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20.回収作戦 2

『葛城』

「特発、浜を離れます」

見張り員が報告を宇垣達は海図台の前で聞いていた。

「では、予定通り千歳と橿原丸は第48駆逐隊と龍驤に護衛させて退避するという事で?」

「ああ、そうだ。44潜水隊は予定通りか?」

「定時報告以外の連絡はありません。先程、三沢から二式大艇が偵察に出ましたが目標に動きは認められないとの事です」

このやり取りが交わされている中、搭乗員全員が食堂に集合していた。


「気を付け!!」

飛行長の嶋崎中佐が入ってきたのに気づいた分隊士の一人が声を上げた。

「敬礼、よろしい。全員、着席しろ」

それを制して嶋崎は入口の前に立ち搭乗員を一瞥し、604空派遣隊指揮官の笹井少佐を見つけた。

「笹井隊長。全員集合しているな?」

「はい、総員集合しています」

「よし、みんなよく聞け。我々は作戦に基づいてこの場所に攻撃する」

そう言って彼は壁に貼り付けた北海道の地図のある一点を指揮棒で指した。

「いいか、最優先攻撃目標は敵の砲だ、敵艦は出来たらで構わない。いいかとにかく砲を見たら見境なく黙らせろ」

嶋崎はこう言った為に思わず赤松が手を挙げた。

「飛行長、あまりにも漠然とした命令ですがそれは榴弾砲や高射砲、しまいには迫撃砲の類も潰せって命令でしょうか?」

「……そうだ。まあ、潰せればの話だがな。言い忘れたが対空機銃は迫撃砲より先に潰してもらうぞ。相手は師団単位で砲を運用するそうだ。砲と名の付く物はそれこそ本艦に住み着いたネズミより多いだろう、よって本作戦ではすまないが戦闘機隊には6番を2発、爆装で出てもらう。艦攻隊は九九式三号4発、追加機銃2挺だ」

「的には困る事はないですね。解りました」

納得した顔で赤松は質問を終わらせた。

「他に質問は?ないな。よし、かかれ!!敬礼よろし」

搭乗員達はすぐさま格納庫に走り出した。


『橿原丸』デッキ

「いいぞ、上げてくれ」

ボートに乗り込んだ船員がウインチの操作をしている船員に叫んだ。

「いくぞ、揺れるからしっかり見とけよ」

「いいですか、しっかり掴まって下さい」

ボートの船員はボートに乗せられている子供と老人に注意を促した。その横では網のような形をしたロープラダーが降ろされて何人もの人間がそれをよじ登っていた。

「よし、頑張れ。ほれ、あと少しだ」

あと少しで上り終わろうとする少年に父親らしい男が声を掛けていた。

「息子さんですか?」

その近くで上り終わった人に毛布を手渡していた客室係が声を掛けた。

「ええ、今年で13になります。医者になりたいそうで中学になんとか通わせて、これからって時に……」

何とも言えない顔を父親はした。それにつられる様に客室係は苦笑した。

「おーーーい!!作業中断、中断だ」

収容作業を指揮していた航海士が電話片手に叫んだ。

「な、なんですか?一体?」

「敵だ!!敵が来ている。今登っている人は急いで」

部下の質問には答えず航海士はデッキの手すりを掴んで身を乗り出して特発に叫んでいた。

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