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21.回収作戦 3

 時間は少し遡って……

この日釧路の愛国飛行場から一機のB24が襟裳岬方面の哨戒に飛び立った。この頃ソ連は包囲をしつつあった千歳飛行場攻略の為に苫小牧市郊外に臨時飛行場を設営しここから航空支援を行う計画がありこの機体は哨戒活動を行いつつその臨時飛行場に降りるという命令を受けていたのである。

「おい、何か見えたか?」

機長が全員に聞いた。

「ダメです、この霧じゃ何も……」

「同じく見えません」

「エンジン音も聞こえません」

このような答えがあり機長はレーダーを取り扱っている通信士に声を掛けた。

「ニコ、どうだ?」

「調子は相変わらずです。今の所は反応はありません。交換の予定はまだ決まらないのでしょうか?」

「まあ、言うな。ウチの政治士官殿はその手の機械に理解が薄いからな。とりあえず使える事は使えるんだろ?」

「ええ、まあ……」

「仕方ない。ボリス、高度下げるぞ」

「了解。高度は?」

「5000で良い、流石にそれぐらいならまだマシだろう」

副操縦士はその指示で操縦桿を操作した。


『酒匂』情報室

「情報長、対空に反応。方位50、距離40000、数1」

電探員が情報室の責任者である高津清彦情報長(※後に船務長と呼ばれるポジション)に報告した。

「高度は?」

「反応から見て6000以上かと、もう少し近付いてくれれば高度測定電探の範囲に入りますのでもう少し正確になりますが……」

「わかった。監視を続けろ」

高津は艦内電話を取り艦橋に繋げた。

「艦長、高津です。電探に感あり」

「敵機か?友軍機か?」

「まだ不明です。現在、監視を続けさせていまので大まかな進路と速度から割り出せる可能性があります」

「よし、監視を続けろ。俺も『葛城』に問い合わせよう」

「了解」

高津はそれで電話を切った。鹿野はすぐさま信号員に『葛城』への問い合わせを命じた。


『葛城』

「参謀長、どう思う?」

宇垣は『酒匂』からの問い合わせを岡田に尋ねた。

「友軍がこの時間に行動しているのは釧路への攻撃隊なので方位が違います。函館からの2式大艇なら方位はおかしくありませんが数が違います。攻撃隊の内、被弾機が機位を失って迷い込んだ可能性もありえます」

「ふむ、我々は現在無線封鎖中、発光信号も相手が敵なら逆効果か……」

そう言って宇垣は腕を組んで考え込む仕草をしたがすぐさま顔を参謀長に聞きたいことを尋ねた。

「『酒匂』は目標を補足しているんだな?」

「はい、詳細が分かり次第、報告するように命じております」

「目標は1機だけなのは間違いないな?」

「先程、本艦の電探でも確認できました。僚艦からも同じ報告があります」

「よかろう。『葛城』、『龍驤』は航空隊の準備を予定通りに行え、他の艦は対空戦闘用意。『酒匂』には5式を準備させろ。実戦データを取るいい機会だ」

「了解」

岡田は通信参謀に命令を伝えて見張り所に走らせた。


『酒匂』

「艦長、旗艦より信号『対空戦闘用意。5式、準備せよ』」

「対空戦闘用意!!砲術長、5式の出番だ。準備しろ」

鹿野は艦内電話で砲術長を呼び出しつつ命令を出した。


同 誘導弾管制室

「多川、頼んだぞ」

「は、はい。準備は始めていますが目標は敵機に間違いないのでしょうか?」

砲術長からの命令に思わず多川は聞いてしまった。

「7、3ぐらいで敵さんだ。落ち着いてやれ」

「了解」

後部甲板では発射機が目標の方位に合わせて動き出し、誘導装置も管制室の背後で同様に動いていた。


『葉月』

「艦長、電探に反応。目標を補足」

「ふーー、ようやくか。相手の姿はまだ見えないか?」

「はい、この霧ですから」

「畜生」

こう呟いた艦長は隊司令にある相談を行い。信号員を捕まえて『酒匂』に意見具申を行った。


「『目標の詳細確認の為、駆逐艦1を艦隊から離脱させ偵察させるべし』か……」

第51駆逐隊司令からの意見具申を受け鹿野は逡巡したが一刻も相手の正体が知りたかった為に対空戦闘時の自身の権限ですぐさま許可を出し、『葛城』と『葉月』に連絡した。『葛城』はそれをただ了承するだけに留め、『葉月』はすぐさま次席指揮官である『新月』艦長との連絡を取り自らが動き出した。


B24は高度を下げると幾分マシになったがまだ濃い霧の中を進んでいた。

「!!機長、レーダーに反応、方位250、数は1つ」

通信士が乗員全員に聞こえる様に叫んだ。

「ん?間違いないのか?」

「はい、ハッキリと映ってます。エラーではありません」

「ボリス、確かヤポンスキーの海軍は未だに我が海軍と海戦の最中だったよなあ?」

「はい、夜明け前に中規模艦隊を無力化したとありますが相手の主力は未だに健在だそうです」

「中規模艦隊とやり合った室蘭艦隊は確かその主力との交戦の為に釧路艦隊と合流だったな……」

「と言う事は、苫小牧警戒隊のフネですか?」

「その可能性はあるな、ヤポンスキーのフネならこんなトコにいる理由がないだろうな。ボリス、高度をゆっくりと下げるぞ。皆、相手をしっかり見てろよ」

こうしてB24も相手を確認する為の行動を起こした。



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