商人来訪
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秋の58日。今日の夕方に商人がやってきた。今回は塩を多めに持ってきてくれたのと、布なんかを持ってきてくれた。……この1年で俺も身長が伸びたからな。服を作り変えないといけない。やっぱり成長期に栄養の高い食事を食べると、身体も大きくなってくる。去年よりも大きくなったとは思うからな。まあ、ただの成長期ってだけなのかもしれないが、それでも大きくなったことは変わりない。村人に頼んで服を作り直してもらわないといけないだろう。その為には布は必須だ。結構買ってもいいんじゃないかな。そう思うんだけど。
それで、今回も夕食を共にした。前回と変わらない様な食事。ただ、クオリティは上がっているはずだ。料理人も作り慣れてきているだろうからな。普段と同じような感覚で食べているが、ちょっとした期間でクオリティが上がっているんだとは思う。そのことについても、商人が褒めていたからな。お世辞なのかもしれないが、それでも、こっちでまともな食事が食べられるのは稀なんだ。他の村ではこうはいかないからな。美味しく食べてくれるのであれば、こちらも出した甲斐があるってものなんだよ。
そして秋の59日。交渉が始まった。今回は要求する事が少ないんだが、それ以上に聞かないといけないことがあるからな。それを聞いてからの勝負になる。
「前回の取引でお渡しした品々はどうでしたか?」
「あれらについてはこちらで売り払いました。その金額で船をと言う事でしたので、船の購入費に充てさせて貰いました。ですが、流石は石鹸ですな。それでも費用は余りました。ですので、お釣りを渡すことになります。……それでなのですが、こちらで勝手に値段を付けさせて貰いました」
「妥当な範囲での値段であれば、こちらもそれで構いません」
ジャムなんかも値段を付けて貰ったらしい。買い取りの価格は色々と聞いたが、まあ、そこそこって感じの値段ではあった。まあ、買い取りの値段だからな。そこから利益をどの程度載せて販売するのか。それを考えないといけないのが商人だ。なるべく安く買い取り、なるべく高く売る。それでこそ商人なのだから。ただ、今回に関して言えば、こちらにもある程度利益を落とさなければならない。今後の付き合いも考えて、ある程度の値段設定にしないといけない。
そもそもこの村に来る商人が居ないのだから、買い叩くことは可能だ。だが、ここが石鹸の産地だとバレれば、必ず商人が訪れることになる。その時に値段が決まっていなければ話にならない。しかし、安すぎれば、ここを訪問した商人が買い漁ることも出来てしまう。その為に専売にして防ぐわけなんだが、お土産は持たせないといけない。その時に基準となるのが、この値段である。
それでなんだが、クイーンベリーのジャムが瓶1つで金貨1枚。石鹸が1つで白金貨2枚での購入となってくれた。勿論だが、ここからどれだけの値段で売るのかは、レイミール商会次第だ。そこまではこちらでは解らない。輸送費の事もある。倍以上は確定だろうな。それだけの儲けが確約されると言う事でもある。まあ、石鹸の値段を聞いた時、カタリーナは不満げではあったが。もっと吹っ掛けてもいいんじゃないかと考えたらしい。……黙っていたから後で聞いた話ではあるけどな。
「それで、これらの利益を考えて、こちらに支払う金額がこの位になります」
「……流石は大商会ですね。これだけのお金を用意できるとは」
「いえいえ。それだけの事業をやらせてもらっていますので。勿論ですが、細かな通貨にも出来ますので、仰っていただければなとは思います。前回の話ですと、村人を全員雇った形になると言う事を聞きました。ですので、給金が発生するのではないかと思いまして」
「その通りですね。村人たちにはこれから支払う事になります。ですが、全てを支払う訳にはいきません。なので、銀貨を多めに貰う事は出来ますか? 支払いは銀貨で行おうと思います」
「ほう! 中々に支払うのですな。よろしいでしょう。今回の金額については、銀貨で用意しましょう。……ですが、流石に毎回銀貨で、という訳には参りませんので、その点については了承いただければ」
「解っております。こちらについても、銀貨がなくなれば、一部を銀貨で支払ってもらうという形を採ろうかと思います。それでしたら大丈夫ですよね?」
「ええ、勿論です」
「それでなんですが、1つ欲しいものを、前回伝えるのを忘れておりまして」
「ほう? なんでしょうか?」
「漁の道具が欲しいのです。水底から網を引きずり、魚を採りたいのですよ」
「なるほど。河川がありますからな。そこで漁をと言う事ですか。それでしたら用意しましょう。お代はまたこちらで引かせてもらえればいいでしょうか?」
「そうですね。それでお願いします。それと前回にもちらりと話をさせて貰ったのですが、石鹸の話です」
「前回となると、品質を上げるという話でしたな?」
「ええ、それがこの石鹸になります。アーミン」
「解りました。コンラート兄さん」
ダンレムに香油入りの石鹸を渡す。木箱に入っているので、前回よりは、見た目に気を使っているのだ。前回は布で巻いただけだったからな。多少は見栄えが良くなっているだろう。
「……開けてみても?」
「ええ、勿論です。確認してもらって結構ですよ」
「では。……なるほど、前回よりも形が綺麗ですな。ですが、それで品質がと言う事にはならない……ん? この匂いは……」
「察してもらった通り、こちらで作ったのは、花の香りを閉じ込めた石鹸となります。ですので、使用してもらえば、体から花の香りがするようになりますね」
「……これは確かに売れますね。しかも、下手をしなくても10倍以上で売れます。それは確実ですね。これも数を用意できると?」
「そう言う事になります。ですが、流石に冬の間の生産は厳しいものになるとは思います。出来れば、取り扱いは春から秋の間までとさせてもらいたい所です。在庫は抱えますが、素材が手に入らないので、出来ればその様にしていただければなとは思います」
「確かに。季節の花があるでしょうからな。冬ではそれも難しいと。流石にグロドツギの森でも同じでしょうね。解りました。出来るだけ買い取りましょう。それで、値段はこちらで決めさせて貰いますが、よろしいでしょうか?」
「それは勿論。これも専売でお願いしたい。……もっとも、これに関しては、他の商人がここを嗅ぎ付けて来ても売るつもりはありませんがね」
「そうしていただけると。それだけの価値があるものですからね。普通の石鹸とは品質というか、品物から違うと言う事ですなあ」
そうだろうそうだろう。……まあ、10倍の値段で売れるのかよとは思うんだがな。まあ、いいんじゃないだろうか。それなりの金額になってくれればいいんだ。稼ぐことは悪い事じゃない。どんどんと稼げるのであれば、稼いだ方がいいんだよ。石鹸ばかりという訳にはいかないが。
ちゃんとベリー各種も売れるって事を確認できたのは良かった。ジャムも一定数の人気があるって事が解ったのはいい事だな。これでどんどんと生産しても良くなる。石鹸もそうだが、主力の商品になるからな。石鹸とは違って、誰でも簡単に出来るし。
主力はクイーンベリーになるって事なんだから、メインはそれで良いとは思う。だけど、種類があることに意味がある可能性もあるからな。他のジャムも作って貰うけど。高いからと言って、1品に偏るのはよろしくない。出来れば何種類も作った方がいいんだよ。




