修羅姫の誤算?そして予言の日!!
世界存亡に集いし戦士達!
そこには、あのスサノオの姿もあった。
本当に世界は終わるのか?
俺は鷹仁…
俺はクリムゾン・ホークと呼ばれる元暗殺者だった。
そして今…
俺は座主を筆頭に世界を救うべく働いていた。
そんな、世界が終わるかどうかの前に予想だにしない大事件が起きたのである。
その事件とは?
『あぅあああああ!』
突然、修羅姫が腹を抑えながら苦しみ出したのだ?
俺が近寄るも、修羅姫は来るなと制止させ、青ざめた顔付きで自分の腹部を見下ろしたのである。
修羅姫(ま…まさか?ありえん…あって、たまるかぁー!)
何を血迷ったか、修羅姫は自らの腹部を殴り始めたのだ??
それを止める臣下達…
最終的には小角と空海が結解で暴れる修羅姫を拘束し動きを止め、俺が強力な麻酔薬を撃って眠らせた。不思議な事に修羅姫の力は並の霊能力者程度だったのが幸いした。正直、本調子のあいつを拘束なんて不可能に近いからな。
だが、それでも…
俺の前には、数人の男達が倒れていた。
全く、化け物相手の方が数倍楽だったぞ…
そして、驚く事がもう一つあった。それが修羅姫が暴れた原因なのだろう?
修羅姫の中(胎内)には、もう一つの魂が宿っていたのだ!
それは、間違いなく俺と修羅姫との…
二人目の赤子?
それから間もなく修羅姫は出産した。
修羅姫にとっての不吉を預言する娘の赤子を…
修羅姫「馬鹿な!?馬鹿な…ありえん!ありえんはずじゃ!そもそも卑弥呼一族は子を一子しか産めぬと言い伝えられて来たのだぞ?それは何代も続いて来たはず…なのに何故じゃ!何故じゃ?」
娘が生まれるると言う事は、つまり…
跡継ぎ…
修羅姫の後の世代に、その力が必要とされると言う事なのである。
正直、一子が男子だった事で修羅姫は安心していた。
それは卑弥呼一族の能力が後の世代に必要ないと考えていたから…
自分の世代で世界の命運が、卑弥呼一族の呪われた戦いの連鎖が終わると信じていたはずだったのに!
だが、これは変える事の出来ぬ現実。仕方ない事・・・
いや?修羅姫は自分こそが救世主である!救世主でなければ納得しないのだ!さもなければ…
修羅姫「許さん…」
(…この力は我の…我の力なのだ!誰にも渡さん!)
その夜、再び事件が起きたのだ。
出産して間もなくの赤子に忍び寄る影…
その侵入者の手には妖しく輝く短刀が握られていた。
侵入者は迷う事なく、その短刀を修羅姫の産んだ赤子に向けて突き付けたのだ!
その直後!
『おやめなさい!』
叱咤の如き、新たに入って来た男によって呼び止められた。
その者とは?
空海!!
空海は一瞬動きを止めた侵入者の隙を見逃さずに、眠っていた赤子を抱き抱え電光石火で移動したのである。
空海の口調は怒りに奮えていた…
空海「お狂いになられましたかぁー!?」
『修羅姫様!』
空海の叫びに侵入者は姿を現す。
それは間違いなく…
赤子の母である卑弥呼(修羅姫)だったのだ。
修羅姫「空海?何故に止める?私に逆らうか?この救世主たる私に逆らうと言うのかぁ?この身の程知らずがぁ!」
修羅姫から放たれた覇気が空海と赤子を襲う…
咄嗟に印を結び、防御結解を張った空海は逃げるように赤子を連れて飛び出したのであった。
すると、屋根裏から数人の黒ずくめの男達が飛び出し、空海を追う!
彼等は、修羅姫直属の暗殺部隊であり、忍であった。
修羅姫はその空海の姿を見て、自らは追う事はしなかった…
修羅姫「お前は止めなかったのだな?」
修羅姫は物陰に隠れていた俺に気付き、振り向かずに話し掛けて来たのである。
鷹仁「俺の力ではお前を止める事は出来ん。それに俺はお前のやる事全てを見届けようと決めたのだ!好きにするが良い!」
我が子が殺されかけたと言うのに俺は…本当に夫婦揃って鬼畜だよ…
その後、空海は卑弥呼(修羅姫)の赤子を誘拐した手配犯として追われる身となった。
が、特別に追っ手に力を入れる事もなかったのは、本気で殺す気があったのかも疑い深い…
そんな出来事があって、更に数年が経ったのだった。
時は西暦1999年…
世界の終末まで後僅か…
約束された日に向けて強者達が集い始める。
小角『う~む。久しぶりじゃの~!鷹仁殿!』
小角殿は世界中に散らばっていた神の転生者達に声をかけ回っていたのだ。
この戦いには、人間達の力だけでは足りぬ…
それこそ、神の力を借りなければ!と、旅に出ていたのだった。
小角「空海の事は噂で聞いたぞ?」
鷹仁「私の力不足で申し訳ございません…」
小角「まぁ良い。これも運命の導きなのかもしれぬからのぅ~」
鷹仁「?」
小角殿の言っている意味は解らなかった。
空海殿の席が空けた事で俺自身がとばっちりを受けていた。俺が空海殿が行っていた職務の全てを補う事になったからだ。
まぁ、俺も見て見ぬふりををしたのだがら仕方ないのだがな…
そして…
時は更に経ち…
西暦1999年…12月
鷹仁「早いものだ…もしかしたら、明日にでも世界が滅びるかもしれんとはな?」
いつもと変わりない今に、本当に明日が運命の日か疑うくらいだ…
俺は明日への戦いに向けて、身仕度をしていた。
世界各地の12ヵ所に出現する『ナニカ?』の場所へ向かうために…
修羅姫は三ヶ月も前から明日の準備を始めていた。
一万人の霊能者達と瞑想の間に入り、力を高めているのである。
既に武装した男達が俺と同じく予言にあった世界各地へと出向き、配置についていた。
明日で世界が終わる?
かもしれない…
やはり俺も死ぬのか?
多分な…
俺が考えている事は…
もし、俺が余命を告げられたらどうするかと言う事だった。
一刻と迫る死への恐怖…
希望であったはずの未来が、絶望の未来へと変わり…
時だけが、死へのカウントダウンを刻んでいく…
どうせ死ぬなら好きな事、やりたい事をやって死にたい…
美味い物を食べて、欲しい物を買いあさり、欲求のまま女を抱く…
今まで味わった事のない快楽に身を任せつつ、死への恐怖を忘れ去りたい…
だが、それで本当に俺は満足出来るのか?
所詮は欲は欲…
欲はいくら重ねても、満たされる事などない…
じゃあ、どうしたいのだ?
俺は…
自分自身が生きた意味を残したい…
何のために産まれ、何のために存在しているのか?
この戦いに参加すると言う事は、未来を残すための戦い…
意味はある!
未来のための礎…
いや、違うな?
こんな偽善な事、思うはずがない・・・
そもそも未来がどうなろうと、世界がどうなろうと俺には正直興味がない…
俺は見てみたいのだ…
あのクソ女(修羅姫)が、世界を救う姿を…
俺の女が、未来を掴むその瞬間を!!
そのために、俺は俺の命を捧げよう…
とんだ余興…
良いではないか?
自分のつまらない命を何に使おうが、俺の自由!
俺はあいつ(修羅姫)の生き様を見届けるために存在するのだからな!
そして運命の日…
世界各地12ヵ所の決められた配置に、待機する集まりし者達。
俺は小角と同じ配置についていた。
小角「そろそろ例の物を用意しようぞ?」
鷹仁「ああ…」
俺は懐から特殊な術札を取り出し、自分の胸に貼付ける。同じく、周りの者達も貼付け始めた。
この術札は修羅姫が特別にこしらえた術札である…
これから始まる戦いには命綱になろうとも言える品…
小角「そろそろ時間じゃ!皆の者!気を引き締めるのじゃ!そして、必ず勝ち残ろうぞ!」
『オオオオオオオオオ!』
俺達の、世界の命運を賭けた戦いが始まる…
次回予告
三蔵「最低だな・・・」
蛇塚「逃げようとしたお前には言われたくない」
バサラ「たしかに」
三千院「本気ではなかったのだろう?」
卑弥呼「当然ですわ?」
三蔵「・・・」
この話の夫婦の子であるこの二人を怒らせたらと思うと、今更ながらゾッとするぜ
三蔵「当たり前だろ?あははははは!」
蛇塚「・・・・・・」
バサラ「・・・・・・」
大徳「・・・・・・」
三蔵「てか、卑弥呼も空海さんも殺されかけたんだな?よく無事だったな?あの母親(修羅姫)の追手から?」
空海「生きた心地がしなかったよ」
三蔵「マジっすか?」
卑弥呼「長い二人旅でしたわね?空海?」
空海「命からがらの逃避行でしたな?」
卑弥呼「今となったら良い思い出ですわ?ふふふ」
空海「私は未だに夢でうなされますがね・・・」




