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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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神を狩る者達!?小角の決意・・・


化け物と化した司祭を二人の力を合わせて撃退した玄三と晴明


いがみ合いながらも二人の間に絆が生まれたのだった。


一件落着・・・かと思いきや、その頃小角は?



洞窟の祭壇?


そこは玄三と晴明が戦っていた洞窟の更に奥にあった。


そこには水晶で覆われた柱の真ん中に鏡が埋め込まれ、その鏡の中から禍々しい気が漂っていた。



その祭壇に近付く者が?


それは玄三と晴明によって絶命したかに思われた司祭であった。


その姿は化け物の姿から人の姿に戻り、傷付き、満身創痍の状態で身体を引きずらせながら鏡に向かっていたのだ。



司祭「ウググ…まさか…こんな目に合うとは…全てが台無しだ…後少し…少しで、我らが邪神様がお目覚めになられるというのに!」



と、そこにもう一人?洞窟の中を赤いコートをなびかせて司祭に向かって近付いて来る者がいた。


司祭は男の存在に気付き声を荒げた!



司祭「お前!いたのか?どういう事だ?お前から買った薬が役に立たなかったではないか!!神にもなれる薬ではなかったのかぁ!?」


赤髪「神ねぇ~?まぁ、事実人間離れした力を一時的にも手に入れただろ?」


司祭「確かにそうだが!直ぐに効果が切れただけでなく、ガキの使う鬼にこのザマじゃないか!お前は言っただろ?この妙薬は神の力すら無効化出来ると!」




すると赤髪の男は腕をポケットに入れると、何やら瓶のような物を取り出した。

それは司祭が手にしていた『錬魂の雫』という…


怪しげな液体の入った薬だった。


赤髪「はぁ?馬鹿言うなよ?あんたが値切るからだろ?だから原液より一千倍に薄めた薬をやったんだよ!まぁ、それでも死なないだけの不死力は手に入れられたんだろ?良かったじゃん?」



司祭「何だと!?薄めた欠陥品を渡しただろ?ふざけるな!あの薬だけで何千万渡したと思ってるんだ!」


赤髪の男は瓶を片手に持つと、


赤髪「まぁ…適任者でなければ…この薬は劇薬。あんたにこの薬が飲めるのかな?司祭様よ?」



司祭「よこせ…よこせ!よこせぇー!後、少し!後少しなんだ!後少し…魂を邪神さまに捧げられれば蘇るのだぁー!我らの邪神様かぁー!!」




感情の高まりから再び化け物と姿と変えた司祭が赤髪に向かって襲い掛かったが、その動きが止まったのだ?



司祭「えっ?」



見ると、司祭の胸には大型の剣が突き刺されていた。その鮮血に染まる剣は赤髪の男が手にしていた。何処からか出したのか?赤髪の男は司祭が飛び掛かる合間に、その剣を出現させ心臓目掛けて貫いたのだ。



赤髪「うるせーよ?だったらお前の魂でも捧げときな?安心しな!足りなければ後は俺達が残りの魂を調達してやんからさ?」



司祭は心臓を貫かれ、呪い悔やみながら息絶えたのだった。



赤髪「さて…ん?」



赤髪の男が一息つこうとした時、司祭の身体から光りの玉が抜け出して鏡の方に向かって飛んで行ったのだ!いや?吸い込まれたようにも思えた。しかも光りの玉は魂ではないのか?


同時に洞窟全体が突如揺れ始めたのだ!



赤髪「およ?もしかして邪神様のお目覚めてか?」



鏡を中心に水晶の柱が崩れ初め、鏡に亀裂が入ると…その中から禍々しいオーラが司祭の屍の中へと入り込み、死んだはずの司祭の屍が立ち上がったのだ!



赤髪「後少しとか言ってたが、どうやらマジに起きたようだな?邪神様がよ?」



数千数万の魂を贄を得て強力な邪念を持った邪悪の化身!邪神が蘇ったのだ!



邪神『オマエか?ワレを現世に呼びサマシタ者ハ?』


赤髪「まぁ~そういう事になるみたいだな?」


邪神『ならば申せ!オマエの望みを?ワレは一つオマエの願いをカナエヨウ!その後ハ…この現世をハカイして無に返そう!』


赤髪「願いねぇ~おぅ!一つ願いがあるぜ?それはな?」


邪神『ソレハ?』



すると赤髪の男は口元をニヤケさせ邪神相手に不適に言ったのだ。




赤髪「邪神!お前の首だよ!」


何を血迷ったのか?赤髪の男は自らの手首を噛み切ったのだ?



邪神『ニンゲン…血迷ったか?愚かな生き物だ!』


赤髪「まぁ、最後まで見てると良いぜ?冥土の土産にな!」


流れ落ちる血が足下にまで達すると、そこから鮮血に染まった大剣[クレイモア]が出現したのだ!


赤髪の男は大剣クレイモアを手にすると、邪神に向けて構えたのだ。



邪神『愚かな愚かな愚かな愚かな生き物ニンゲン!恐怖にイカれたか?ならばオマエの魂もワレへの供物としてくれよう!』



邪神の身体からタコのような八本の足が伸びて来て、赤髪の男を捕らえんと伸びて来たのだ!



赤髪「おっ始めるか!邪神狩りをよーー!!」



赤髪の男は軽々クレイモアを担ぐと、邪神に向かって突進したのだ!


八本の足が赤髪の男に迫るも、男はクレイモアを片手で楽々振り回しながら、向かって来た足を切断していく!その動きは豪快にて華麗だった。



邪神『馬鹿な…!!どういう事だ?ワレの失った足が…再生センだと?コレハ?』



赤髪「フン!戦いの最中に考え事なんかしてたら、目覚めた途端に寝んねだぜ!」


振り払われたクレイモアが強大な力を持つはずの邪神の胴体と首を意図も簡単に切断させたのだ!



邪神『バ…バカ…ナーー!!』



正に一方的な力の差であった。邪神はその邪魂と共に完全に消滅したのだった。


赤髪「ふぅ~つまらねぇな?雑魚が邪神様とか抜かしてるんじゃねぇよ!バァ~カ!」



この赤髪の男は近辺の女を騙し連れ込んでは、この洞窟近くの海に落として半魚人達の生け贄の儀式に力を貸していた。


更に『錬魂の雫』なる薬を邪教徒に売り捌いていたのである。


赤髪の男は瓶を片手に覗き込むと、



赤髪「それにしても錬魂の雫も欠陥品だったみたいだな?まぁ、良いか…また、ホムンクルスの奴に造らせれば良いか!」




男「ん?」




その直後、突然赤髪の男は身体の自由を奪われたのだ!



『フォッフォッフォッ…』



そこに現れたのは一人の老人…そう!この一部始終を今まで気配を消して様子を見ていた儂!小角じゃ!



小角「どうやらお主が本当の意味での黒幕のようじゃのう?」


赤髪「あんだ?お前!」



振り返った先から現れたのは儂に赤髪の男は眉をしかめていた。



小角「裏世界で頻繁に噂になっておるぞ?人間を化け物に変える怪しげな薬を売る輩がいるとな!」



赤髪「爺ぃ!…何者だ?てかよ?何?俺達の仕事が有名になってたか?それはビックリってもんだぁ~アハハ!」



『なぁ?お前もそう思うだろ!』



赤髪の男は余裕をかましながら別の何者かに向かって叫んだのである。



小角「んなっ!」


儂は声の先に視線を向けたのじゃ。


(まさか…他にも仲間が?いつから?気配なぞせなかったぞ…?まさか儂に気配を感づかせないで今まで潜んでおったのか?)



洞窟の奥から足音が聞こえ、ゆっくりと何者かが近付いて来ていた。



その男は黒いスーツ姿で、髪こそ青黒いが何処かの外人だと解る。


その男は…


男「流石に噂になっていましたか…人間の情報網も侮れませんね…」



小角「!!!!!」


儂は直感したのじゃ!



この目の前の男は…


次元が違うと…



神?悪魔?


いや?しかし…


儂は押し潰されるような重圧の中、新たに現れた男に声をかけたのじゃ。



小角「貴様達は一体何者じゃ?何が目的じゃ?」



すると男は言った。



男「ほぉ~…ご老人?私の気圧の中で喋れるとは凄いですね?」


小角「ふっ…今にも押し潰され、寝たきりになりそうじゃがな…」


男「それはご老人にはキツイでしょう?無理をしないでくださいね……」



丁寧な口ぶりだが、その威圧感はただ者ではなかった。油断すれば一瞬で魂を刈り取られそうな危うさを感じた。



小角「お主は神か?悪魔か?それとも…」



儂の質問に男は易々と答えた。



男「私ですか?」


「私は人間ですよ?」


「そう人間…ただ、ちょっと特別な人間ですけどね?」



小角「特別な人間じゃと?」


男「どちらかと言えば貴方よりかもしれませんよ?特殊体のご老人!」



小角「!!」



その時、儂は更に新たな気配を感じたのじゃ!



そこから現れたのは…



「ねぇ?あっちに転生者の子供がいたけど、殺っても良いかな?」


「輪廻!先ずはアライヴ様の判断を仰ぎましょう!」


「転生!うるさいよ!良いんじゃない?どうせ、いつかは殺るんだからさぁ~」


「まったく輪廻は…女子が『やるやる』口にするなんて、本当下品きまわりないですねぇ…」



カールした赤い髪にゴスロリのような格好の娘と、眼鏡をかけた身長の高い黒いタキシードの男が喋りながら向かって来たのである。


小角「まさか…まだ仲間がおったのか?」



この新たな二人に対しても計り知れない力を感じた…


こやつら!何者じゃ?



儂は四方八方を謎の者達に塞がれ、逃げ場を失ってしまった。



こんな奴達を野放しにしていたら…


危険じゃ…


何者かも目的も解らぬが、絶対に世界に災いを招く火種になりかねん!



せめて…



儂は咄嗟に印を結ぶと前鬼を呼び出したのじゃ!



赤髪の男「おっ?」


《ボォグギィ!》



儂の背後から出現した前鬼が縛りつけて身動きを拘束していた赤髪の男を抑えつけ、躊躇なく首の骨を折ったのじゃ!首があさっての方向に曲がり、赤髪の男は崩れるように倒れていく。



先ずは一人…



小角「悪いがお前達をこのままにはしておけんからのぉ!」



が、仲間を一人殺られたというのに、そこにいる者達は顔色一つ変わってはいないのだ?



小角「?」


アライヴ「躊躇のない攻撃見事ですね?随分と戦いなれているようですが…」



小角「!!」



瞬間…


赤と黒の刃先が光った!まるで死に神の持つような大鎌が、儂の首元ぎりぎりで止まったのじゃ。


輪廻「このまま逝っとく?」


転生「またぁ~『イク』だなんて…輪廻はよほど下ネタがお好きなんですね?お里がしれますよ?」


輪廻「転生…貴方から先に始末しようか?」


転生「輪廻はご冗談が解らないのですか?ユニークですよ!ユニーク!軽い冗談も人としての魅力の一つですよ?そうは思いませんか?ご老人?」



くっ…


首元に大鎌を当てられている状態で儂は答えた。


小角「それは、ごもっともじゃのう…」



そう答えた瞬間儂の首元から血が垂れてきたのだ…。娘の方が刃に力を込めたのである。


殺られる!


そう覚悟した時、



「止めなさい輪廻!」



スーツ姿の男が叫び輪廻と呼ばれた娘が動きを止めたのじゃ。



輪廻「だって…転生の肩をもつから…」


転生「輪廻、怒られましたね?ふふふ…」


輪廻「少し黙って!」



拗ねる娘と、和気あいあい語るこの者達に儂は逆に恐怖を感じていた。



小角「…………」



なんなんじゃ…


こやつ達は…??


ふざけておるのか?



それとも…


儂の命など頭から興味がないと言うのか?


なんにせよ得体の知れぬ奴達じゃ…



さらに、そこに声が加わった。



『殺っちまっても良かったんじゃねぇか?俺なんか、いっぺん殺されたようなもんだからな?』



《ボギィ…ボギボギ…》



小角「ば…馬鹿な…!?」


その者は、先に儂の使役する前鬼に首をへし折られ死んだはずの赤い髪の男であった。


赤髪「まぁ~よ?首をへし折ったくらいじゃ俺は死なないけどな?アハハ!」



小角「…こやつ…不死人か!?」



アライヴ「デッドマン!許して差し上げましょう?老い先短い老人は優しくしないといけませんよ?」



デッドマン「ふん!俺からみたら…いや?俺達からみたら人間の命なんて皆同じようなもんじゃねぇか?」


アライヴ「アハハ!確かにそうですね!そうだ…」



アライヴと呼ばれた青年が儂に向かって話し掛けて来たのじゃ。



アライヴ「先程、私達が何者かと尋ねましたね?」



小角「う…うむ。答えてくれるのかのう?」



そこで儂は奴等が何者かを知る事になる。




アライヴ「私達は…」



「混沌を望む人間…」



「神を狩る者…」



『カミシニ!!』




小角「カミシニじゃと?それは…?」



すると儂の言葉を遮るように赤い髪の娘が話に割り込む。



輪廻「そういえばさ…さっき転生者のガキを二人見たわ!」


アライヴ「転生者の子供…?」


輪廻「どうする?殺るなら戻るけど?」


アライヴ「転生!その二人の力はどのようで?」


転生「そうですね…まだ、力が現れたばかりの…ヒヨコ!本当、ピヨピヨ泣くまだまだ子供って感じでしたね…」



アライヴ「そうですか…なら放っておきます。いずれ狩るにしても『神』が熟してからでなければ意味がありませんからね!」



デッドマン「ふん!優しい奴だな?どちらでも良いが、俺は早く帰って寝たいぜぇ!」


輪廻「そうね…いい加減に潮風の強い場所にはうんざりしてたところだったからさ!帰ってお風呂に入りたいわ!」



転生「輪廻、臭いますからね…」


輪廻「あんた…マジに狩るわよ?」



アライヴ「そういう訳なので、私達はこれで失礼させていただきます!いずれ出会う事があれば、その時は遠慮なく狩らせていただきますので、悪しからず…」



小角「!!」



そう言うと儂の目の前から『カミシニ』と呼ばれる者達の姿が、赤い霧とともに消えて行ったのじゃった。


残された儂は緊張の糸が解けたかのように、膝を崩してヘタリこむ。




膝が震えておる…


歳のせいか?


いや、これは恐怖…



生き残れた事への安堵?



そうじゃ…


儂はまだ死ねぬ…



死ねぬのじゃ…



儂はまだアヤツに残してないからのぅ…



まだ…



玄三と晴明が気付いた時そこは小さな寺であった。


儂が洞窟から背負って来たのじゃ。



玄三「…小角?」


小角「目が覚めたのか?二人とも…」



玄三と同時に眠っていた晴明もまた目を覚ます。


そして玄三が儂に向かって叫んだのだ。



玄三「強くなりたい…小角!僕はもっと強くなりたい!」


小角「強くか?」


玄三「うん!」


晴明「無理だな…あんな術札を使っているようじゃな?先が見えてる!」


玄三「なぁ?ムカッ!!」


(こいつ…仲良くなれたと感じたのは僕の気のせいか?)



晴明「あんな欠陥品の術札を使って、また足を引っ張られたら迷惑だ!だから…」


玄三「だから?」


晴明「僕が術札の基礎を教えてやるよ!」


玄三「なぁ?」


(こいつ…素直じゃない!本当、ムカつく奴だ…!けど、)



玄三「よし!教わってやるからズバッと教えろよな!」



晴明「じゃあ、これからは僕を『先生』と呼ぶんだな?」


玄三「ムカムカ!調子こくなぁ~!」


晴明「僕だって自分の修行があるんだからな!」


(…玄三にだけ負けてはいられないからな…フン!)



小角「そうじゃの~じゃあ?儂がお主達を徹底的に鍛えてやろうかのう?」



二人「えっ!小角(様)が?」



小角「ビシビシ鍛えて強くさせてやろう!二人とも儂について来い!」



二人「はい!」







力を与えよう…



そして、近い未来…



来るべき戦いに…



迫り来る恐怖と絶望の中で生き残れるための力を!


いや?世界の命運を決める戦いに『勝利』するための力を…




お主達に託そうぞ…





それが儂の…


今まで生きて来た意味なのじゃなからな…!!


次回予告



三蔵「カミシニ・・・後に俺と壮絶な戦いを繰り広げる事になる連中の登場のようだな?まさか小角がこの時に遭遇していたなんて・・・


そう。次話からまた月日が流れ、俺が成長して登場するぜ!


そう。物語はあの・・・


運命の日へ向かう事になるのか・・・


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


業火よ・・・出来るなら、


俺からあの日を消し去ってくれ・・・」


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