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24.欺瞞作戦 2

 苫小牧湾 ソ連海軍極東方面艦隊苫小牧分遣艦隊所属 駆逐艦『ブルーヌイ』

 出港準備が一段落し、数名の乗員が見張りの名目で防空指揮所に上がりタバコ休憩をしていた。その中の一人が灰皿替わりのバケツに短くなったタバコを放り込もうとした時、具体的に何とは言えない違和感がよぎった。彼はまだ火の付いたタバコを持ったまま海を見渡したが見えるのは穏やかな波があるだけで思い過ごしかと思ったが違和感は拭いきれずもう一回見ようかと思ったが手に持ったタバコは限界に達し彼の指を焼いた。

「熱っ」

彼は慌ててタバコをバケツに叩き込んだ。

「おい、何やってんだよ?」

「そんなになってんだからさっさと捨てろよ」

仲間の声を聞き流して指の火傷を見ようとしたが海面に何かの影が艦に近づくのを見た時、直感で叫んだ。

「雷跡!!」

この声と同時に『ブルーヌイ』の艦首は吹き飛んだ。同様の事は苫小牧に停泊していた数隻におきその中の1隻は艦隊と砲兵師団向けの大量の弾薬を運搬していた輸送船であり、2発の酸素魚雷は過ぎたる攻撃であった。輸送船はすぐ近くの駆逐艦と掃海艇、岸壁のクレーンや木箱を巻き込んで消え去った。

「……すげぇ」

戦果確認の為に潜望鏡を上げた真木は覗き込んだ瞬間に網膜に飛び込んできた映像にそれしか言えなかった。すぐさま自身の狙っていた目標に潜望鏡を向け、撃沈を確信した。

「駆逐艦1、撃沈確実だ」

そう言って先任に潜望鏡を譲り確認させた。

「よし、ずらかるぞ。面舵30、進路……」

「艦長、方位280に推進音。こちらに来ます!!」

聴音が叫んだ。先任は潜望鏡をその方向に向け音の主を確認した。

「目標は軽巡。こちらに向かって来ます」

「敵艦、少しずつ増速している」

先任と聴音が報告した。

「聴音、探信音あるか?」

「……今、出ました」

「やはり、缶の圧力が充分ではないのに無理やり動かしたのだろうな。動けるのがコイツだけならまだ逃げ切れる。機関長、電池の具合は?」

真木は艦内電話で機関長を呼び出した。

「異常なし。全速で走っても3時間は持ちます」

「よろしい、3番、4番魚雷戦用意。諸元入力急げ、向こうが回避運動とってる内に沖に出るぞ。航海長この辺の海底地形は?」

「えーと、なだらかで起伏のない地形になります」

「魚雷発射後に深さ60まで潜ってそのまま全速で沖まで逃げるぞ。操艦、任せる」

「了解」

「目標からの探信音さらに近づく、こちらの位置を掴みかけている模様。!!着水音!!」

「爆雷防御。先任、諸元入力完了次第―――」

「完了!!」

「撃て」

「テェ―!!」

このような事が苫小牧で起きている時、千歳飛行場では来号作戦の一環として動きがあった。それは一作戦の中の一つと言うにはあまりにも規模の大きいものであった。

「第1ならび、第3滑走路、地雷敷設完了」

「手の空いていた者は第2と防空管制所に応援に回せ」

「誰が銀河の部品持ってこいって言った!!深山改の部品だって言ってんだろ!!時間ないんだからさっさっと持ってこい」

「こりゃ、ダメだ。昨日の砲撃で潰された機体から使えそうな部品ないか見てこい」

「238の天山隊への給油始めるぞ。給油車、準備いいか?」

「戦闘配食配るぞ。各部署、担当は烹炊所に向かえ」

「いいか、俺たちの目的は――」

「敵からの定期便(砲撃)が来るぞ警戒しつつ作業続けろ」

「滑走路の修復作業用意しとけ」

千歳は開戦以来最大の喧騒に包まれていた。

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