移民を受け入れると言う事
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秋の26日。移民たちの生活もそこそこ安定してきている。というか、移民たちの労働意欲が高い。今まで働いていなかったのにという思いがあるんだけど、順調に木を伐ってくれている。来年からは、何とか畑も出来る様な感じにはなってきているんだよな。住宅はまだだけど、畑なら何とかなるんじゃないか。そんな感じがするんだよ。
「ただ、労働意欲が高いのも、何処まで続くのかって所はあると思うんですよね。今はいいかもしれないですけど、もうちょっと慣れてきたらどうなるのか。結構頑張ってくれているので、このまま頑張ってほしい所ではあるんですけど……」
「そうだね。移民たちも労働意欲があることはいい事だ。でも、それが何時まで続くのか。それが問題だね。食べるものはあるから、サボッても問題ないと思われると、一気にこの構造が崩れてしまう。そういいたいわけだよね?」
「その通りですからね。現に、お金にならない事をしてもらっているのです。いずれはお金を支払うとは言っても、その時にサボっていたからと言って、お金を貰えないのかと言えば、そんな事はない訳で。そうしないと、他の仕事との差を付けないといけなくなってくるからですわね」
「そうなんだよね。初めからそのつもりだったし、必要なお金は出すのは当たり前なんだよ。でも、移民たちはこの生活に慣れていない。何時までこの生活が出来るのかが解らないって状態だろうからね。意欲がなくなる可能性も十分にある」
そうなんだよな。サボりたければサボれるような状況なのだ。それをすれば、自分に帰ってくる可能性もあるって思ってもらわないといけないんだけど、自分に返ってくる事は殆どない。給金も後で支払うが、皆平等に支払う予定である。まあ、給金を貰ったからって使い道が無いのが問題ではあるんだけども。買うものがあっても、買う場所が無いんだよな。それはどうにもならない。
村で生産されたものに関しては、皆で平等に分配をする。それが今の政治体系になるんだから。平等にというのは、サボっている人にも平等に、になってしまう。それはあまりよくないんだけど、誰がサボっているのかなんて解らないし、能力が無いだけって可能性も十分にあるんだ。こっちが決めつけるのはあまりよくないんだよ。皆から言われるのであれば、仕方がないとは思うが。
サボりを許容するのかと言われたら、したくはないが、しなければならなくなってくる。社会主義、共産主義というのは、そういう側面が絶対に出てくるんだよ。皆が平等なら、自分は働かなくてもいいんじゃないか。そう思う人も出てくる訳で。まあ、そういう人を追い出していけばいいだけなんだけど、それだと人口が減ってしまう。それも考えないといけない事ではあるんだよな。
幸いにも、皆の労働意欲は高い。今のまま維持できれば、何の問題は無い訳なんだけど、何時まで維持できるのか。それが解らない。その時になってみないと解らないんだよ。だから、慎重に内政を進める必要がある訳で。サボっている状況にさせないためにも、相互監視のような事をやらないといけないんじゃないか。そう思えてくるんだよな。
「でも、かといって、相互監視をすると、住民同士が疑心暗鬼になりませんか? そりゃあ、誰もがサボりたい時はありますし、調子が出ない事もあると思います。その時にサボっていると見られてしまっては、ちょっと勿体ないというか、そういう気がして」
「相互監視は考えてないよ。余程の事があれば、通報してもらう事になるとは思うけど、悪い所を見続けるのは余りよろしくないからね。出来る限り、自分の出来ることをやってもらうしかないとは思うんだよ。皆が皆、同じように出来るとは思わない方が良いからね」
「そうですわね。出来る人と出来ない人を分けるのはよろしくないですわ。全員が得意な事を出来るとは限らないのですし。無論、得意な事があれば、積極的にそちらに参加をしてもらいますが、それでも全員がそうなる訳ではありません。必ず不得意な事をやらなければならない人も出てきますわ」
「それに、優劣を付け始めると、カーストが生まれるだろう? 皆平等って事にしておかないと、今の状況を維持できないしね。忙しい仕事と、そうでもない仕事がある。石鹸作りなんて、一番お金が稼げるけど、一番暇な仕事だしね。お金が稼げるからサボッても良いって訳でもないんだよ。難しい話ではあるんだけど、どうしてもそういう仕事が出てきてしまう。それでカーストが決まってしまうと、後々面倒な事になるからね。それは避けないといけないとは思うな」
それはそう。下手にカーストを作られれば、色々と問題が出てくる。序列と言い換えても良いな。そういう村人で、自分はあいつよりも上なんだって意識を持たれると、出来る事も出来なくなってしまうんだよな。無意識のうちにそうやってカーストが出来上がることもあるんだけど、大抵は悪意から始まるんだ。サボる口実に使われることが多いかな。
「本来であれば、意識しないのが一番なんですけどね……。でも、人間ってそういう所で比べたがるのは、本能といってもいいと思うんですよ。人とは違うんだって思う事で、優越感に浸ろうとするのが悪いとは言わないですけど、出来るだけ無くしていかないと、この村が崩壊してしまいますからね。ですから、移民の方も何とかして生活水準を上げていかないといけない訳です。早めに住宅の建築を始めた方がいいんでしょうね」
「アーミンは本当によく考えているよね。まさにその通りなんだよ。特に貴族である僕らは、それに気を付けないといけない。他人を見下すようになれば、問題は大きくなるばかりなんだ。敬う事はいい事だと思う。けど、無暗に下を見ない事だね。自分にはまだこれだけ下に人間が居るって思ってしまうと、どうしても腐ってくるから」
「難しい問題ではありますが。どうしても人間というものは、比べたがる人種ですからね。協力しないといけないのは解っていても、それでも比較してしまうのが人という生き物ですから。魔族はまだ良い方です。人間は特に比較が好きですからね。魔族とは違うんだと言う事を言い出せば、問題行動を採ることもあるでしょう。魔族と人間、それはどれ程違うのかと。結局、生きているという点においては、殆ど変わらないのです。寿命の長さが違うくらいですからね」
「協力して生きていくのが当たり前って思わないといけない訳なんですが、何でもかんでも平等にしていいものではないんだ。平等にし過ぎると、能力によって出来る事と出来ないことが出てくるからね。平等にすると言う事は簡単だ。だけど、それは全員に同じ負担をしてもらう事になる。それだと、僕らがやって来た時と同じになってしまう。皆が勝手に畑を耕して、勝手に収穫する。畑の広さもそれぞれが耕した範囲でしかない。場所も飛び飛び。そんな事では、効率よく働くって事が出来ないからね。皆で1つの村を作るという意識が無ければ、難しいとは思うんだよね」
それはそう。1つの村を皆で作る。その意識が大切なんだ。それを移民たちにも持ってもらわないといけない。ただ、移民たちがどう思っているのかが今一つ解っていないんだよな。今はいいんだ。皆で何とかしないといけない時だから。それが終わったら? その後はどうなるんだ。そこが解らない。これで終わりだと思ってはいけない訳で。ここからが勝負というか、移民を受け入れるには、ここからが本番なんだ。




