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神を導きし救世主!  作者: 河童王子
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悪魔の実験


病院内を探索する蛇塚は、そこで地下室を見つける。


地下室を降りた先で、大蛇と戦う僧侶に出くわした。


その相手は?




俺は蛇塚軍斗…


俺と詩織は昔、目の前にいるこの僧侶によって、この島から助け出されていた。


そう…


それは今から五年前…



今日と同じく儀式があったあの日、この島は炎に包まれた。


島人達は一人一人苦しみもがくように倒れていく中、俺は詩織の手を引っ張りながら里の中を走っていた…



俺は12歳、詩織は10歳…



この島の地獄の光景を見るには幼く、トラウマになり過ぎた。



話は、俺が光治を追って洞窟の中に入って行った後へと続く。



そこで俺はとてつもなく恐ろしいモノを見た…


見た?


はずなんだが?



(…この辺りの記憶はまだ思い出ないぞ?


だけど、その後の事はハッキリと思い出したぜ!)



俺は恐怖のあまり洞窟から逃げ出した後、(…洞窟の外で見張りしていたはずの長斗達はいなくなっていた?)里に向かって駆け出していた。



「今、見た事を大人達に知らせないと!」



あの時の俺は洞窟で起きたとんでもない事を里の大人達に知らせるために無我夢中で走っていた。しかし、里に辿り着いた時に俺が目にしたのは?


炎に包まれて、燃え盛る里だった。



蛇塚「一体…一体里で何が起きたんだよ?」



幼少の俺は茫然と頭の中が白くなりながらも、



「…皆は?詩織はどうなったんだよ?」



俺は無我夢中で里の中を探し回った。


そして、最後に着いた場所がこの病院だった。




「詩織…そうだ!もしかしたら注射に時間かかっているかも…」



詩織は俺の二歳下だから、確か予防摂取の時間は午後だったはずだ…



間違いない!



俺は病院の中に入って行った。そして…



確かに詩織はそこにいた。


詩織がいた場所は手術室にある手術台の上だった。


部屋は血にまみれて、壁には獣が暴れたかのような傷跡が残っていた?


さらに手術台の下には医者らしき姿をした人間達の変わり果てた死体…


何が起きたか解らないが、俺は嗚咽しながらも、手術台の上で眠っている詩織を背負い、病院から出て行ったのだった。



何だよ?


何なんだよ?


何がどうしてしまったんだよぉー!!




その後、目を覚まして泣きじゃくる詩織を連れた俺は、命からがら島の外れにある浜辺にまで辿り着き、そこで倒れた。



そんな俺の前に男の声が?



「まだ生き残っていた者がいたとは…」


(…だ…誰?)


そこに現れたのが、この僧侶。


「…可哀相に…よほど恐ろしい目にあったのだろうな?まだ、これほど幼いと言うのに…」



俺と詩織はあまりの恐怖体験で、パニックで身体を震わせ、自我崩壊をしかけていた。


すると僧侶は俺達兄妹の額に手を置き、何やらお経みたいな念仏を唱え始める?


意味の解らない文字が頭の中に入って来た。


すると、悪夢が消えていくかのように?記憶に霧がかかったように?俺と詩織は…この島で起きた事を忘れていったのである。



そして今…


俺は思い出したのだ!


あの日の出来事を…



蛇塚「あの時の…俺と詩織を助けてくれた方ですか?」


その質問に僧侶は頷く。



『そうだ…まさか君達がこの日、この時に舞い戻って来るとは思ってもみなかった…』



俺はこの僧侶に聞きたい事が沢山あった。



蛇塚「一体!えっと…これはどういう?えっと…あああ!頭が回らねぇよ!」



あんたは誰で?


この島に何が起きたのかを?



すると…



『君も既に巻き込まれてしまった以上、順を追って説明しよう…私の名は空海!魔を討伐する者!』



蛇塚「空海さん?」



そして、空海と名乗った目の前の恩人である僧侶から、俺はこの島に起きた異変を知る事になるのだった。



空海さんは病院にあった資料や、日記らしきものを机の上に広げながら俺に説明してくれた。


それは第二次世界大戦最中、世は国と国との間で人間同士の大規模な戦争が行われていた。


当時の日本政府の科学者達は、他国との戦争に勝つための殺戮兵器の研究を日々行っていた。


最初は武器や戦闘機という物が主であったが、次第にその研究は禁断の『人体実験』へと変わっていく。



人間の細胞に他の生物の細胞を融合させる事で、獣人戦闘兵を造ろうと考えたのだ!



獣から鳥、爬虫類…


様々な動物実験が行われたが、それは尽く失敗に終わった。



もともと無理な話…


ありえない研究だと…



ついにその実験も中止となりかけた時、中国に進行していた日本兵が、『あるモノ』を持ち帰ったのだ。



それは…


『死なない蛇』



兵士の一人が腹を空かして、捕まえた蛇を食べようとした事から始まった。


兵士が蛇の頭を石で潰したにも関わらず、蛇は死なずに再生したのだと言う…


切っても、銃で撃っても同じ事だった。


気味が悪かったが、空腹に耐えられなくなったその兵士は、その蛇の肉を口にしたところ…


その兵士は人間離れした能力を手に入れたのだ!


飛んできた弾丸を躱し、向かって来る戦車を持ち上げ倒したのだ。


が、その兵士は次第に自我を無くし、その身体も化け物のように変わりはてる。


最後は恐れた仲間達に銃弾で蜂の巣にされ息絶えたらしいが…


完全に死ぬまで、その生命力は半端なかったと言う。


その後、持ち帰った例の蛇を研究者達は大いに喜び研究に没頭したところ、科学者達はその蛇の血に注目したのである。



そして、その血には科学では解明出来ないDNAが含まれていた事が判明したのだ。



[蛇の姿をした異なる生き物]



そして科学者達は、その血を使った人体実験を始める事になる。



だが、それは極秘に行わなければならない…




そこで、選ばれた土地がこの蛇神島だったのだ。


当時、この実験に参加した日本最高責任者は、この地を実験の地とし、外地から完全に閉鎖させた。


また、この島に住む者達もまた特別な一族であった。


それは、古くから蛇神を崇め奉る民だったのだ。


日本政府にとって、この民は打ってつけでもあった…



『蛇好きなら、ちょうど良くねぇ?』



そして地獄の研究は始まったのである。


島の人間達には自分達には特別なウイルスに感染しているためと説得し、島から出る事を禁じた。そして持ち帰った蛇のDNAを島人に予防摂取として体内に注射し、その経過を見るのだ。


実験当初は発狂し、死ぬ者も多数現れた。


その全てが流行りの病と言う事で処理されていく…



そんな実験が続く最中、ついにその成果が現れる者達が現れたのだ!



特殊な力を持つ能力者が…


人間離れした怪力、駿足、手を使わずに岩を砕く者など、多種多才な人間達が現れ、しかも自我を崩壊させる事もなかったのだ。



実験は成功に思われた…



が…


その実験成功間際の…終戦


日本に原爆が落とされ、敗戦とともに戦争は終わりを告げたのだった。



同時に実験は終了かと思われた…



だが、この研究はあってはならぬ軍事機密であるがため、本土[日本]から科学者達と島の人間達を始末する命令がくだされたのだ。



『…これ、バレたらヤバくねぇ?』『あってはならないものは、なかった事にしたら良くねぇ?』『じゃあ、消しちゃう?あっ!!うちらの事は表沙汰にしちゃいかんよ?知らない~知らない~』




戦争が終わった日本だと言うのに、銃を持った兵士達が島に流れ込む。


島の人間達は突然の襲撃に戸惑うも、逆にその人間離れした能力で日本兵を撃退したのだ。



そこで日本政府は裏の組織、つまりオカルトの専門家であった武装僧侶達の頂点に立つ座主と呼ばれる者に救いを求めたが…


座主はその申し出を断ったのである。



その後、島は独自の島として日本と隔離されたのだった。



何者も出入り出来ぬ強力な結解の張り巡らされた小島へと…



だが、問題が起きた!



島には研究に携わった科学者が取り残されたままだったのだ。


科学者達は島の人間達と同じく、島から出られなくなった。科学者達はそんな日本政府に恨みを抱き、島の人間達を使った実験を再び続行したのである。



日本に復讐するために…



それは何年にも続いた。


そして、ある日…


ある女を実験に使った事から、この研究は新たな悲劇を呼んだのだ。



その女は蛇の血の適合率百パーセントを表示したのである。女は二人の子供の母だった。夫の方も島の自衛団のリーダーであり、島一番の能力者だったがため引き離すのには時間がかかったのだが、その子供達を誘拐し人質にする事で女を実験の素材に使う事に成功。


科学者達は…


その女と最初に手に入れたあの中国で発見されたという死なない蛇との融合を試みたのだ。



融合実験は…



成功…



その日より、この島は蛇神の産まれる地へと変わっていくのだった。






蛇塚「ちょっと待ってくれよ!その女って…まさか!」





空海さんは頷きながら話を進めていく。俺は落胆しながら話を聞いていた。ショック



母さん…


母さんの身に一体?



母さんは病で死んだんじゃなかったのか?



空海さんは机に研究日誌らしきものを並べ俺に見せる。俺はそれを一枚一枚読んでいた。


次回予告


蛇塚「思い出した!!記憶が・・・そうだった。俺は、」


三蔵「何を思い出したんだ??」


蛇塚「昔、病院近くの大木の下にタイムカプセルを埋めたんだった!」


三蔵「ほ~う?で、何を埋めたんだ?」


蛇塚「(12点の答案用紙とは言えない)」

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