚…晴明…


そして、卑弥呼や法子に出会わないですんだのだから…


俺なんか、あのまま野垂れ死んでいれば良かったのだ!


全ては無駄!



何故だ?


何故なんだ!?


何故俺はまだ生きている?


俺さえいなければ皆は死ななかったのではないか?



俺なんかじゃなく、本当の救世主様なんかが現れていれば皆は死なないですんだのではないか?



俺は救世主なんかじゃない…


疫病神?


いや、死に神だ!!



気付くと俺はガキの姿であった。


思い出す…


両親に虐待されて震えながら小さくなっていた昔…


自分自身がいつ死ぬか解らないで怯えていたガキの頃の俺…


どうして死ぬ事がそんなに怖かったのだろうか?


あの時死んでいたら、こんなに苦しまなくて良かったのに…


誰も巻き添えにしなくて良かった…




生きていく事が、こんなに辛いだなんて思ってもみなかった…


俺が生き長らえた事で何が出来たのだ?



意味なんかあったのか?


何もありゃしねぇ…



幸せを掴み、手に入れたと思っていたら…


穴の開いた器から水が零れ落ちるかのように消えていく…


掬っても…掬っても…


俺の手から流れ落ちていく光の結晶…


それは救えなかった皆の魂に思える。



俺は誰一人救えやしねぇ…


今の俺は手足を一本一本むしり取られ、身動きも出来ないまま放置された虫のようなものだった…



もう疲れたよ…


いい加減勘弁してくれよ?


このまま死なせてくれ…




自由にさせてくれ…


そうすれば、あの世で皆にまた会えるから…


そしたら今度こそ幸せってやつになれるのかな?


死ねば、もう苦しまなくても良いのかな?




俺は完全に生きる目的も気力も失っていた。



その時、小角が死ぬ間際に俺に言った言葉が蘇る…



小角『三蔵…苦しかろ?じゃが、これは…試練なのじゃ…儂達は大きな罪を背負っておる…罪を背負うと言う事は、苦しく、まるで炎で身を焦がされるような痛みであろう?いっそう忘れられたらどんなに楽かとも思うじゃろう。じゃがな?儂達はそれらから逃げてはならぬのじゃ…逃げず、背けず、その全てを受け入れ、背負った上で、それでも己を保たねばならぬ…それは、耐え難い十字架を背負う事になろう。じゃがそれは神が与えた試練なんじゃと儂は考えておる。その試練を乗り越えた時、それがきっと、これからお主の未来に起きるであろう…世界をも巻き込む絶望という名の災厄に立ち向かうための『力』となってお主に戻って来るのじゃ…』



『炎(罪)を背負うのじゃ…そして、己が魂の力とせよ!三蔵よ!』






小角の遺言・・・



皆と出会い、救世主になると決めた日


もう逃げないと誓った…


誓ったはずだったが…


小角の言葉ですら、今の俺にはもうどうでもよくなっていた…



そもそも救世主になろうと考えたのも、皆が俺を支えおだててくれたから…


だが、俺が救世主になって本当に世界を救ったとして誰が喜んでくれる?



本当に喜んで欲しい奴らはもういない…


振り返った先にはもう誰もいないのだから…



何が救世主だ!!



世界に一人取り残され、何を救えと言うのだ?



俺にはもう助けたい奴も救いたい者も…


いない…


それでも俺に何かを求めると言うなら、それこそこの世は…



生き地獄だぁ!!



どうして、俺だけこんなに苦しまねばならないのだ?


どうして、俺だけ…


試練?償い?


俺には無理だ…


知らねぇよ…


こんな世界知らねぇ…



こんな世界なら…


こんな世界なら、いっそ俺の手で…



消し去ってやりたい・・・



こんな世界なら…


俺が破壊して…や…



俺の中で光が消えていく?


深い悲しみは闇を呼び込み、闇は光を包み隠し、深く深く沈んでいく…


二度と引き返せない…


漆黒の闇へと…



俺の魂が闇に沈み、堕ちていく中…



誰かの声が聞こえた?



『いらぬなら、その身を俺に返すがよい!さすればお前はその悲しみの呪縛より解放されよう!さあ!俺にその身を捧げよ!!』



誰だ?俺の身を返せだと?


何を言ってるんだ?


この押し潰す悲しみから解放してくれるだと?


あはは・・・


それが本当なら、良いぜ?


俺はもう、疲れたよ


こんな俺の身体でよければ・・・




くれてやるよ!!




そして、 俺は無意識に呟いた・・・




『転生変化唯我独尊… 』




同時に、俺の身体を黒い炎が渦を巻きながら包み込み、俺の身体を消し去ったのだ!!

次回予告


堕ちる三蔵の身に何が?


今、三蔵の正体が明かされる!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ