誓いを胸に?バサラ最後の賭け!!
蚩尤と大徳の壮絶な戦いの末、大徳は敗れ去った。
しかし、その最期には何か謎が??
そして遺跡より逃亡中のバサラは?
私は卑弥呼…
私とお兄様(三千院)は大徳の死の瞬間から、何かを私達に伝えようとしている事に気付いたのです。
だけど、一体何を伝えたかったのですか?
そして、私達はまだビジョンの続きを見ていたのでした。
一人、遺跡の中より脱出を試みるバサラの姿を…
しかし入る時とは違い、出る時には困難だったのです。
蚩尤の部下の魔物達が狭い遺跡の通路の中で、バサラを捕えようと襲い掛かって来ているのです。
しかしバサラの疾風の如き動きは、魔物達の隙間をすり抜けていく!
(外に待たせている者達にこの状況を日本の総本山へと伝達を依頼した後、急ぎ戻り大徳の助っ人に向かわねば!)
バサラが通り過ぎた後、魔物達が斬り裂かれていく…
バサラの両手に持つ短刀は、カミシニの血を吸いし特殊な妖刀であり、魔物達にも通用するのです。
そしてバサラが遺跡の外まで辿り着いた時!!
『そんな馬鹿な!!』
バサラがそこで目撃したものは、外に待たせていたはずの中国総本山の僧侶達が全員、遺跡を埋め尽くす程の魔物達に襲われた後だったのです。
魔物達は僧侶達を喰らい、肉片と骨をミンチ状態になるまで貪っていたのです。
バサラは…
バサラ「全滅だと!?これほどの数の魔物がいようとは…」
それは数千?数万以上の魔物達…これでは総本山に報告をする事はもちろん、逃げる事も出来ないと悟ったバサラは意を決して…
バサラ「せめて、一匹でも多く始末してやろう!」
この地を己の死に場所と決めたのです。
バサラは魔物達の群がる中央に向かって飛び出し着地すると、真言を唱える!
『オン・バザラ・ヤキシャ・ウン!』
見る見るバサラの姿が金剛夜叉明王の姿へと変わっていく。
バサラ『あの方[卑弥呼様]の元には一匹足らずも行かせはせん!』
魔物達は突然目の前に現れた部外者に、驚きを感じていたのでした。
何故なら、このバサラは無謀とも思える魔物達の数に対して、たった一人で挑もうとしているのだから…
『こいつ正気か?』
『ナメやがって!』
『餌だ!俺が喰らう!』
魔物達はバサラに向かって、一斉に襲い掛かったのでした。
『!!』
が、魔物達は目の前のバサラを見失っていく…
いえ、そのスピードに目が追い付かなかったのです!
白い閃光の煌めきに気付いた時、魔物達は己の身体が斬り刻まれた事を後から知るのです。
閃光の白夜叉が戦場に舞い降りた時、そこには無残な死骸しか残らない。
一時も止まる事なく、速度は更に上がり、白い閃光は魔物を喰らう夜叉の如くその命を刈っていく…
しかし、私にはバサラが自分自身の力を抑えてるいるように見えたのです。
いえ、バサラはきっと…
私との誓いを守って?
それは、かつて中国遺跡から帰還して間もなくの話でした。
バサラは遺跡での戦いにて、かつてゼロと呼ばれる少年だった記憶とカミシニとしての力[倶梨伽羅]を覚醒させてしまったのです。
その日、私はバサラを呼び、誰にも話していない避け難い未来の予知を告げたのでした。
それは…
『遠い未来…いえ、それは間もなく来る未来…
世界は暗雲に包まれ、滅びへと導かれる…
そのような絶望の中で、救世主は未来に光を照らすために現れるでしょう』
バサラ「それが三蔵なのですね?」
卑弥呼「はい」
そして、私は信じがたい未来の続きをバサラに告げてしまったのです。
『その救世主の前に九匹の蛇龍が未来への道を塞ぐ…
蛇龍は救世主の光を喰らおうと、襲い掛かるのです』
そして、その蛇龍の中に…
『光の救世主・三蔵の前に立ちはだかる青き蛇龍がその姿を現す。救世主と青き蛇龍は命を削りあう。その姿は…』
バサラは私が言いにくくしている事を悟ったかのように言ったのです。
バサラ「俺なのですね?」
私が頷くとバサラは…
バサラ「安心してください。俺はこの力は生涯使わないと誓います!万が一使う事があるなら、この命を自らの手で貴女に捧げると誓いましょう」
卑弥呼「命を粗末にするような言葉は許しません!」
バサラ「それに、俺は三蔵が嫌いじゃないですから」
と、私に微笑んだのでした。
バサラ…
貴方は…
あの時の誓いを?
再び戦場では、遺跡の中からあの凶悪な魔物が現れたのです。大徳を危めたあの魔物が…
魔神・蚩尤が!!
蚩尤は遺跡の外を眺めると、そこには生み出した魔物達の屍が山になっていたのでした。
更にその中央には…
身動き一つしないバサラが立っていたのです。
その身体には魔物達との凄まじい戦いの果てに受けた刀傷や、矛や矢が突き刺さったままの姿で…
蚩尤は勝ち誇った様子でバサラに近寄ると、
蚩尤『まぁ、良い!このバサラは少し厄介な力があるようだからな?たかだか数万の兵を失った程度で始末出来るなら安いもんよ!』
蚩尤は動かないバサラに近寄り、
蚩尤『だが、確実にトドメを刺しておかねばな?何故なら、この男は俺と同じ再生遺伝子を持っているのはずだ…』
そう言うと、蚩尤はバサラの頭を潰そうと腕を伸ばしたのです!
蚩尤『!!』
蚩尤はそこで動きが止まった。
何故なら、蚩尤の腕がバサラの腕により掴まれたから!
蚩尤『お前!まだ生きていたのかぁ!?』
バサラは…
『お前が此処にいると言う事は大徳が散ったのだな?
ならば俺も戦士として、あの方のために!』
するとバサラの身体から青いオーラが立ち込めたのです!それはあの倶梨伽羅の力でした!
バサラ『卑弥呼様!貴女との誓い破らせて戴きます!ただし!貴女の見た未来は変えてみせる!』
(こうする事で、俺が三蔵を傷付ける未来も変わるはずだ…それが、卑弥呼様…
貴女のために…俺が出来る唯一の…恩返し…
俺もろとも、貴女を苦しめていた未来を消し去ってやる…)
バサラから発した倶梨伽羅の力は、蚩尤の身体を徐々に消し去っていく…
その再生力を上回る『消滅の力』が解放された時、バサラの身体もまた崩壊し…て…いっ…
その時、バサラは消えゆく己の身体に違和感を感じたのです?
更に視界がぼやけた先に、声が聞こえる…
それは、『貴様!まだ生きていたのかぁ!!』
蚩尤の驚く声!?
蚩尤が腕を掴まれた時に先程聞いた台詞だったのです。
バサラが完全に状況を理解した時、自分自身が蚩尤の腕を掴み硬直していた状態で立っていたのでした。
バサラ「馬鹿な!?確かに俺は倶梨伽羅の力を解放させたはず!!」
その時、蚩尤は…
『惜しかったな?どうやら何かしようとしたらしいが失敗したようだな?』
バサラ「そんな馬鹿な!?」
蚩尤は指先をバサラの眼前に向けると、その爪が伸びてバサラの額を貫いたのでした。
私はそのビジョンを見て、目を反らしてしまったのです。
バサラは額を貫かれ、動かなくなり…
無念のまま散っていった。
バサラ…
死ぬ間際、私はバサラ…貴方の心の声を聞いてしまったのです。
(俺は貴女を…
あ…い…していたのかもしれません…
愛なんて…俺には理解出来ないと思っていた…
捨てたと思っていた…
仲間の大切さですら…
そんな俺の凍り付いていた心を、貴女や三蔵達が溶かしてくれた…教えてくれた…
戦うだけのマリオネットだった俺を、再び人間に戻してくれた…
だから、俺が消えても悲しまないでください…俺は人として死ねる事に感謝しているのですから…
俺は、貴女の笑顔を見ているだけで…)
私は熱を出して動けない法子を抱き抱えながら、魔物の巣窟と化した塔を走っていました。
その目に涙を流しながら…
卑弥呼「私達は、貴方の死を無駄には致しません!」
と、心に誓い。
バサラに向けて、
(ありがとうございます…)
更に場所が変わり、お兄様[三千院]は…
三千院「バサラ…」
三千院兄さんもまた、バサラの死に疑問を抱いていたのです。
(バサラが無駄死にだと?ありえん!これには何かトリックがあるはずだ!)
だけど、三千院お兄様は動けないでいたのです。
目の前には変わり果てた大徳の屍が、本人と同じ力量で襲い掛かって来ていたのだから…
三千院「大徳!バサラ!お前達が残してくれたこの謎は私が解き明かそう!」
次回予告
三蔵「大徳・・・バサラ・・・
お願いだ・・・もう、誰も俺の前から消えないでくれ・・・」
そして、三千院と亡者大徳の戦いの決着が!




