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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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葛藤と決意と赤面?

蛇塚は信じ難い真実を知った。


それは、悪魔の研究と言って良かった。

俺は蛇塚軍斗


俺は恩人である空海さんにて、この島に起きた真実を聞かされた後…



蛇塚「俺は詩織の所に行かなくちゃならない…」



俺の決心を聞いた空海さんは言った。



空海「本当にそれで良いのか?その先に新たな悲しみが待っていたとしても?」



俺は頷くと、空海さんと一緒に詩織が待っているであろう祭壇に向かう事にした。



そこに?


「空海師匠!」


奥から空海さんを呼ぶ奴がいたのだ?


誰?白髪の青年?


空海さんと同じ僧侶の格好をしているようだけど?



空海「霧谷君、もう大丈夫なのか?」


霧谷「はい…心配かけて申し訳ありませんでした」



この霧谷と呼ばれる男性は、どうやら空海さんの弟子らしかった。聞くと、この地下にいた大蛇との戦闘中に怪我を負ったらしく、隣の部屋で休んでいたとか…



空海「では、祭壇に向かうとしよう!」



俺達三人は…


院内に入り込んでいた大蛇達に警戒しつつ、病院を出て行こうとした。


が、大蛇達は一匹足りとも出現しては来なかった。



来る時はあんなに沢山いたはずなのに?



「これは!」



俺達が病院の出口で目にしたのは、大蛇の化け物達の死骸であった。



「遅かったな…」



山積みになった大蛇の中心にいたのは、俺を病院に連れて来てくれた銀髪の男だった。



空海「座主様がよこして下さったのが君とは心強い!」


銀髪「空海…時は一刻を争う!急ぐぞ?」


空海「ああ、解っている!」



俺は二人の会話を聞いていて違和感を感じていた。


銀髪の方が若いのに、エラソーな奴だと…


薄々気付いてはいたのだが、俺は二枚目風の銀髪に対して敵対心があるみたいだ。



まぁ…嫉妬なんだけど…



俺達は向かう。


事の始まりであるであろう祭壇に向かって!



だが、俺は複雑な心境の中にあった。



そう…



研究者の資料の中に書かれていた…あの最後のページを読んでしまったがために…



あれには、こう書かれていたのだ。




【我々は騙されていた…


我々は実験をしていたつもりでいた。


そのために島の人間達を欺いていると思っていた。


でも、違う…


欺かれていたのは私達の方だったのだ!



研究段階で、蛇の血を投与した島の人間達には特別な力が備わる事は解っていた。が、その後…


特別な力を持った人間達は、第二段階へと進化するのだ!



進化?いや、違う…



あれは『寄生』



第二段階へと移行する最中、人間は寄生されるのだ!


蛇の血の中に潜む魔物…


蛇神に!!



『寄生された人間達は…蛇に喰われる…』



いや…


『喰われていた』


と言った方が適切だろう。


第二段階へと移行した奴達(蛇)は、特殊能力だけでなく大蛇へと姿を変える事が出来るようになった。


いや、それも適切ではないのかもしれない。



今思えば、そっちが本来の姿だったのだ!


何故、気付かなかったのだろうか?


気付けなかった理由は簡単だ。



あの化け物(蛇)達は、演じていたのだ!



人間を!!



奴達は人間の血の中で成長し、本体であった人間の精神と肉体を喰らった後、その人間の記憶を、自分自身の知識として吸収するのだ。


それは正に人間の皮を被った化け物…



既にそいつ達は、人間ではないのだ!



奴達は人間のフリをしながら、島に生きる化け物…



それに気付いた私達研究者は、自らの過ちを悔いて化け物(蛇)達を全滅させる事にした。



蛇神化していない第一段階の島の人間達は、まだ人間なのだ!


その段階で特別な血清を投与すれば、蛇は成長出来ずに死ぬ。



これを、第二段階に進化した化け物にばれずに行わなければならない…



もし見つかれば私達は殺される!



だが、第二段階の化け物を判別する事は不可能だ。


見た目は人間と変わらないのだから…


そこで我々は祭に行われる際の注射に、その血清を使う事にした。


私達には望みがあった。


その望みとは、この血清を蛇神達より先に発見していたから!


この血清は、ある少年の身体から偶然見付けたものであった。


その血は人間の中に寄生した蛇神を、殺す事が出来るのだ!


我々はその少年から血清を抜いた後、島の人間達に順に投与していく。



効果が現れるのは半日後になるように、私は血清を薄めて細工した。


その間に私は島から脱出する計画だった…



全ては上手くいっている!


そう思っていた。



だが、惨劇は起きた…



血清を投与されたはずの第二段階の蛇神化した化け物達は狂いだし、第一段階で投与された人間達を襲い始めたのだ!



薄めた血清では、蛇神化した化け物を殺す事は不可能だっただけでなく、逆に狂暴化させてしまったのだ。



計算が狂った!!



逆に第一段階の人間達には血清後に化け物になる事はなく、それが逆に化け物の獲物として襲われる悲劇をうんだのである。


私は唯一助け出した少女を連れて、病院の中にあった隠し地下通路を通り、化け物が入って来れない部屋に隠れる事にしたのだ。




だが、そこで私は不安にかられた…



この少女は大丈夫なのか?


化け物ではないのか?



私は怯え疲れて眠っている少女に、血清を投与する事にしたのだった。



もし、化け物なら?


私の手には拳銃が握られている。


血清も薄めた物でなく、オリジナルに近い血清だ…



大丈夫だ…大丈夫…】






研究院の日誌の最後には、このような事が書かれていたのだ。



人格は本人の物ではなく、寄生した蛇神が人間の持っていた記憶を手に入れた物に過ぎない?


一度でも化け物化した人間は、元には戻らない?


つまり蛇神化した人間は既に人間じゃない?





俺は過去を思い出す。


俺が洞窟から逃げて来た時の島の崩壊に、里に転がる無惨な死体の数々。



あの日の事に間違いない!



そして、血清の少年とは恐らく…俺の事?


間違いない!おばちゃんを殺した時の俺の血が証明だ!



おばちゃんも、ダチも…


父さんも母さんも…


化け物化した…



あれは、俺の知っている皆じゃなかったのか?


あれは、記憶だけ手に入れた化け物達が演じていたのか?



それに…


俺はさらに思い出す。



惨劇の日に、詩織を探して病院にたどり着いた時に見た…


あの姿を…


目の前に現れた化け物が研究者の一人を絞め殺していた姿を!



蛇神化した…



詩織の姿を!!







詩織…


俺は、お前をどうしたら良いんだよ?


本当に、お前は…


化け物なのか?



もし、本当に化け物だったなら…



俺はお前をどうするべきなんだ?



信じられねぇよ…


お前が化け物だなんて…



だから、俺は…



『それを確かめるために、詩織!兄ちゃん、お前のもとに行くからな!』





俺達は祭壇のある岩山の麓まで来た所で立ち止まってしまった。



嘘だろ?


そこには、あるはずの祭壇まで行くのに必要なロープウエイが壊されて無くなっていたのだ。



これでは先に・・・


蛇塚「祭壇のある所まで行けないじゃないかー!?」


俺が落胆していると、三人は何もなかったかのように岩山を駆け上がって行ったのだ?



えっ?えええ?



蛇塚「ちょっと待てぇー!」



俺はついツッコミを入れてしまった。


だって…


この足場も何もない岩山をよじ登るなんて?


絶壁だぞ?


てか、駆け上がるなんて人間かよ!



そんな俺のもとに、銀髪が戻って来た。



銀髪「何をしている?早く登れ!」



コイツ…


何を平然と…



蛇塚「無理だよ!無理!人間にはよじ登れねぇよ!」


すると…


銀髪「…先ず身体中に気を覆わせてから、その気から重さを無くして、崖の僅かな踏み場を蹴る瞬間に力を放出させ…」



蛇塚「…って、真面目な顔で説明されても、ちんぷんかんぷんで意味解らねぇよ!一般人ナメるなよ!」



銀髪「…馬鹿なのか?お前は?」


蛇塚「馬鹿とかじゃなくて!そんなん普通の学校じゃ習わねぇし、出来ねぇよ!」



銀髪の男は沈黙した後…



背中を向けて腰を下ろし、俺に乗れと指で合図する。


カッ!


おんぶ…おんぶ…



蛇塚「男の俺が、おんぶなんかされたら恥ずかしいわ!」



その後…


俺は銀髪に強引に引っ張られて岩山を駆け上がっていた。



いや、俺は銀髪の奴に…



だ…抱っこ…


されながら…



俺は抵抗も出来ずに、抱き抱えられている。



あああ…


銀髪の美形に…



お姫様抱っこされてる俺…


なんか…


いろいろあった決意が…



あっ…


銀髪の顔が近い…



息がかかる?


やっぱし、この銀髪…


綺麗な顔してやがる…



ハッ!何を赤面してるんだ!俺は!?



蛇塚軍斗…17歳の夏…



今、普通の高校生とは違う体験の真っ最中…

次回予告


三蔵「ケラケラ!恥ずかしいな?お前!」


蛇塚「うるさい!うるさい!うるさい!」


三蔵「おんぶに?お姫様抱っこ?ケラケラ」


蛇塚「中国遺跡で晴明の裸を見て、鼻血流していた奴に言われたくないわい!」


三蔵「わわわわわわ!何を言ってるのかな?知らないな~あれは鼻血は鼻血でも、顔面ぶつけての鼻血だし~」


蛇塚「ジィーーーー。焦り方が尋常じゃないぜ?」

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