ルナティック・ダイヤモンド 2
第1層も中盤まで進んできたのに、最初の月狼以外まだエンカウントしていない。すごくポジティブに考えればこれまでに来た配信者たちがほとんど狩り尽くしたとも言えるけれど、あいにくと僕はそこまで楽天的な思考はしていないので、むしろなにか不穏分子がいるんじゃないかと考えていた。
そんな中でもスピカは楽しそうだった。
『ねぇねぇ、ルカ〜』
「なに?」
『この遺跡って中も綺麗だねっ!!』
「そうなんだよね。だから、ある程度の戦闘能力がある配信者とかカップルの間では映えスポットとしても人気な場所ではあるんだけど……」
そんな僕達の会話を遮るように、ようやく2体目のモンスターが出てきたんだけど、何か様子がおかしい…………
「なんで第1層に陽狼がいるんだ!?」
『ルカどうしたの?』
「今目の前にいるモンスターは、本来なら5〜6層にいるはずの敵なんだ。さっきの月狼とは強さのランクが頭2つ分抜けて強いんだよ」
『そんな強いモンスターがこんなところで出てきたの!?』
「うん、理由はわからないけどエンカウントしてしまったからには戦わないといけないから……とりあえずここは僕に任せて?」
『……わかった!ルカを信じる!!』
「ありがとう、スピカにも僕のかっこいいところ少しは見せないとね」
『楽しみにしてるっ!!』
そう言って後ろに下がるスピカを少し見てから正面に向き直る。
この辺りで、一度このダンジョンの内部構造について話しておこうと思う。ここは全8層になっているんだけど、実は4層以降は立ち入りが制限されていて、実質C級遺跡としてのここは3層までのことを指すんだ。
そこから先、4〜8層まではA級相当と言われている。まぁ、この遺跡が見つかってから今まで4層以降の敵が3層より上に出てきた事例は存在しないからこそC級だったわけなんだけど……
と、いうことでまとめると目の前にある陽狼はC級の月狼から頭2つ分抜けた、要するにA級モンスターというわけだ。
正直こんなところで戦うにはハイリスクローリターンすぎるんだけど、格好付けてしまったからには気合を入れるしかない。
「さぁ、陽狼。僕が相手だよ」
グルルルァァア!!!!と、爆音の咆哮を上げる陽。僕も対抗して、相棒でもある武器を呼び出す。
「おいで、星の剣!」
僕の手元に現れたのは、蒼い刀身が煌めく星の名を冠した剣。普段配信中には使ってこなかった僕の愛剣を手に、陽狼へと構える。
「他のモンスターが出てこなくなったのはもしかしたらこいつのせいかもしれないけど、今はむしろ好都合かな」
僕と陽狼の戦いが幕を開ける。
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