手紙で伝えたことは
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夏の35日。レイミール商会の商人、ダンレムも解ってくれているとは思うが、利益を掴みたいなら、どうしても貴族家を興すしかない。今のままでは、ビューヘルム準男爵家の当主には成れない。だから、急いで準備をする必要がある。期限は何時になるのかは解らない。だけど、2年も考える時間があったという風になると思うんだよな。……本当は10年くらいは統治させてみないと解らないとは思うんだけど、出来レースなんだから、そんなのは言い訳程度でいいんだよ。興味がないならとっとと当主を選べばいいのにとは思うんだが、実地で得られることもあるだろうからな。主にオスカーが。
まあ、レイミール商会から手紙が行くことによって、どう変化があるのかは解らない。だけど、次の行商の時に、返事が貰えるといいんだけどね。子供の戯言と思われるか、それとも真剣に取りあってくれるか。俺は後者だと思う。そのくらいヨナターク子爵は堅実な人だ。ある意味、一番の味方になってくれる人なんじゃないかなって思っているくらいには、信用できると思うんだよ。
現実的に考えれば、結構厳しいとは思うんだよね。新しく家を興すってのは。けど、レイミール商会が王都にまで手を伸ばしているのであれば、何とかなるとは思う。王様がどうやって判断するのかなんだろうけど、ヨナターク子爵家の寄親次第になるとは思う。何処の誰だかは知らないが、ある程度上手くやってくれれば、こっち側も出来ることが増えてくる。一気に拡大は難しいだろうが、今くらいのペースであれば、何とかなるとは思うんだよな。これ以上、発展をさせようと思えば、色々と必要なものが増えてくる。だけど、それは何とかなるとは思うから、今は必死になって村を大きくすることだけを考えればいい。コンラートが家を興して、そこから色々と始まる訳なんだけど、基本的には貴族社会には飛び込んでいけないからな。地理が悪すぎるんだ。もう少しまともな場所なら良かったんだろうが……。それは言っても仕方がない事だしな。
「カタリーナ姉さんの就職先も、ヨナターク子爵家になるとは思うけど、とりあえずは何とか伝えたいことは伝えられるとは思う。動いてくれるかどうかは、半々かなって感じだけど。ヨナターク子爵はいいと思うんだよね。でも、その上だよね。寄親が何っていうかどうかだけど、俺は何とかなるとは思っている。カタリーナ姉さんを道具みたいに使う事になるんだけど、その辺は勘弁してほしいかなって。現状、そのくらいはしないといけないと思うから」
「そのくらいの覚悟は出来ていますもの。当然のようにもの扱いでいいのです。貴族の女性とは、そういうものですからね。政略結婚なんて当たり前の話です。望む様な結婚なんてありえないですからね。コンラートはまだその辺を迷っているようですが、アーミンの方が大人ですね。不思議と違和感が無いのが変な所なのですが。でも、いい様に使ってくれればいいのよ」
「俺はそのつもりで動いているんですけどね。ちょっとばかり、相手は選べるようにはするとは思いますけど。でも、まあ、良くてヨナターク子爵の第3夫人かなって感じになるとは思います。勿論、今のじゃなくて、次期当主の方ですけど。それでも年齢差はあるとは思います。……詳しい年齢までは知らないんですけど」
「そこまで押し込めるのであれば、この領地は安泰でしょう。コンラートも迷っている暇なんて無いはずなのですけどね。今が一番動きやすい時期ですから。今のまま、このままという訳には行きませんもの。必ず横やりが入るでしょう。それをいなすのも、アーミンの仕事になるのかしら? 流石に表ではコンラートが出てくるとは思いますけどね。でも、アーミンも中々考えたわね。直接会いに行けないなら、手紙を渡せばいいというのは、中々にいい手ではあったと思いますよ」
「現状で出来る事としては、そのくらいですからね。それと、わざわざ和紙で書いたってのも大きな所なんですよ。こっちにだって、植物から作った紙くらいはありますよって、知らしめておかないといけないですからね。珍しいものではあるみたいですけど」
そう、植物紙というか、和紙に関してなんだけど、そこまでダンレムは驚いていなかった。と言う事は、既に似たようなものがあると言う事に他ならない。まあ、流石に前世のコピー用紙の様な品質の紙があるとは思わないのだが、木材から紙を作るくらいはやっていると言う事なんだろうとは思う。皮紙ばかりではないと言う事なんだろう。どういう感じになっているのかは解らないけどな。品質がどの程度のものなのかとか、そういうのは探れなかったし。こっちでも作れるんだよって事を示せただけでもいい収穫だったとは思う。和紙の販売も考えてはいたんだけど、それは無しになりそうかな。既にその様なものがあるんだったら、特に目新しいものでも無いだろうし。
売り物としても少しばかりは期待していたんだけどな。研究すれば、直ぐに材料なんかはバレるし、何を使っているのかなんて解り切ったことではあるんだろう。それがこんな田舎からも出てくるんだって思ってもらえればそれで大丈夫だ。まあ、材料としては、田舎の方が調達が容易いんだけど。木材は資源だ。結構重要な資源である。それを紙に加工するんだから、手間と燃料かな。どうしても燃料としての薪の需要が高いだろうし。その辺と競合するのは、余りよろしくないんだよな。
別の植物があればいいんだけどな。……まあ、サトウキビも紙にしてしまっている所ではあるんだけどさ。絞り汁を取ったスカスカのサトウキビは、いい感じの紙の材料になってくれるんだよ。繊維もしっかりとしているし、紙にはもってこいの素材なんだよな。……まあ、その所為で大量のサトウキビを絞っている訳なんだけど。でも、乾燥させて、結晶化させるだけでも大変なんだよな。酒にする方が簡単なんだよ。なんだかんだと燃料にも使えるサトウキビだ。本当に捨てるところが無いんだよな。全部使えるんだよ。万能な植物の1つではあるんだよな。燃やして良し、紙にして良し、砂糖にして良し。何でも使える。
色々と使い道を模索する程度には研究はしているんだよ。サトウキビなんて砂糖を絞って終わりにするのは勿体ないんだよな。ならばと言う事で紙にしている訳なんだけど、これが案外良いものになってくれるんだよ。サトウキビって剥くと白いからさ。紙が思ったよりも白くなるんだよね。色んなものを試しているけど、今の所、サトウキビが一番紙に適しているかな。特に活用方法が無いってのがいい。木材とは競合しないし。というか、木材が使いどころが多すぎて、何かないかって所に見つけたのがサトウキビだったからな。もしかしたら、若干紙が甘いかもしれないが、それは仕方がないだろうとは思う。
産業は多い方が良い。でも、それを支えるにしても、人口が必要になってくる。人口は移民で何とかするしかないのが現状なんだよな。移民に頼らなければ、人口は増えない。責めて準男爵に相応しいくらいの人口が欲しいものなんだよ。最低でも2000人。そのくらいは準男爵としては必要なんだ。そこからどんどんと人口を増やしていって、最終的には2万人くらいまで増やせれば良いなとは思っているんだけどな。そのくらいの人口がいれば、舐められることはないと思う。十分な土地があれば、そのくらいは可能だと思っている。まあ、それもコンラート次第にはなるんだけどな。




