悪魔の研究日誌
この島で何が起きたというのか?
少年蛇塚は、島の真実に触れる。
俺は蛇塚軍斗…
俺は島で起きた全ての事情を知る、魔物退治の僧侶・空海より話を聞いていた。
今から十年前に起きた悪夢。それは、里の女を使った融合実験が事の始まりだった。
女は二人の子供を人質に取られ、実験に否応なしにその身を捧げる事になる。
【研究ファイル】
女と蛇の融合実験を開始した。
女は最初もがき苦しんだが、暫くすると死んだように眠りにつく。
呼吸・血圧・心拍数共に正常…
実験より三日目、女に異変が起きた?
女の足が腐り始め、二本の足が繋がっていったのだ。
実験より一週間目…
足は完全にくっつき長く伸び始めていった。
まるで、下半身が蛇のようじゃないか?
実験より十日目…
女が目覚め、肉が食いたいと暴れ始める。
女に牛と豚と鶏肉を食べさせると少し落ち着いた。
だが、その食欲には目を見張るものがあった。
牛二匹、豚三匹、鶏十匹…
それが三日間続く。
その頃には女の身体は、最初の十倍近くになっていた。既に人間の面影はなくなっている。
病院施設に置いて置くには人目に付きやすいと言う事で、夜中に秘密裏に島の中央にある岩山の洞窟に移動させる事にした。
その後も、女は肉を要求していく。
ついにそれは人間の肉を要求し始めたのである。
断った研究者の一人が、女に丸呑みにされ、ようやく私達は自分達に手に負えない化け物を造り出してしまった事に気付いた。
その後、私達は女の要求通りに島の人間達を餌として提供していった。
運の良い事は女が人間を食するのは一度大量に喰らった後は、一年に一度と言う事だった。
その後は死んだように眠っていた。
馬鹿な研究者が寝込みを襲おうとしたが、逆に返り討ちにされ餌食となった。
この地点で生き残った研究者は三人。その頃には女は十メートル近くまで巨大化し下腹部より下は大蛇。腹部は赤子がいるかのように膨れ上がっていた。
まさに化け物だった。
我々はこの化け物をバビロニア神話より…原初の蛇女神ティアマトの名を借りて、『ティアマトの母胎』と呼ぶ事にした。
実験より一年が経った頃、ティアマトの母胎は活動を停止した?
死んだ訳ではない…
深い眠りについているようだった。
何故、この化け物に『母胎』と名付けたか?
我々はこのティアマトの母胎に管を通し、その血液を採取する事に成功する
採取した血は、我々の今まで苦労してきた研究を無視するかのように恐るべき効果をあげたのだ!
我々は島の住人の被験者にその血を注入すると、その被験者は人間離れした驚異的な力を手に入れる事に成功したのである。
記憶障害もなく、後遺症らしきものは一つも見つからなかった。
まさに神懸かり的な血であった。
その次の年の儀式の際に、我々はこの採取した血を島の住人全てに投与する事を実行したのだ。
島人達にはウイルスの予防摂取と説明し、誰も疑う事なく簡単に実行された。
実験は新たな研究結果を示していく。
この血は、大人よりも子供の方が適応しやすいという事。
強い感情に反応しやすいという事。
仮説だが、それはまるで、『死にたくない!生きたい!生きたい!』と強く願う感情に左右されているように思えた。
当初の目的どうり、この島の人間兵器を使い私達をこの島に置き去りにした日本国
に復讐してやるぞ!!
それから間もなくして、ティアマトの母胎のある洞窟で見張っていた研究者の一人から携帯がかかって来た。
彼は取り乱した様子で私に電話をかけ、その直後悲鳴をあげながら絶命したようだった。
洞窟の中で何が起きたと言うのか?
私は手術台に寝かせている少女を前にして、何か嫌な予感を感じていた。
それが今から五年前?
俺は研究者の研究日誌を読みながら、過去に起きた事を振り返っていた。
…あの日の事か!!
記憶の霧が少しずつ晴れていくのが解る。
俺は…
その時、洞窟にいたんだ!
洞窟の中で何かを見ている?いや!見てしまったんだ!!
『!!』
『うわああああああ!』
俺は何かを思い出したと同時に身体に震えが走り、その場で発狂してしまった。
空海さんが突然の俺の異変に、抱き寄せ強く抱きしめる。
空海「よほど…恐ろしいものを見てしまったのだな?」
そうだ…俺は見た…
あれは俺が光治を追って、洞窟の奥にまで入って行った時の事。俺は奥へ奥へと暗闇の洞窟の中を進んでいたんだ。
その時、中から人の声が聞こえて来たんだ?
俺はその声の聞こえて来た方に向かって進んで行く。
そこには?
武装した島の大人達と、その中央には…
「…父さん?」
島のリーダーであった俺の父さんは、島の大人達を引き連れ研究者の一人と討論していた。
父親「もう、黙ってはいられん!我々は知ったんだ!貴様達は俺達に怪しげな薬を投与して、何かの実験をしているんだろ?貴様達は俺達をモルモットに使っていたのだな!」
研究者「…そ…それは…」
父親「ここ数年の死者の数は半端じゃなかった。ウイルス感染?馬鹿を言うな!貴様達の口車に乗ったのがそもそもの間違いだった…貴様達が島の仲間達を殺したんだな?さあ!私の女房を返せ!!」
父さん達は研究者を持っていた棒で殴り始めたのだ。
研究者は悲鳴をあげながら血まみれになっていく…
血の匂いが洞窟の中に広がっていった。
その時?
何か影が?音もなく洞窟内をうごめき始めたかと思うと、島の男の悲鳴が洞窟内に響き渡ったのだ??
一体…何が?
悲鳴をあげた男は宙吊りになったかと思うと?
真上から身体の半分が落ちて来たのだ。
洞窟に集まった村の大人達がパニックを起こしながら騒ぎ始めると、暗闇の中、一人一人と影に飲み込まれていくように消えていく!
残った大人達は武器を構えて辺りを警戒した。
その時…
遠くから見ていた俺には見えていた。
巨大な『顔を』
俺にはその顔には見覚えがあった。見間違うはずもない!あれは!
「…か…母さん…?」
それは変わり果てた母さんの姿だった。
その母さんの姿は十メートル近くの上半身に、下腹部より下が、大蛇のようにとぐろを巻いていた。
父さんはその母さんを見上げて、
父親「本当に…お…お前なのか?」
その直後、父さんは口を開けた母さんに飲み込まれたのだった。
俺は息をするのも忘れて口を閉ざしていた。
身体は震え…
涙が溢れるように流れていた。そして、そんな俺に母さんが気付いたのである。
『…ぐ…軍…斗…?』
俺は恐怖とパニックで辺りが見えなくなっていた。
その後、俺は無我夢中で走った。真っ暗闇の洞窟の中を駆け回り、どうやって抜け出したのか解らないが…
俺は洞窟から飛び出すように外に出た。
洞窟の出口には洞窟入り口を見張っていた長人達の死体が転がっていたのだ。
その残骸は、何かに蝕まれたかのように身体を食い散らかされていた!!
俺はそれを見て吐いてしまった。
俺は泣きながら…
里に向かって走っていた。
だが、その里もまた異変の渦の中にあった。
皆…皆…死んでる?
島は地獄と化していた。
そんな中、俺は…
…し…詩織は?
俺は詩織を探して、この病院にまで辿り着いたのだ。
そこで俺は…
新たな悲劇を目にする事になるのだった。
次回予告
蛇塚「気付くと次回予告らしき事を何もしていない事に俺は気付いた!よし!マジに次回予告をするぞ!」
三蔵「何をいまさら?」
蛇塚「で?次回予告ってどうすれば良いと思う?下手に話すとネタバレになるし、勿体ぶってナンボじゃないか?やはり小出しに、次の話に興味を持たせるのが次回予告のパーソナリティーのプロってもんだよな?」
三蔵「パーソナリティーのプロって何だよ!!お前は一体、何者だ!?」
蛇塚「で、次回予告を・・・」
三蔵「何だよ?言えよ?」
蛇塚「ダメだ・・・いざ話そうとしたら、緊張して言えなくなってきた・・・」
三蔵「ダメなのは、お前だ!!」




