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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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天敵苦闘!アータルの正義!


蛇塚が風伯を相手にしていた時、アータルもまた蚩尤の側近と一人戦っていたのだ。


しかし、相手は?



クゥソォーーーー!


私は今、総本山の本殿の廊下を走り回っている。


私はアータル!


最高神アフラ・マズラ様の使徒だったのだが、蛇神島と呼ばれる島の地下にあった空間の歪みより、この世界に抜け出て来たのだ。


あの、宿敵!蛇神の王ザ・ハークを追って…


なのだが、この世界をさ迷っている途中でカミシニと呼ばれる神の力の通用しない者達に襲われたのだ。


しかも、その連中の中でも手強いクローリーなる奴に捕われてしまい、アルカナと呼ばれる拘束人形に封じられたのだ。


深く極まりない!


その後は意識を奪われて奴の言いなり…



そんな私を解放してくれたのが、人間の三蔵であり、養ってくれたのが総本山の卑弥呼であった。



アータル「一食一晩以上の借りを返す事こそ!ジャスティスダァーッ!」



なのだが…


カミシニの連中は厄介だ…


最高神レベルの私の炎ですら通用しないのだから…


私は追って来る悪魔達…いや、ここでは魔物と呼ぶらしいな?


その魔物達に向けて火炎放射を放つが、全然効果ないのだ。


そもそも、この魔物の胎内のように変わり果てた壁や床から立ち込める不快な力が、私の神力をも押さえ込んでいるようなのだ。


しかも…



雨師「待て~待て~!俺輩から逃げられなんて思わないでよ~!」



凄まじい勢いで私に向かって、水流弾が飛んで来る。


私は飛び回り躱しながら逃げていたのだ。



アータル「このストーカー!私に付き纏うな!変態野郎!」



私の罵声に雨師は…



雨師「はい!君を食べちゃいたいですよ!」



コイツ気持ち悪!


とにかく、此処じゃ勝負にならないぞ…


外に出なければ!


だが、壁を壊して外に出ようとも、この壁にもカミシニの力を感じるから壊すに壊せない…ならば!



私は動きを止め、壁際に背中を寄り掛からせながら雨師と向かい合うと…



雨師「あれ?逃げられないと思い諦めたようですね?では、死になさい!」



雨師の腹が膨らむと、口から血を混じらせた水流弾を吹き出したのだ!


水流弾は凄まじい勢いで向かって来たが、直撃する寸前で私は飛び上がると…


私の寄り掛かっていた壁が粉々に粉砕したのだ。



アータル「ラッキー!」



そのまま私は、崩壊した壁から外に逃げ出した。



雨師「なぁにー??俺輩の水技を外に抜け出すために使ったのか??こなくそ!」



雨師が逃げ出した私を追って、外に出ようとした時…

空中から凄まじい勢いで火炎弾が飛んで来て、雨師に直撃した。


それは空中に浮遊した私からの攻撃だった!



アータル「さぁて!外に出たらこっちのもんだ!これからが本番だ!」



が、その直後!私の胸と腹を何かが貫いた。



「エッ?」



血を吐き、力なく地上に落下していく私…


すると、目の前には無傷の雨師がゆっくりと近寄って来たのだ。


今の攻撃は雨師か??



雨師「やれやれ?君は天敵って言葉を知っていますか?」



天敵?



雨師「君の使う炎にとっての天敵は、水!俺輩は水を自在に使う水妖なのだよ!しかも君は神!神にとっての天敵とはカミシニ!まさに私は君にとって天敵以上の天敵なんだよ?解ったなら諦めて俺輩に食べられてしまいなさい!俺輩はお前みたいな神の子供が好物なんだよ~!」



アータル「クッソ!お前なんかに食われてたまるかぁー!」



私は身体から炎の気を高めると、有りったけの炎を噴き出したのである。


辺り一面が炎に包まれていくと、私は炎を自在に操りながら雨師に向けて攻撃を仕掛けたのだ!



雨師「無駄な事ですよ~」


すると突然空から雨が降って来て、豪雨となったのである。次第に消えていく私の炎…



アータル「馬鹿な?こんなタイミングで?エッ?あれ?あぁ!」



空を見ると、自分達のいる場所にだけ豪雨が降っていたのだ。



雨師「俺輩は雨を自在に操るのでぇ~す!さぁ…もう諦めなさい!」



豪雨にあてられ、炎が消えていく。しかもこの雨にはカミシニの血が混ざっていて、私の力が…存在すら…消えかけていく…



力が…


抜けていくようだ…



私は立っている事も出来ずに地面にひざまずく。



私は何も出来ないまま、このまま消えてしまうのか?


策がない…



訳ではなかった?



私にはカミシニの魔物を倒すための切り札がある…


しかし、それは私の正義に反する行為であった…


『正義』を信念とする私は躊躇していたのだ。



『正義』を貫き死ぬのも良いのかもしれ…な…ぃ



(いっ…)



私は雨師によって顔を掴まれ、今にも食われようとしていた。


覚悟したその時、この切り札について卑弥呼に相談した事を思い出す。



私がかつてクローリーに捕われ、奴の手足としてアルカナなる操り人形だった時の忌まわしき遺産…


あの三蔵の降魔の剣ともあいまみえた…


悪魔の力!



だが、卑弥呼は言った。



卑弥呼『例えそれが悪しき力だったとしても、使うのは持ち手次第なのです!もし私なら、愛する者達に危険が迫っていたとしたら、迷わずに使いますわ?』


アータル「しかし…」


卑弥呼『大切なのは、私達の貫きたい正義で何を守れるかですから…』



…そのためになら、悪しき力も『正義』になると?



守りたい者のためになら、その手を汚し、己の信念をも曲げると言うのか?



卑弥呼はその言葉通り、かつて孔雀明王の力を使った事がある。



確かに、このまま私が死んだら、何も残らない…



私の正義は何も助けられない…


そんなモノはただの自己満足なのではないのか?



嫌だ!


守りたい!



短い間であったが、私がこの総本山で過ごした記憶が蘇ってくる。


三蔵、卑弥呼、三千院に、大徳、バサラに蛇塚…


そして、法子!



(解った…)



アータル『私には守るべき者達がいる!守りたい者達がいる!そのためになら、あえてこの忌まわしき力を使おう!』



私は雨師に掴まれた手を払いのけ、そこから脱出する。



雨師「まだ逃げる力が残っていましたか?しかし~直ぐに捕まえてさしあげますよ~」



私は雨師の言葉が聞こえなかった。掌に力を集中させていた。



雨師は突然の私の抵抗に驚きつつも、再び私に迫って来る。



私は構えていた…


すると私の手に光が集約して形を成していく!それは私がクローリーのアルカナであった時に、特別に私のみに奴から渡された悪しき剣!


悪しき力?


いや、私が手にしてならこの剣は今や正義の剣だ!



ならば、敢えてこう呼ぼう!



『ジャスティスソーーーーード!!』




私の振り払った剣の閃光は、迫って来ていた雨師の胴体と下半身を真っ二つに斬り裂いたのである。



雨師「へっ?嘘?」



更に私の炎を剣に集中させる事によって、炎の剣となり…



『ジャスティス・ファイヤー・ソーーーード!!』



雨師を炎の渦に閉じ込め断末魔とともに消滅させたのだった。




やった…


だが、私の身体もまた消えかけていた…


雨師のカミシニの血の雨を浴び過ぎたせいか?


すると雨師を倒したおかげか、雲が開けて日差しが入り私の顔にかかる。



何か晴れ晴れした気持ちだ…


『!!』


その時、私は後方より迫って来ていた『希望』に気付いた。



ようやく来たようだな?




ならば、せめて私の正義の名の下に、最後の力を持ってお前の進む道を切り開いておいてやるからな!



私は再び剣の柄を握る手に力を籠める。



『道を開け!ジャスティス・ソーーード!!』



私は最後の力を振り絞ってジャスティスソードを振り払ったのだ!


ジャスティス・ソードの一降りは、魔物の要塞と化していた五重塔の壁をぶち壊し、中への侵入経路を作った。




これが私の…


最後の…


ジャスティスだ…





後はお前のジャスティスで、皆を…


友を助けてやって…



欲…し…ぃ…





そこで私は力尽き、その身体が薄くなっていく…



三蔵『アーータル!!』



崩れ倒れる私に向け、伸ばした三蔵の手は触れる事なく…



私の身体は消えていった。


次回予告


三蔵「アーータル!!


クッ・・・


お前の・・・


お前の正義は、俺の魂に引き継がれたからな?」



そして、物語は遡る!


天才・三千院の武勇が冴える!


しかし、三千院を動揺させる悲劇が!?

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