出来ることはやるべきだ
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夏の20日。出来ることからコツコツと。やっていける事といけない事がある。まあ、それを判断するのは俺じゃないんだけどな。コンラートが何とかやっていけそうかどうかを判断する。俺は出来る限りやっていけるんじゃないかって材料を投下するだけなんだよ。それで良いと思っている。無理に出来る事をしなければならない状況に持っていく必要はない。今はまだ時間がある。時間に余裕がある今なら、しっかりと先を見据えて行動するのが大事だ。無茶をする時間ではない。ただ、まだまだやらないといけないことはあるんだけどな。
「とりあえず、次の商人が来るまでの間に終わらせないといけないことは終わったかな。これで準備は万端だ、と言いたい所だけど、まだまだなんだろうね。何もかもが足りていない。出来ることがまだまだ残っているんだろうし、向こうの評価も気になるかな」
「向こうとは何処の事ですか? ビューヘルム準男爵家ですか? それともヨナターク子爵家ですか? それによって評価の仕方が変わってくるかと思いますけれど」
「ビューヘルム準男爵家だよ。カタリーナ姉さんはヨナターク子爵家に頼る気満々なのはいいけど、まずはビューヘルム準男爵家の信用でしょ? そっちが得られなくなってからでいいじゃないか。とりあえずはそっちから、準男爵家を継いでほしいって言われるようにしないとね。まだ希望が残っていない訳ではないし。この発展具合を見て、流石にオスカー兄さんに任せる様な事はしないと思うんだけどな」
「甘いですわね。コンラートの評価はされないのが落ちですわ。積極的にヨナターク子爵家の助力を得るべきではあります。今の時世を読むのであれば、そちらの方が確実ですからね。ヨナターク子爵家には良くしてもらわないといけないですから。これまでも、これからも、ですわ。積極的に絡んでいった方が良いとは思いますわよ?」
「助力を得られるようにはするけどね。それは勿論なんだけど、まだ駄目って決まった訳ではないしさ。出来るだけやってみることにするよ。まあ、カタリーナ姉さんもアーミンも、既に諦めているって感じなんだろうけどね」
「アーミンは賢いですからね。始まった瞬間には、茶番だとは思っていたんじゃないのですか? 結局は、領主を決めるというのは口実で、次期準男爵の仕事をやらせるのが本音だとは思いますけれど。それはコンラートにではありませんわ。オスカー兄さんにです。そのくらいのことは、私でも気が付きますからね。アーミンも早々に見切りを付けていたでしょう」
「流石にそこまで早くは見切りを付けていた訳ではないですよ。見切りをつけたのは、丁度1年くらい前だとは思いますけど。そのくらいには、茶番なんじゃないかなとは思っていましたけどね。レイミール商会が知っている時点で、ああ、これはそうなんだろうなって思いましたから。まあ、とっとと見切りをつけて、ヨナターク子爵家に一言入れに行く方が良いとは思いますけど。商人を通じてで構わないとは思いますよ? 最終的には直接言いに行くことになるとは思いますけど。というか、家を興すなら、王都に行って、王様の許可が必要なんじゃないですかね?」
そのくらいの事をしないといけないんじゃないんだろうか。ヨナターク子爵家にお願いに行くのは当然だとしても、その後だよな。何とかして準男爵位を貰いに行くんだから、王都に行って、王様に認めて貰わないといけないんじゃないんだろうか。そもそもヨナターク子爵家の寄親にも挨拶をしないといけないだろうし、やらないといけないことは多くあるとは思うんだよ。色々と準備が必要になるとは思うし、今からでも準備をしておかないといけないとは思う。確実に貴族になることを考えて、行動した方が良いとは思うんだけどな。
そもそも、ビューヘルム準男爵家に対して、何かしてもらう事なんて無いからな。資金的にもそうだし、食料的にもこっちの方が余裕がある。そんな状況で何をしてもらうのかって話になってくるだろう? 向こうの状況を知っている身としては、何かを支援してくれるなんてことはあり得ない訳で。ビューヘルム準男爵家に期待していることは何もない。無理だからな。通過儀礼の領主の経験だって、オスカーを推すためだけの習慣でしかないんだから。長男に継承させるだけの茶番だ。それが解っているなら、とっとと見切りを付けるべきだとは思うんだけど。
まあ、コンラートは優しいからな。その点、カタリーナは現実を見ているし、俺に関しては色々と諦めている。その差が出ているだけだとは思うけどな。諦めるのが早いとは思うかもしれないが、実家に期待が出来ないんだから仕方がない。父さんも平凡だったわけで。それなら、異端であるこの領地を認める訳がない。平凡では、平凡を選ぶしか出来ないんだよ。そのことはよく解っているつもりだ。俺も平凡だからな。ちょっとばかり、前世の記憶があるからって、特別扱いされている感じはするけど、アーミンとしての能力は実に平凡だ。前世の記憶が無ければ、いや、あったとしても、人物としては十分に平凡なんだよ。
ただ、経験で何とかしているだけである。それが非凡に見えるのであれば、年齢で見ているからだろうなとは思う。年齢的には、確かに非凡な能力を持ち合わせているだろう。だが、相応の年齢であればどうか。それは平凡では無かろうか。何処にでもいる平凡な貴族家の子供ではないだろうか。もしかしたら、平民の方が賢いかもしれない。前世の記憶が大きなアドバンテージになっているだけで、中身は至って平凡なんだよ。
「早めに協力を取り付けておくべきなのはそうですわよ? 今なら手札がありますからね。手札がなくなった時には、既に遅いのですから、今のうちに取り入っておく方が良いとは思います。それくらいは水面下で動かなければなりませんわ」
「俺もそう思います。今なら取り入ることも可能だと思いますから。ですので、早めに色々と動いた方が良いとは思います。コンラート兄さんが動かなくても、カタリーナ姉さんが動きますよ? 周りが動くよりも、本人が動いた方がメリットは大きいですからね。それに、準備も必要になってきますから。ヨナターク子爵家の寄親に挨拶にいかないといけないでしょうし、そこから王城までいかないといけないのですから。ある程度の心構えは必要だとは思いますよ? どちらにしても、王城にはいかないといけないのですから、準備はしておくべきだと思います」
「それはそうだよね。王城にはどちらにしてもいかないといけないからね。それが、父さんとなのか、寄親となるヨナターク子爵家の当主なのかは解らない所があるけど。でも、出来れば父さんに認めて貰いたいんだけどね……。ここまでやったんだし、認めてくれると思いたいんだけど」
「それは無理ですわ。父さんなら、嫉妬の方が勝つでしょうし。コンラートを選ぶことはまずあり得ませんわ。ですから、今からでも話は付けておくべきでしょう。色々とその方が優位に進められるとは思いますの。こちらが主導権を握らなければいけませんわ」
それはそうだろうな。こっちが主導権を握っておかないと。向こうがどう思おうが、独立してしまえば関係ないからな。そこまで出来るだけの下地は揃っているんだから。色々と出来ることはやって来たつもりだ。コンラートが独立できるだけの下地は十分にあるとは思っている。今で不十分であれば、独立なんて無理だと言う事になるからな。そんな事は無い筈なんだよ。




