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13.露見

 4月16日 ソ連海軍太平洋艦隊所属 潜水艦L16

 L16は定時連絡の行う為に潜望鏡で周辺の確認を行っていた。本来、ソナーでも確認するが3時間前に不調を起こし哨戒を中断し釧路へ帰投する旨も伝える事にした。

「……?…………!!方位300、艦影多数」

かすかに見えた影に艦長が叫んだ。

「ロフスキー、ソナーはどうだ?」

艦長の叫びに副長がソナーの修理をしていたソナー員に問い質した。

「待って下さい……、万全ではありませんがかろうじて聴音可能」

「よし、それで目標の状況をなんとか調べろ」

「了解」

副長は指示を出した後、艦長と政治士官の元に向かった。

「同志艦長、同志政治士官。ソナーは万全ではありませんが聴音は可能です、目標の状況確認を命じました」

「うむ、君も見てみろ」

そう言って艦長は潜望鏡を副長に譲った。副長は目標を大雑把に確認し素早く潜望鏡を下ろさせた。

「どうだ?」

「自分には大型艦が少なくとも2隻は確認できました。1隻は兵員輸送船に見えましたが」

「やはり君にも見えたか、行き先は北海道だと思うが君らはどう思う?」

艦長は政治士官と副長を交互に見ながら言った。

「自分はアレを増援部隊の一部と解釈します」

政治士官は答えた。

「自分は輸送船が一隻しかいないように見えました。武器、弾薬などの輸送部隊ではと考えます」

副長はこう言った。それを聞いた艦長は目標の全容を確認する為に艦隊の側面に移動するように命じた。


931航空隊 龍驤派遣隊 哨戒2号機

彼らは艦隊から見て2時方向の哨戒を受け持っていた。

「どうだ?何か見たか?」

機長の浜岡利一中尉は部下に尋ねた。全員からの「何も見えない」と答えがあると思ったが機上整備員の上原2飛曹からの返事が無かった。

「上原?」

「機長、高度を下げてください。4時の方向」

彼はそれしか言わなかったが彼らにはそれで十分であった。

「牛尾、下ろし方用意」

浜岡機長は探知機員に探信儀の用意を命じた。

「機長、報告はどうします?」

副操縦士の森部飛曹長が浜岡に聞いた。

「とりあえず、潜水艦の存在がもう少しはっきりするまでいいだろう。とりあえずいつでもセハ(潜水艦、発見の符丁)打てるようにしておけ」

「了解」

「後、艦隊以外の電波が無いかも確認しろ」

「了解」

「さて、鬼が出ますか蛇が出ますか……」

浜岡は操縦桿を動かした。


 作中の符丁は実際にどうなのか判らなかった作者の完全の創作です。

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