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31.捲土重来の時までゆっくり休め

 「対空電探に感有り。数約60」

宇垣艦隊は苫小牧空襲後、航空隊を速やかに収容し津軽海峡を南下して時、葛城と酒匂から報告があった。

「対空戦闘、発令しますか?」

「いや、いいだろう警戒の戦闘機隊を向かわせろ」

岡田参謀長が宇垣に問いかけた。宇垣は時計を確認し、電探室に自ら相手の位置を聞き出し海図台に目をやってそれに答えた。

「方位から見てソ連機の可能性がありますが?」

「いや、可能性は否定できんが時計を確認してみろ。千歳だ」

ニヤリと鉄仮面らしくない笑みを口元に浮かべ宇垣が言った。岡田は脇に抱えていた黒表紙の冊子を開いて作戦要項を確認し宇垣の言葉の意味を理解した。岡田の見た所には『千歳飛行場放棄と残存航空隊及び飛行場要員撤収に関する事項』の部分でありそこに書かれていた時間はまさに今の時間であった。

「直ちに警戒隊に確認させますがその後はいかがしますか?」

岡田の横から冊子を覗いていた航空参謀が宇垣に尋ねた。

「合流次第、向こうの周波数確認しろ」

宇垣そう言い航空参謀は艦橋を飛び出した。


 604航空隊第3小隊 指揮官機

「前方の目標は友軍の可能性大なり。確認し報告せよ」

「了解。小隊行くぞ、ついてこい」

小隊長は速度を上げながら隊員達に命令した。

「兼子より小隊長。目標視認しました。陸さんの4式です。その後ろに陸海問わず全部友軍です」

小隊の中で一番目が良い隊員が小隊長に報告し小隊長もなんとか見えた機影を確認し全機にバンクさせた。相手も気づいてバンクを振り返したのでその戦闘機隊の横を通過した所でUターンして戦闘機隊の真横に付けた。

「警戒隊より葛城。目標は友軍機間違い無し。目標は友軍なり」

小隊長は無線で葛城に伝えた。

「葛城より警戒隊。ご苦労。その航空隊と交信可能か?」

「現在、すぐ傍に戦闘機隊がいる。周波数を確認する」

小隊長は向こうの機体の搭乗員がこちらを見た時にレシーバーを指さして無線のマイクを見せた。相手はその動作で察して指で数を示した。

「葛城、向こうの周波数が分かった。交信可能」

「了解、宇垣司令から伝言がある。周波数知らせ。警戒隊は艦隊上空まで千歳と同行せよ」


「第1任務部隊司令宇垣より千歳指揮官。応答せよ」

「千歳飛行場司令小林です」

「宇垣だ。この度はご苦労」

「いえ、我々の為に御足労掛けまして申し訳ありません」

「なにこの状況で何も貢献できずにいるよりは遥かに有意義な時間だったからなウチの将兵も喜んどるよ」

「ありがとうございます」

「そこまで言われる事はしとらんがとりあえずどういたしましてと言っておこう。とりあえず受け入れ先まで1機の脱落もない事を祈っているぞ。戦況からして貴官らの出番はまだあるだろう捲土重来の時までゆっくり休め」


『千歳』

宇垣と小林が無線でやり取りしている中、独立混成大隊の七瀬中尉は艦の軍医からの治療が終わりやる事が無かった為にヘリポートに出て久々の日本のタバコを堪能していた。その時、いくつものエンジン音が聞こえてきたので音の聞こえてきた方に顔を向けると日本の機体の群れが上空にいた。

「まだこんなに残っていたんだな」

顔を上に向け軍帽を手で押さえながらそう呟いた。自分らの仕事が多少は影響した結果かなと思ったがそれは自惚れ過ぎかと思いその考えを一緒に捨てるようにタバコを煙缶に捨てた。

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