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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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愛の誓い!卑弥呼?俺は生涯、お前を守り抜くと決めた!


三千院と亡者大徳の戦いの行方は?


そして、三蔵は間に合う事が出来るのか?



俺は三蔵…



あ…アータル?


嘘だ…


これは何かの間違いだよな?



アータルが俺の目の前で消えちまった?


あいつは最後の力を振り絞り、俺のために総本山本殿[五重塔]への侵入通路を作ってくれたんだ。



だが、入り口は少しずつ閉じようとしていた。アータルの最期を悲しむ暇もないのかよ?


俺は穴が塞がる間際に飛び込み五重塔の中へと入った。


辺りを振り回すと、中は化け物の体内のように悍ましく変わっていた。生き物のように脈打つ床を踏み締め俺は先を目指す。俺はやみくもに駆け回っていた。


右も左も解りゃしねぇ…


まるで中国遺跡の時みたいじゃねぇか?



そんな時、俺は三千院の気を感じたのだ!俺は気を探り、その方向へと駆け出した。



そこで俺が見たものは…



激しい戦いが行われたと思われる惨状の中に…


胴体の半分と首だけが残った…


変わり果てた三千院の亡きがらであった。



さらに三千院の近くには大徳らしき亡きがらまで転がっていた。




俺は…


俺はただ茫然と、その状況を見てもなお…


理解が出来ないでいた…




信じられずにいた…



だって、そうだろ?



あいつ達が…


あいつ達が死ぬなんて、有り得ない…


あって、たまるかぁー!



だが、目の前の現実は生々しく、俺を絶望の淵へと突き落とした。



「あっ…あぁぁ…」



頭の中が白く白く…


思考が回らない…



「おっ…おごぉ!」



死体なんて仕事がら見慣れたいた…けど、俺はたまらずに吐いてしまった。



解らねぇ…


何が何だか…



そんな時、俺の脳裏に浮かんだのは…



卑弥呼…法子!!



(そうだ!)


三蔵「卑弥呼!法子!」



俺は叫び、その場から駆け出したのだ。



二人を探さなければ!


きっと蚩尤から逃れるために、この中の何処かをさ迷っているに違いない!


俺は二人の無事を祈りつつ、本殿の中を駆け回った…


途中、魔物が襲い掛かって来たが、



「俺の邪魔するなぁー!」



俺は手にした降魔の剣で斬り伏せていく。


一撃のもと、真っ二つになって消えていく魔物達…


その時、俺の指に光るモノが?



それは…


俺は思い出していた…




そう、あれは…


俺が中国遺跡から帰還した後だったな?


俺と卑弥呼との間に法子が出来た事を知って、俺は責任を負う形で夫婦になった。つまり、できちゃった婚だ。


その後、ぎこちない俺は再び卑弥呼のいる奥の院に忍び込み…連れ出した。



俺は卑弥呼と二人きりになると、変に緊張していた事を思い出す。



「おっ!俺は…えっと、あのよ?良く聞けよ!」


「?」



卑弥呼は吃る俺を不思議そうに見ていた(聞いていた)


「まぁ~俺とお前は…あんな形で夫婦になった訳で、正直…悪いと思ってるんだぜ?本当、出会いは最悪だった!いや、俺が悪いのだけど…正直外道だったと後悔している!いや!後悔てのは夫婦になった事ではなくて、俺の行為に対してだぞ?本当、最低最悪の出会いだった…」



「…………」



無言の卑弥呼に対し、俺は卑弥呼の肩を掴み言ったのである。



「これから1からやり直したい!お前が良ければ、俺はお前を責任とかではなく…ちゃんと妻として…愛したいと思っている!」



すると卑弥呼は…


「心配しないでください?私はずっと出会う前から貴方だけを見ていました。貴方に出会う事を楽しみに生きて来ました。出会いはあんな形でしたが…」


「すみません…」



謝る俺に…



「ふふっ…私は貴方に出会う前からお慕い申していましたわ?」



俺は卑弥呼を強く抱きしめて言った。



「俺はお前を一生守り抜く!この命が尽きるまで…いや、死んでもお前と子供を守り抜いてみせるからな!だから、お前は俺を信じろ!そのために俺は救世主にでも何でもなって、お前と法子の未来を守り抜いてやるぞ!」



そして俺は卑弥呼の指に誓いの指輪を嵌めたのだ。


それは俺の気で造った誓いの指輪…


卑弥呼もまた、俺の指に同じく指輪を嵌めた。



「この指輪は、お互いを結ぶ誓いの証だ!」



そして、俺は再び卑弥呼を抱きしめたのだ。



正直、情けないプロポーズだった。


法子…


正直、俺は父親らしき事なんかしてなかったな?



俺が旅に出る時、あいつは小さな手を振りながら「早く帰って来てね」と、言っていた…



俺は帰って来たぞ!



だから、俺を待っていてくれ?



俺は夫として、父親として、あの日の誓いは必ず守り抜いてみせる!お前達を守り抜いてみせる!




俺は走った…


走って…走って…



探し回った。



愛する卑弥呼と法子のいる場所へ…



『!!』



その時、確かに感じた。



卑弥呼の気を!!


俺は卑弥呼の気を感じた方に向かって走った。


そして、見付けたのである。





卑弥呼を!



三蔵『卑弥呼ぉーー!』



俺は駆け寄り、卑弥呼に手を伸ばすと…



俺の伸ばした指先の指輪が消えていく…



同時に、卑弥呼は崩れ落ちるように倒れていく?



俺は倒れる卑弥呼を抱き抱えると…



(そんな…馬鹿な…?)



卑弥呼は胸を貫かれて、既に息絶えていた。



うっ…ううぅ…


俺の中で何かが弾け消えた…


そして、



三蔵『うわぁあああああ!卑弥呼ぉおおー!!』



俺は膝をつき、動かない卑弥呼を力一杯抱きしめ…


尽きる事なく涙が溢れて来て…絶叫した。



そんな俺を見て、薄笑いを浮かべながら近付く気配が有った。



俺の怒りを、悲しみを、


まるで楽しみ喜ぶかのように、そいつは俺を見下ろしながら現れたのだ。




三蔵『テメェは!蚩尤!』



俺は立ち上がり、蚩尤に向かって殴り掛かる。


『金色の魔眼』



俺の瞳が金色に輝く時、その力が倍増され……


が、俺の瞳が変わらなかったのだ??



(何?力が発動しないだと??)



蚩尤は無防備に突っ込んだ俺の顔を掴みあげ宙吊りにした。



三蔵「放せ!クソォ!クソォ!クソォ!」



そして、そのまま俺は地面に叩き付けられたのだ。


俺は血ヘドを吐き、もがき苦しんだ…


更に無力な俺を嘲笑うかのように蚩尤は言った。



蚩尤「滑稽だな?三蔵よ!これが中国遺跡にて俺を苦しめた人間とはな?いや、それも仲間達あっての事か?それも今はいない!しかも、お前の持っていた不動明王なる神の守護も得られないのであろう?アハハハ!俺は見ていたのだよ!お前が一人になるこんな機会が来るのを!貴様に恨みを返すためにな!」



こいつ…


俺に恨みを返すために?


そのために、三千院や大徳やバサラ…


蛇塚にアータル…


総本山の修行僧達…



それに、卑弥呼を!!



俺は、その時…


大切な事を思い出した。



(法子は?法子は何処だ?法子は何処に行ったのだ!)



俺は辺りを見回した。


いない?


逃げ延びたのか?



卑弥呼が逃がしてくれたのか?



そんな俺の唯一の希望を打ち壊すかのように蚩尤は言った。



蚩尤『そういえば、ガキが一匹いたな?』


三蔵「!!」


蚩尤『ふふふ…あれは上物だったぞ?逃げて泣き叫ぶガキを捕まえるのは愉快だった!そして捕まえた後、俺はつまみ上げて口の中に入れたのだ!アハハハ!暫く口の中で暴れていたな?だが、ひと噛みする事に口の中に甘い液体が広がって、その美味に何度か噛み続けていくと口の中で動かなくなっていたな?美味だったぞ?久しぶりのガキの踊り食いは!ぎゃははははは!』




蚩尤の下卑た笑いが俺を苦しめる。


信じられない…


信じたくない…



だが、俺は俺は…



全ての現実が夢だったのじゃないかと…


夢であって欲しいと…



そう願った…



だが、どんなに現実から目を離そうと、身体中を巡る痛みが夢じゃないと告げる。見ると、蚩尤の足元には法子の脱げ落ちた小さな赤い靴が転がっていた。



夢じゃ・・・ないのか?



今は怒りよりも、悲しみよりも、ただ…



真っ白に…


心が壊れていく…



深い闇の中に沈んでいくような…


絶望の果てに…



俺は呟いた。



「俺を殺してくれ…」



次回予告


三蔵「嘘だ・・・全て、失った・・・


俺はもう、戦えない・・・」

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