新たな真実!?
蛇塚は病院にてこの蛇神島の忌まわしき事実を知った。
そして、過去の記憶の中から妹の詩織に疑心暗鬼になりつつも、
それでも先を進むと決めたのだった。
俺は蛇塚軍斗…
俺達は今、祭壇のある洞窟の前にまで来ていた。
そこには白骨と化した大蛇の化け物達の屍が、至る場所に転がっていたのだ?
蛇塚「これはどういう?」
俺の問いに銀髪の男が答える。
銀髪「…恐らく、俺の仲間だろう。今頃、先に進んでいるに違いない」
仲間?
俺は先に、この岩山から落下した所を助けてくれた四人の事を思い出す。
…そういえば、この銀髪の他に、あの大男と赤い髪と、確かもう一人?
俺を癒してくれた女子がいたんだったな?
…それにしても、こんな化け物を相手に本当に何者なんだ?こいつ達は?
まさか、日本政府の特殊部隊か何かなのか??
俺達は洞窟の中を突き進んで行く。そして足下に転がる大蛇の屍を見ながら俺は思い更ける。
…ここに死んでいる化け物達は…もとは島の奴達だったんだよな?
いやいや!迷うな!
俺は病院の地下にあった資料にあった日記を思い出す。
そうだ!例え姿が見知った顔だとしても、中身は本物の化け物なんだ!
解っていても俺は目を逸らしていた…
それを察して、空海さんが俺の肩に手を置く。
蛇塚「大丈夫です…」
俺は空海さんに頭を下げて、先に進む事にした。
そうだ!俺は詩織のためにも、先に進まなければならないんだ!
その時、先を進む銀髪が俺達を制止させた。
一体、何が?
見ると、前方に三人の人影が見えたのだ。
化け物の生き残りか?
だが、俺はその姿を見て、
蛇塚「お前達は!?」
その人影の正体とは健司、高城、千亜の四人だった。
こいつ達は、俺が島にいた時の幼い頃の友達…
いや、違う!
もう、こいつ達は…
化け物なんだ!
そう…
俺は島に来て直ぐに、こいつらに崖から突き落とされて殺されそうになったのだからな。
蛇塚「お前達!そこを退け!さまないと…」
すると健司はニヤニヤしながら俺に答えた。
健司「さまないと、どうするつもりなんだ?てか、良く生きてたよな?軍斗よ!だけど、お前に何か出来るのか?あぁ?それとも、もう一回死ぬか?」
健司の野郎…
だが、俺は言ってのける。
蛇塚「俺は死なねぇよ!それにお前達もぶちのめす!」
健司「あぁ?何を言ってんのかな~?軍斗!てめぇに何が出来るんだよ?」
俺に出来ないって?そりゃそうだ!
だ・か・ら~
蛇塚「俺じゃねぇよ!ここにいる銀髪の兄ちゃんがやるんだ!」
俺は自信満々に叫んだのだ。
銀髪「…俺がやるのか?」
銀髪が俺に問う。
蛇塚「てか、当たり前じゃねぇ?化け物相手になんか俺に何が出来るんだよ?」
すると…
健司「ぎゃははは!情けなくなったよなぁー?軍斗!てか、無理だよな?無理だよな?無理だよな?お前じゃよ~!ぎゃははは!」
健司は隣にいた千亜に向かって、
健司「なぁ?お前も可笑しいよな?千亜!」
だが、千亜は首を背けていた。
んっ?
気のせいか?千亜の奴…
何か、悲しそうな顔してないか?
千亜は無言で俯いていた。
そんな千亜の態度に健司は機嫌悪くしたかと思うと、千亜を抱き寄せて俺に叫んだのだ。
健司「なぁ?軍斗!俺と千亜は今付き合ってるんだぜぇー!」
ハッ?
何を言ってるんだ?
健司の奴?
健司は続けて言った。
健司「なぁ?軍斗!知ってたか?千亜の奴は昔、お前の事が好きだったんだぜ?」
ハッ?ハッ?ハッ?
健司「なのに、お前が島から逃げ去ってから…今じゃ、俺のもんだ!俺の…」
そう言ったかと思うと健司は突然千亜の髪を掴み、力任せに倒したのだ。
健司「だからお前(千亜)も未練がましい顔なんかしてんじゃねぇーよ!」
そのまま倒れた千亜を足蹴りしたのである。
俺は…
蛇塚「健司!止めろよ!」
て、何故止めてるんだ?
相手は化け物…
なんだよな?
健司「何だよ?軍斗!いつまでも調子乗るんじゃねぇ!お前はいつもそうだ!そうやって、かっこつけて!いつもいつも…俺は…俺は…そんなお前が、ずっと…ずっと嫌いだったんだぁー!」
蛇塚「ハッ?さっきから聞いていれば何言ってんだよ?言い掛かり止めろよ!いつ誰がかっこつけたって?ふざけてんのは健司?お前だ!」
あれ?
何か…変だぞ?
まるで、昔のようだ…
昔、健司と口喧嘩した時と同じだ。もしかして…
…昔のまま?
そう思ったのもつかの間、健司から殺気が放たれたのだ!
空海「気をつけよ!見た目は人間だが、彼等は…」
蛇塚「はい…解ってます」
空海さんの助言に俺は頷いた。
そう…あいつ達は…もう…
見る見るうちに健司の姿が大蛇と化していく!
下半身が大蛇…
上半身は健司の姿をした化け物に!
霧谷「まるで、太古の蛇神を彷彿する姿ですね…」
そう言ったのは、空海の弟子の霧谷って男だった。
確かに、神話とか…
映画とか本やアニメで見た事があるような姿だった。
そうなんだよな…
俺は、心の何処かでまだ期待していたんだ。
あいつ達は…
まだ、人間なんじゃないかと?
蛇塚「クソォ!期待させんなよ…」
思い知らされたぜ…
奴達は健司達の記憶を持った…いや、盗んだ化け物なんだと!!
俺は拳を握りしめる。そして、同じく頭に過ったのは?
詩織も、やっぱし?
そう思って顔を背けたほんの一瞬に、
『気をつけろ!』
えっ?
銀髪の声に我に返った俺の目の前に、大蛇と化した健司が迫って来ていたのだ!
うあっ!
ダメだ…
間に合わない!
そう覚悟した時、俺は何者かに突き押されたのだ?
俺はぶっ倒れ…
代わりに健司の振り払った大蛇の尾が太い鞭のようにしなりながら、俺を助けた誰かに直撃して洞窟の壁際まで弾き飛ばされたのだ。
一体、誰が俺の代わりに?
そこで俺は自分自身の目を疑ってしまった。
『!!』
そこには、血だらけで倒れている千亜の姿があった。
どういう事だよ?
千亜!!
それを見て叫んだのは攻撃して来た健司だった。
健司『てめぇ!千亜ァアア!ふざけんなよ!ふざけんなよ!ふざけんなよ!お前はまだ軍斗に未練あるのかよ?お前は俺のだ!俺のなんだよ!』
俺は倒れた千亜のもとに近付いていく。
そして…
蛇塚「千亜!大丈夫か!?」
俺は倒れている千亜に手を差し出したのだった。
自分自身意味解らない…
目の前の千亜は俺の知っている千亜じゃないのに…
もしかしたら、演技?
罠かもしんねぇ…
もし、差し出した手を掴まれ襲われたら、俺は簡単に殺されちまうかもしれない?
だけど…
自分のために傷付いた女を放っておけるほど、俺は…
人間捨てたくねぇんだよ!
そんな俺を他所に千亜は…
千亜「軍斗兄さんは…変わってないね…」
その瞬間、目の前で千亜の姿が蛇神化して、俺に襲い掛かって来たのだ!
わ…罠?殺される!
そう思った時、千亜は俺を素通りし襲って来ていた健司を受け止めたのだ?
どういう事だよ?
やはり大蛇の姿をしているよな?なのに、どうして俺を守ってくれるんだよ?
千亜『軍斗兄さん!健司さんは私が抑えているうちに早く逃げて!』
千亜は健司を抱えたまま洞窟の奥へと消えて行った。
俺は立ちすくむ…
そんな俺の腕を掴み、空海さんが引っ張り…
空海「しっかりするのだ!」
蛇塚「だっ…だって…千亜が?」
空海「私にも理由は解らない。だが、私達は先を急がねばならないのだろ?」
霧谷「驚いた。あの娘・・・蛇神化出来たのか?」
蛇塚「えっ?」
霧谷「あっ・・・いや?何でもないです」
だけど、まだ終わってはいなかった。
『あれ~?健司も千亜も消えちゃったぞ?だったら、もう食べても良いよね?』
そこには高城がポテチを食いながら残っていたのだ。
蛇塚「高城!?」
すると高城の腹がパックリ開き、中からグロい蛇が飛び出して来たのだ!
俺に向かって迫る蛇は、俺の眼前で止まった?いや、止められた!
銀髪「お前達は先に向かえ!ここは俺が引き受ける!」
ギリギリの所で、銀髪が金色の錫杖で受け止めたのだ。
俺は頷き、空海さん達と洞窟の奥に駆け出したのだった。
俺達が見えなくなるのを見届けた銀髪は、
銀髪「俺が相手をしてやる」
と、無表情に戦闘モードに入った。
俺達が更に洞窟の奥へと侵入していた同時刻…
場所は変わる事、再び病院の地下の部屋。
そこには、山のような巨大な大蛇達を仕留めた大男が例の資料を眺めていた。
男は一枚一枚資料を読み漁った後、
「違う…」
違うとは?
更に男は落ちていたメモ帳らしき物を拾い上げて…
大男「そういう事か!もし、俺の仮説が正しければ、この島の秘密とは!」
俺達とは違う答えを見いだしていたのである。
すると大男は背後から忍び寄る気配に気付き、
大男「どうやら、さっきの大蛇よりも歯応えのありそうだな?」
その瞬間、大男のいた病院の天井が崩れ落ち、崩壊したのだ!
そして崩壊した病院から巨大な大蛇が起き上がる!
しかも、その頭部には人影が?それは俺の知るかつての友人であった長人であった。
長人「あはははは!ペチャンコになりやがった!馬鹿な侵入者が!!」
だが、大笑いをしていた長人が突然黙り、崩れ落ちた病院を見る。
長人「チッ!」
すると瓦礫が盛り上がり、その中から凄まじい気を纏った大男が抜け出て来たのだ!
大男「ふん!急ぎの用だが、邪魔立てするなら容赦せんぞ?」
長人「人間が調子乗るなよ?俺をさっきの大蛇達と一緒にするな!」
長人の身体が大蛇と同化していくと、更に大蛇の身体が巨大化し、五十メートル級の化け大蛇と化したのだ。
長人「恐怖しろ!お前はただ潰されて終わりだ!」
だが、大男は大蛇を見上げて笑みを見せていた。
大男「良かろう!少しは本気が出せそうだ!」
まだ謎が残っていたのか?
まだ俺の知らない真実があるのか?
波乱は波乱を呼び、
謎は…新たな謎を呼ぶ。
だが、その謎が解き明かされようとしている事を俺はまだ知らないでいた。
次回予告
三蔵「聞きたいのだけどよ?」
蛇塚「何だよ?」
三蔵「昔の女が友人に取られるってどうなのよ?」
蛇塚「はぁ??何言ってるんだよ?俺と千亜はそういうのじゃねえんだよ!」
三蔵「まんざらでもないんだろ?」
蛇塚「まんざらも何も、千亜は妹みたいなもんで・・・確かに、久しぶりに会った時は、ちょっと、可愛いかな?とか、思ったけど・・・」
三蔵「ほれ!ほれ!」
蛇塚「ちゃかすな!俺は卑弥呼様一筋だ!!」
三蔵「あっ・・・」
蛇塚「アッ・・・思い出してしまった・・・怒りが再び・・・いや?これは殺意に近いか?なぁ?さ・ん・ぞ・う!!」
三蔵「うわぁ!目がマジに怖い!!」




