暴走族って凄い・・・
追われていた娘を助けた三蔵だったのだが、
相手は何と三蔵の神の力が通用しない謎の二人組だった。
まさかの大ピンチの三蔵の前に現れたのは、
騒音騒がしい暴走族だった。
俺は一人…
さ迷える旅人…
不動明王と呼ばれる神の力を手に入れた俺は、追われる身になっていた。
そんな俺が今いる場所は、
東京新宿!
そこで俺は怪しい奴達に追われていた娘を助けた…つもりだったのだが?
その相手がまずかった。
奴達には俺の持つ『神の力』が一切通用しなかったのだ!
何だ!?
俺の不動明王の…
神の力が?
奴達の前で全て消し去られてしまうのだ!?
そんなピンチの俺の前に現れたのは、
けたましい騒音と…
バイクのエンジン音?
そいつ達は見るからに危なそうな連中だった。
そう…
奴等は…『暴走族!』
て、おい!!
何なんだよ?こいつ達!
俺達の戦いに興味を持った馬鹿者野次馬達か?
三蔵「おぃ!お前達!命が惜しければ早くこの場から消えやがぁれ!」
俺は暴走族の連中に叫んだのだ!普通の人間を巻き添えなんかにしたら、この周辺死体の山だぜぇ?
だが、そいつ達は立ち去る気配はなく…
そのリーダーらしき男がバイクから降りて、こちらに向かってやって来たのだ。
馬鹿かぁ!!
素人が興味本位で関わるんじゃねぇよ!
俺はその男に近付き…
三蔵「てめぇ!聞いてるのかよぉ?素人が首を突っ込むんじゃ……!」
言い終える前に俺は怒鳴るのを止めた。
それは、その男から発っせられる威圧感からであった。
この俺を怯ませるほどの…
それにこの男…
でけぇ~
ニメートル近くあるだろうか?
黒いサングラスをかけ、背に鬼の刺繍がド派手の黒い革ジャンから見える胸元は、鍛え抜かれた筋肉がハッキリと見え、ただ者でない事を証明していた。
プロレス?空手?何かしら鍛え上げた体つきだな?
だが、所詮は素人!
無理無理無理無理無理!
だが、そのリーダー格の男は止めようとする俺を無言で払いのけ、目の前で余裕ぶっこいている二人の怪しい奴達に向かって行ったのだ。
三蔵「おっ!おぃ!」
「心配しなくても大丈夫ですよ!」
三蔵「!!」
止めようとする俺の背後から肩に手が置かれ、何者かが俺の耳元で囁いたのだ?俺は振り向きそいつを見た!
ソイツは俺に一切の気配を感じさせずに、俺の背後を取ったのだ。
その男は俺にニコニコと笑みを見せていた…
見た目は髪を金色に染めた綺麗な顔付きの優男である。リーダー格の男に比べ、それほどの力は感じさせないが、この俺に気配を感じさせないなんて…この優男??
優男「彼なら心配しなくても大丈夫ですよ?それより貴方は大丈夫でしたか?」
三蔵「お前達は一体?」
優男「私達は…あっ!彼が暴れるみたいなんで、少し退きましょ?」
すると、バイクに乗った連中の中から優男を叱る女の声が??
女「馬鹿者!あんたも戦わなきゃダメでしょ!何を弟一人に任せてんのよ!姉さん怒るわよ!」
優男「え~面倒臭い…」
派手な特攻服を着た長髪の女が登場し、嫌がる優男の首もとを引っ張り、一緒にサングラス男に続いて戦場へと向かったのだ!?
本当、何なんだ??
て、待て!あいつ達はヤバいんだって!
その時、轟音とともに爆風が起きて砂埃が舞ったのだった。
三蔵「な…何!?」
それは、最初のサングラスの男が放った拳圧からであった!
「ふふふ…てめぇら!生きて帰れると思うなよ!」
ボキィ…ボキボキ…
サングラスの男は指を鳴らし、不敵な笑みで二人の敵を睨みつける。
輪廻「何か騒がしくなって来たわね?」
転生「う~ん…私から見たら、輪廻も騒がしいと思いますけどね…」
輪廻「転生…死にたい?」
転生「それより輪廻?少し前を見たらいかがですか?」
輪廻「!!」
すると、サングラスの男が二人目掛けて殴りかかって来たのである。
輪廻「ふん!そんなもん!」
『!!』
その拳圧が、輪廻の身体を吹き飛ばしたのだ…
いや?辛うじて転生が輪廻を庇いつつ躱しやがった!
輪廻「何?私の力を貫いて来た!」
転生「………」
輪廻「どういう事?」
転生「これは、驚きましたね…私達に傷を負わせるなんて…」
見ると、輪廻を庇った転生の腕にかすり傷が!
転生「私に血を流させましたね?」
転生の目が、今までの穏やかな目付きから…
冷酷な目付きへと変わる!
転生「高貴なる私に血を流させた事を、少し後悔させてさしあげましょう…」
サングラスの男もまた目付きが変わる。
グラ男「ようやく本気モードか?だがな、俺達の恨みはこんなもんじゃないぜぇ!」
派手女「私達も参戦するわよ?」
優男「仕方ないなぁ…二人といると、いつも面倒事に巻き込まれるんだから…でも旅は道連れと言うし、仕方なくやりましょうか~」
三蔵「ゴクッ…」
俺は唾を飲み込み、その三人の戦いに魅入ってしまっていた。やはり、こいつ達ただ者じゃねぇぞ!?
奴達から凄まじい『気』を感じるぜぇ…
やはり、こいつ達は…
こっち側の人間か?
それもハンパない力量だ!
俺が身震いする程の…
その時、三人が動いた。
『八尺瓊勾玉!』
※ヤサカニノマガタマ
優男の身体から光り輝く勾玉が現れ、強烈な光りが放ちながら転生と輪廻の周りを回転し始めたのだ?
輪廻「何!?」
転生「……どうやら身体を縛られましたね…」
輪廻「嘘ぉ?いや!本当!マジに動けない!」
その不思議な勾玉は二人の動きを止めた。
そこに、派手な姉ちゃんの身体が光り輝く?いや、最初の優男発した光りとは少し違うぞ!?すると姉ちゃんの胸元から鏡が出現したのだ!
あれは高熱の光り…
まるで太陽光!
『八咫鏡!』
※ヤタノカガミ
高熱が二人を照らすと、次第に防御しようと差し出した腕の辺りから焦げ始めていく??
輪廻「何、これ?ちょっと!私の服が焦げ始めたわよ!?」
転生「来ますよ!」
輪廻「あいつ達!」
最後にサングラスの男が?
グラ男『ふふふ…貴様達に死を与えてやるぞ!』
男の身体から赤い水蒸気が噴き出し、
違う…あれは身体の血液が沸騰しているのか?
赤い血蒸気は次第に男の腕に集まっていく。
すると血蒸気は次第に『剣』の形へと変わっていったのだ!
グラ男『現れよ!天黨雲…草薙剣!』
※アマノムラクモ…クサナギノツルギ
男はその草薙の剣を手にすると、二人に向かって斬り掛かったのだ。
輪廻「どうする?あれ!何かヤバいよ!」
転生「…………」
すると、転生と輪廻は自分の爪先で手首に引っ掻き、己の手首に傷をつけたのだ。
手首から血がしたたる?
輪廻「こっちも本気出さないとね!」
転生「そうしましょう」
輪廻の手首から流れる血が次第に固まり…武器の形に変わっていったのだ!
それは、血で出来た大鎌?
『深血の紅鎌!』
転生の方は、その流れる血が変色し…
黒く濁っていく?
『濁血の黒鎌!』
己の血で作り上げた大型サイズの鎌を持った二人の様は、まるで死に神のようであった。
二人は鎌を振り回すと、己の身体を縛っていた呪縛を解き放ち、向かって来たサングラス男に向かって鎌を振り払ったのだ。
転生の黒い鎌と、サングラス男の剣がぶつかり合う。
転生「本当に不思議ですね?神の武器は私達の血に触れると跡形もなく消滅してしまうはずなのに…その武器はまるで刃溢れ一つないなんて…?どちらかと言えば…」
…私達の鎌に近い?
そこに、輪廻がサングラス男の背後から紅い鎌を振り払ってきたのだ!
が、そこにいたサングラス男の姿がまるで霧に紛れるように消えたのだ!
『悪いが、今日はここまでだ!じゃあな!』
エッ?
ドスッ!
呆然と奴達の戦いに魅入っていた俺は、何者かにミゾを一発くらわされ、意識を失ったのだ…
バイクの騒音と排気煙が辺りを覆い隠していく…
そこには騒がしかった騒音も消え、他にもいた暴走族達まで跡形なく消えていたのだった。
転生「あらら?逃げられましたね?」
輪廻「何だったの?あいつ達!」
転生「それより…アライヴさんに怒られますね…私達…」
輪廻「………えっ?」
二人もまた、赤い霧とともに消えたのだった。
うっうう…
俺が目覚めた場所は…
何処かの倉庫であった?
何処だ…ここは?
俺は辺りを見渡すと例の暴走族達のバイクが列んでいた。
そうか…
ここは奴達のアジトか?
奥の方で人の声が聞こえる?
きっと暴走族の連中か?
俺は起き上がり声のする方に向かった。
俺はこっそりと部屋の中を覗きこむ。そこには先程戦っていたサングラスの男と、ケバい女…で、優男がいない?で、他の奴等はバイクに待機していた連中か?
やはり…
コイツ達全員…
ただの人間じゃねぇな?
何か違う気を感じる!
やはり妖怪?
違う…こんな奴達始めてだぞ?ガラは悪そうだが禍々しい気を感じないしな?
優男「すみません…騒がしくて起きてしまいました?」
三蔵「…いや?気にするな!それより黙っていろ!奴達が何者か解らないし、状況が掴めん…」
優男「そうですか…少し黙っていますね?」
三蔵「あぁ…そうしてくれ!」
俺は再び奴達を覗きこ…
三蔵「…………」
覗きこ…ん…
三蔵「ダァーッ!」
俺は気付かないうちに隣にいた優男に気付いて驚き、その場に尻餅をついてしまったのである。
三蔵「お前!いつからいやがった!てか、気配隠して近寄るんじゃねぇー!」
優男「エッ?あ…すみませんです…癖なもんで…アハハ!」
あっ…
俺は気付くと、この場の注目の的になっていたのだ。
仕方ねぇなぁ…
三蔵「俺の名は三蔵!お前達は何者だぁー!何故、俺を連れてきたのだ!」
俺が指差し叫んだ相手は例のサングラスの男だった。
何て圧迫感だ…
俺は負けじと、サングラス男を睨みつけたのである。
サングラス男「………」
するとサングラス男は俺の目の前に立ち上がり、そのサングラスを外したのだ。
そして、その腕を俺の方に差し出すと?
来る
来るのか?
ぐしゃぐしゃ??
エッ?
そいつは俺の頭を力任せに撫で、俺の首に腕を絡め笑い出したのだ!?
はぁ~?
グラ男「ガハハハ!元気なガキだぁ!俺はお前みたいな奴は嫌いじゃねぇぜ?ガハハハ!」
なっ?なっ?なっ?
俺はこの男の予想外な行動に一瞬にして緊張の糸が解ける。
そして、サングラス男…いや!サングラスを外した男の腕を解き、距離をとったのだ。
三蔵「何なんだ!?お前達は!一体何者なのだと言っているんだよぉ!てか、子供扱いすんじゃねぇよ!殴るぞぉ!」
サングラス男…いや、サングラス外した男は俺を見て口を開く…
グラ無し「ふっ…最初はお前を放っておくつもりだったが、俺の仲間を救ってくれたようだからな?恩を返すのが俺達の流儀だ!それにお前に少し興味を抱いたのだ!」
三蔵「仲間を?てか、お前達は何者なんだ!」
グラ無し「そうか?紹介がまだだったな?俺達が何者かだったか?俺達は…
『ヤオヨローズ!』
さっきの二人組!『カミシニ』の連中を始末するために集まりし組織だ!」
ヤオヨローズ?
カミシニ?
全然意味が解らねぇぞ?
てか、俺は思った…
組織って…
コイツ達…
…暴走族じゃねぇのか?
次回予告
三蔵「このヤオヨローズの連中と関わった事から、とんでもない因縁と復讐渦巻く
次元の違う戦い・・・いや?戦争へと巻き込まれる事になるのだ・・・
しかし、この『カミシニ』って謎の力を持つ敵は?
ん?こいつ達って昔出ていなかったか?
いや・・・それは俺の知らない話だったな!
よし!
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
どんな戦いが待ち受けようとも、俺は負けないぜぇーー!!」