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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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父と娘!血の絆?


大徳は大威徳明王の転生者である剣崎徳子に、その動きを止められる。


鬼は徳子に父親を殺せば、鬼の一族として迎え入れると条件を付けたのだ。


今、徳子は父親である剣崎の命を取ろうとしていた。



俺は大徳力也…


俺は今、大威徳明王の転生者であり、『鬼の王』になろうとしている娘、剣崎徳子によって部屋の壁に弾き飛ばされ身動きが取れないでいた。


そんな中、娘に今にも殺されようとしている父親は…



剣崎「お願いだから…人を捨てないでくれ…もし、お前が人でいてくれるなら、お父さんは死んでも構わないから…」



と、娘に訴えたのだった。


娘は身体から抜け出た黒い手で父親を吊したまま…



徳子「…何を言ってるの?お父さん?お父さん今から死ぬんだよ?おかしいよ?ダメだよ?そこは命乞いするもんだよ?そうじゃなきゃ…」



娘の父親の首を絞める手に再び力が入る。



剣崎「ウグゥグ…」


徳子「お父さん覚えてる?初めて私達の前に鬼が現れた時の事?」



剣崎「……!?」


徳子「お父さん…突然現れた鬼達を見て、凄く震えてた…」


剣崎「あっ、あぁ…」


徳子「だけど、しょうがないよね?鬼達怖いもんね?だけど…」



すると娘は目に涙を浮かべながら、父親に言った。



徳子「一番、私がショックだったのは…その後、お父さんが、私の事を見てずっと震えてたからだよ…」



剣崎「!!」


徳子「そうよ!私は鬼!人間じゃない!私はお父さんの本当の子供なんかじゃ…」


(…ない)



徳子「…だから、終わりにしよう?」



すると旦那の奴は涙を流しながら言った。



剣崎「徳子…ごめんな?


だけど、違うんだよ…」



徳子「?」



すると旦那は娘に手を差し出して話を続ける。



剣崎「お父さんは怖かったんだよ…


それは、お前が鬼とか人間じゃないからとかじゃないんだ…


お前のお母さんが死んで、私にはもう…お前しかいない…


娘であるお前しかいないんだよ!


そのお前が私の前から消えてしまうと思ったら…お前まで失ってしまうと考えただけでも…


私は怖くて怖くて震えてしまったんだ」




すると旦那を抑えつけていた黒い腕が消えて、旦那は床に落下したのだ。



徳子「嘘…嘘だ…」



動揺する娘に、旦那は歩み寄り肩に手を置いた。



徳子「私は…お父さんと血も繋がってないんだよ?本当の親子じゃないんだから…」


すると旦那は腰にさげていた刀を手にし、ゆっくりと抜いたのだ…



剣崎「…お前がお母さんに連れられて私の前に紹介された時、お前はまだ赤ちゃんだった…正直、その時は心配だったよ…お前を自分の子として育てていけるか…だけどね?今日まで一緒に過ごして、その時間が私の心配を脱ぎ捨ててくれた…いや、お前が初めて私の事を『お父さん』と呼んでくれた時…そんな蟠りなんかなくなっていたんだよ…」



そして、娘に刀を向けたのである。



徳子「…殺すの?私を殺すの?良いよ…私、もう生きていくの…嫌だ…お父さんの手で殺して…」



その時、俺もまた娘から放たれた圧力から解放されていたのである。



(あいつ、まさか本気で娘を殺すつもりなのか?)



旦那は娘の腕を掴み、


徳子「ツゥ!」


日本刀で娘の指を傷付け血を流させたのである。


更に自らの指を傷付け、血を流すと、



剣崎「血の繋がりなんか関係ない…それでも血の繋がりが気になるなら、ほら?」



娘の血が流れている指に自分の指から流れた血を押し付けたのである。



剣崎「…これで同じ血が流れた…ねぇ?徳子…」



そう言って娘を抱きしめたのだ。



子供だましかもしれないが、娘はそれが嬉しかった…

父親の行動に涙が溢れ出し、泣き始めたのである。



徳子「お父さん!私、死にたくない!私、お父さんの子供になりたい!」


剣崎「うん。徳子!お願いだから、お父さんの前からいなくならないでおくれ?いつまでもお父さんの娘でいておくれ!」



泣きじゃくる二人を見て…


俺は…



(あの野郎…)



正直、情けない軟弱な男だと思っていたが…


あいつは立派な男…


いや、父親だよ…



(菜々子さんが愛した男か…)



その時!!


突然、部屋の中が暗闇に包まれ始めたのだ。



(何が!?)



すると、獣の唸るような呻き声が聞こえて来た!



《ユルサヌ…ユルサヌ…

オマエ…オウニ…ナルノダ…ソノタメニ…ソノ、ニンゲンノタマシイ…ササゲヨ!》



《ヒトヲステロ!コロセ!コロセ!コロセ!コロセ!コロセ!》



同時に暗闇の中から数体の鬼達が出現して来たのである!


徳子に襲い掛かる鬼に対して、娘を庇う旦那は持っていた日本刀で鬼に斬り掛かったのだが…


その日本刀は鬼の太い腕を傷付けはしたもの、真っ二つに折れてしまったのだ。


剣崎「そんな…」


鬼は構わずその腕で、旦那を殴り飛ばした。



剣崎「うがぁああ!」


徳子「おとーさん!」



迫り来る鬼に対して、今度は娘が父親を庇うように立ち塞がったのである。



徳子「止めなさい!お父さんに手を出さないで!」



が、鬼は…



《ジャマヲスルナラ…オマエヲクライ…オレガ…オウニ…ナルダケダ!》



徳子「えっ!?」



鬼は娘にも襲い掛かって来たのである!



徳子「…そんな」



鬼達は娘に王にすると持ち掛け、実は娘を喰らい自分達がその力【大威徳明王の力】を奪うつもりだったのだ。



徳子「私の事は構わない!だけど、お父さんだけは絶対に殺させない!」



娘は父親が先程落とした折れた日本刀を拾い上げ、鬼に向けて構える!


すると、日本刀の柄が光り輝き、折れたはずの刃先まで伸びていく…


それは俺が日本刀に籠めた気と、娘の気が同調して無意識に造ったオーラの剣であった。



徳子「いゃあーーー!」



気合いと共に振り払ったその一降りは、目の前にまで迫っていた鬼の腕を切り落とし消滅させたのだ!



鬼『ウギャアアア!』


が、娘は今の一降りで力を使い果たし膝をついてしまった。



あの娘…


もし、あの時父親を殺していたら…


身も心も鬼と成り下がり二度と人間には戻れなかったであろう。


だが、もうあの娘は大丈夫だ…



それも、あの旦那のおかげだな…



腕を斬り落とされ、怒り狂う鬼が迫る中…


身動き出来ない娘を庇うように旦那が抱きしめる。



剣崎「徳子!お前はお父さんが死なせないよ!」


徳子「お父さん…」



目の前まで迫る鬼に二人は目を綴じて覚悟した。



だが、襲い掛かって来たはずの鬼が近付いて来ない?いや、逆に殴り飛ばされていたのだ!


目を開けて丸くする二人の前には、鬼にも勝る大男の背中があった…



大徳「ふむ。待たせたな?後は俺の仕事だ」


剣崎「大…徳さん?」



すると、闇に隠れていた鬼達が何体も出現してきたのだ。



大徳「さぁ!鬼殺しの力也様が貴様達を再び闇に戻してやるぞぉー!」



その後は俺の独擅場であった…


何体もの鬼達を返り討ちにする俺の姿は、本物の鬼よりも鬼らしく見えたであろう。


一段落した後、そこには旦那と娘…そして、俺だけが残されていた。



大徳「これでもう、娘は安心だろう…」


剣崎「ありがとうございます…大徳さん…何てお礼をしたら良いのか…」



俺は娘の前に立ち膝をついたのである。


そして二人に言ったのだ…



大徳「この娘、剣崎徳子は鬼の子にあらず!」


剣崎「?」


大徳「この娘は、神の化身!神の転生者なのだ!」



徳子「…神様の転生者?」


大徳「うむ」



そして俺は娘の胸に手を翳して、念を送った。



大徳『さぁ!大威徳明王の魂よ!再び我の前に現れよ!』



娘の身体が光り輝き、その背後に現れたのである。


長きにわたり俺と共に戦ってきた戦友であり、我が守護神・大威徳明王が!



剣崎「…これは!?」



驚く旦那をよそに…



大徳『大威徳明王よ!再び、俺に力を貸して貰えぬか?』



すると、大威徳明王は静かに頷くと…



『分魂!』



娘の背後の大威徳明王が俺を包み込み、俺達は再び契約を交わしたのだった。




俺はその後、落ち着く暇もなく二人の親子に別れを告げたのだった。


一つ余談なのだが、娘十歳くらいに見えたが、実は十六歳くらいだったらしい。と言うのも、娘は十歳になった頃から歳を取らなくなっていたと言うのだ…


そもそも神の転生者は歳を取らないと言うが、これは人間としての日常生活を送る転生者達には問題なのである。


だが、この日を境に剣崎徳子は普通の人間の子供と同じように歳を取る事になるのだった。



一件落着って訳だな…


そして、別れを告げて立ち去る俺を見送る二人は、まさしく親子であった。




(さて、帰るか…)




その時、俺は自分に向けられた別の視線を感じた。



『!!』



俺は視線の先には振り向かずに、別れを告げた。



それは…


菜々子さんの霊…



菜々子さん、娘さんはもう安心です…



だから、安心してください…



そして、さようなら…


次回予告


「ふふふ・・・ようやく、この日が来た!


ついに復讐を果たす時が来た!!


俺が、あの野郎に引導を渡してやるぞ!!


がっはははははははははは!」



この男は何者?

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