幼なじみ
帰郷した蛇塚と詩織が来たのは、外界より閉ざされた謎の島
蛇神島!
そこで二人を待ち受けているのは?
俺は蛇塚軍斗
俺は妹の詩織と、故郷である蛇神島に儀式…祭?のために帰郷していた。
俺は体調の悪かった詩織を千亜に預けた後、幼なじみの長人、光治、健司と高城に連れられ、明日儀式が行われる祭壇を見に行く事にしたのだった。
祭壇には再びロープウェイに乗って行かなければならない。俺達が最上部まで着くとそこには既に儀式の準備が始まっていた。
あれ?
この祭りって、こんな感じだったっけ?
やけに気味が悪い…
動物の骨や皮が至る場所に飾られている?
これは何かの趣向なのか?
俺はダチ達に案内されるがまま歩いている。
着いた場所は、この蛇の山の更に頂上にある洞窟の前であった。
…この…洞窟?
この洞窟は、確か?
昔、ダチ達と一緒にこの洞窟に来た記憶が?
あれ?
しかし、また記憶に霧がかかったようになって、記憶が思い出せないまま消えていく?
この洞窟で何かあった気がするのに?
思い出せねぇ…
すると、
長人「どうした軍斗?何か気になるのか?」
長人が様子のおかしい俺に話しかけて来た。
蛇塚「えっ?ああ…いや、何でもねぇよ!ちょっとな…昔の事を思い出していただけだから…」
健司「何か思い出したのか?」
蛇塚「いや?別に何も…なぁ?あの洞窟で昔何かなかったっけかな?」
すると四人は俺の言葉に対して返答も無く、そのまま無言になって先を歩いて行く?
俺は…
まぁ…良いか?たいしたことない内容だろうしな。
だが、この洞窟の一件は思い出さなきゃいけなかったと気付くのは、その後の事だった。
俺達は岩に腰掛けながらガキの頃の昔話を語り合う。
里を走り回り、釣りや虫取り、悪戯や喧嘩なんかもした。不思議と、その頃の事はやけに鮮明に思い出す。
懐かしい…
楽しかったなぁ…
ダチといると、昔の事がつい昨日のように思い出されていく。
こういうのって良いよなぁ~
蛇塚「なぁ?お前達は普段何してるんだ?やっぱし、学校で勉強や部活とかしてるのか?」
すると…
また、無言になる四人?
蛇塚「ん?どうした?」
そんな俺に長人が質問して来たのだ。
長人「お前、血の力はどれくらい使えるんだ?どのくらい覚醒出来たんだ?」
血の力?
何故にそんな話を?
蛇塚「血の力って…あれか?あの…霊とかが見えたり話したり、触ったりとかか?」
そう言った時…
高城「なぁ…もしかして取り越し苦労じゃないかな?」
健司「霊とかって…あんなの基礎だろ?」
長人「そうだろうな…」
光治「・・・・・・・・・」
突然四人の意味不明な会話に俺は戸惑っていた。
蛇塚「おい?どうしたんだよ?血の力がどうかしたのか?」
血の力とは…
この里の連中は皆、不思議な力を持っていた。
それは『蛇神の力』と呼ばれる忌まわしき古の力だった。この里に住む者には生まれついて身についていると言われ、俺のように霊が見えるのはもちろん異常に身体能力に長けた者が現れる。凄い奴らになると身体や拳を強化して、大木を殴り倒す者もいるのだ。
蛇塚「どうしたよ?」
俺が話し掛けると、長人達は一緒に洞窟に入ろうと持ち掛けて来たのだ。
洞窟…
ここは確か、立ち入りを禁止されているはず?
あれ?
この洞窟、以前?
また記憶に霧がかかった。
俺はダチに連れられるがまま洞窟の中へと入って行く。幾つもの結解が施された形跡があったが、それは全て壊されていた?
俺達が洞窟の奥まで辿り着くと、そこには…
「!!」
その瞬間、俺は首筋に強い衝撃を受けたのだ?
…な…何が?何が??
視界がボヤけ、俺は崩れるように気を失った。
うっ…ううう…
俺が目を覚ますと、そこは洞窟の中にある牢屋の中だった?
何だ?何が?何が起きたんだ?
頭が…痛ぇ…
俺は身動きが出来ないように身体を縄で縛られていた。周りは暗くて状況が解らなかった。
…皆は?
皆は無事か!?
状況の解らないでいる俺は仲間達の安否を確かめようとすると、背後から何者かの声がしたのだ。
「また、この里に来たんだね?せっかく…せっかく里から出られたのに…逃げられたのに…」
俺が振り向くと、そこには光治が立っていたのだ?
蛇塚「光治!無事か?他の皆は大丈夫か?一体、何が起きたんだよ!」
光治は言った。
光治「本当に軍斗は昔から変わらないね?自分自身の事より、他人の事を先に心配するところ…本当に昔のままだね?
君をここに閉じ込めたのは、僕達なのに…」
その衝撃の言葉に、
蛇塚「おい!光治!どういう事だよ?何を訳わからない事言ってるんだよ?何でお前達が俺を閉じ込めたりするんだよ?ふざけているのか?」
光治はナイフを持って、俺に近付いて来たのだ。
「あっ!」
光治は俺を縛っていた縄を持っていたナイフで切り、俺に告げる。
光治「早くここから逃げよう!そうしなきゃ…今度こそ君は殺されちゃうから!」
蛇塚「それはどういう?」
光治は答えずに俺の腕を引っ張り、そのまま走り出したのだ。
蛇塚「おい!詳しく説明しろよ?光治!」
光治は言った。
光治『この里はもう…終わったんだよ…君が里を出た…あの日に…』
その言葉を聞いた時、
俺の記憶の霧の中から見えて来る過去の記憶?
そうだ…
俺がガキだった時…
俺はこの里から詩織を連れて逃げ出したんだった…
いや、助けられたのか?
思い出せ!
あの時、あの日!
この里で何が起きたんだったか?
それは?
今日と同じく儀式(祭)の日だった。俺はダチ達と一緒に里の病院に集まり、並んで儀式前の予防摂取の注射を打つ。
理由はよくは知らないが、これは大人から子供までが義務付けられている事であり、年に一度儀式前に必ず行うのだ。
蛇塚「ふぅ~注射終わったし、祭まで暇だなぁ~」
その時の俺はガキンチョで、里のガキ達のリーダーみたいな存在だった。
つまり恥ずかしながら、がき大将ってやつだ!
そんな俺の所に…
「軍斗!大変だよ~!」
長人と千亜が血相変えて俺の所にやって来た。話を聞くと、光治が年上の連中に虐められて、儀式が行われる場所近くにある立入禁止の洞窟に閉じ込めたのだ。しかし、時間が経って洞窟を塞いでいた岩を退かして出られるようにした後も光治が出て来る様子もなく皆困っているのだと…
俺は二人と一緒に洞窟のある場所にまで向かうと、そこには虐めていた年上の奴らと、健司と高城が争っていた。
蛇塚「おぃ!お前達止めろ!」
俺の一声で全員静まり返っる。すると年上の連中は…
「ごめんな…悪ふざけが過ぎたよ…」
と、俺に謝罪したのだ。
蛇塚「俺に謝っても仕方ないだろ?仕方ねぇな…大人達には秘密にしろよ!」
そう言って頷く連中に洞窟の見張りを任せて、俺は一人洞窟の中に入って行ったのだった。
そうそう!ちなみに俺は、年上連中もシメテいた事は言うまでもない…
俺は照明を手に、光治を探して洞窟の中を探索していく。正直、この洞窟の中に入るのは初めてだった。
怖くないと言ったら嘘になる。だけど、光治は弱虫で泣き虫で、俺がいつも守ってやっていたんだ!だから、同い年だけど弟みたいな奴なんだよ…
きっと、あいつ…
この洞窟の中で怖くて泣いているに違いない!
守ってやらなきゃ…
俺が!
大分洞窟の奥まで来た時、俺は照明を消した。
何故なら、人の気配がしたからだった。
一体、誰が?まさか大人がいるのか?
俺は隠れながら、その音がする方を覗いて見たのだ。
そこで俺は…
『逃げて!軍斗!』
その時、光治の言葉に俺は現実へと引き戻されたのだ!そこには健司と高城が俺達の前を塞いでいたのだ?
高城「なぁ~光治よ~!裏切るなよな?」
健司「せっかく、ダチにしてやってるんだからよ!」
そして後ろからは長人?
長人「全く…世話をかかせるなよな…」
俺は三人に叫んだ!
蛇塚「おぃ!悪ふざけすんなよ?どうしちまったんだよ!」
だが、三人は冷たい視線で俺を見ているだけ?
光治「軍斗!走るよ!」
そう言って光治はそんな俺の腕を引っ張り、健二と高義の間をすり抜けて駆け抜けたのだ!
洞窟を出た所で、俺と光治は三人に捕まった。
光治は健二に腕を掴まれ振り向き様に殴り倒される。
蛇塚「バカヤロー!何をしてんだよぉー!」
光治を殴られ血が昇った俺は健二の顔面を殴りつけたのだ。が、激痛とともに殴った俺の拳の方から血が流れる?
クッ…イッテェ~!まるで、岩を殴ったみたいだぜ?
殴られた方の健司は、
健司「いつまでもリーダー気取りでいるなよな?軍斗!」
そう言って俺の腹を蹴り飛ばしたのだ!
俺は口から血を吐き、そのまま蹲ってしまった。
蛇塚「うぐぅ…!」
金属バットか何かで殴られたような衝撃が俺を襲い、俺は悶えるしかなかった。そして胸倉を捕まれながら持ち上げられる。
健司「お前、ガキの時は強かったし、優秀な奴だったから…どんだけ血の力を使えるのかと思って警戒してみてみりゃ~!全然、からっきしじゃんかよ?」
蛇塚「お…お前、何を?」
俺は必死にもがくも、びくともしない。
何なんだ?
この馬鹿げた力は?
人間の力じゃ…ない!
蛇塚「止めろ…お前達…自分達が何をしているか解っているのかよ!」
俺の言葉に健司は言った。
健司「あぁ…解ってるよ?あんまり痛め付けたら祭りの贄が傷物になっちまうからな?」
軍斗「贄だと?」
健司「でもな?必要なのはお前じゃなくて、詩織の方なんだよ!儀式に必要な贄にはな!」
…詩織が贄だと?
そう言うと健司は暴れる俺の胸倉を掴み、吊し上げながら移動する。
俺がどんなに暴れてもびくともしなかった。
そして、この崖の上からゴミを放るように俺を突き落としたのだ。
『ぅわぁああああああああああ!!』
俺は…
落下していく…
何も出来ないまま…
し…しお…り…
次回予告
蛇塚「うおおおおおおおおおおおおお!
昔の俺が死んじまう~
無事なのか?おれー!絶対に生きていてくれーーー!!」
三蔵「おい!いろいろ、おい!」




