渡りに船
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その夜。樵から聞いた話を、コンラートとカタリーナにしていた。移民は受け入れることは出来ると。それだけの事は出来るんだと。そういう風に伝えていた。
「移民になりたいものについては、既に衣食住を確保している者たちは対象外で、そもそも食すらまともに採れていない人たちって事なのか……」
「その境遇であれば、まだこちらに移民をした方がマシではありますわね。とはいえ、こちらも住は用意できない訳ですが……」
「簡易のテントでいいんだって。雨風凌げればそれで良いみたいだよ? 色々と話を聞いたけど、まあ、魔族がそういう境遇に陥っている場合が多いらしいね。冒険者にもなることが出来ない貴族領もあるみたいなんだよね。だから、戦力としても期待できるんじゃないかなって思うんだけど」
「そもそも戦力に成れる様な魔族は、冒険者になっているものだとばかり思っていたけど、そもそも冒険者にも成れないのか……。これは早急に移民政策を進めてもいいかもしれないね。寧ろそれで助かる人たちが居るなら、積極的に移民を受け入れた方がいいのかもしれない。僕たちにもやることがあるからね。そこは限界まで受け入れるって事は出来ないけど、何とかなるんじゃないかな。アーミンの聞いてきた話が本当なら、移民を受け入れることは出来るよね」
「ですわね。食料については足りていますし、衣服は最低限の物は持っているでしょう。後は住む場所になりますが、これも何とか出来ない訳ではないですわ。テントなどを活用してしまえば良い訳ですよね? それでいいのであれば、受け入れることは可能だと思いますわ」
「だよね。テントでも良いって事だもんね。となると、今度は斧やスコップが必要になってくるけど、鉄は用意できているし、問題は無いかな。木材を手に入れる方法は幾らでもあるんだし、そこまで悲観する事ではないかもしれない」
「ただ、何時にするのかって問題はあると思います。集めて貰うにしても、どのタイミングで呼べばいいのかなんて解らないですし、そもそもレイミール商会に連絡をどうやって取れば良いのかが解りませんし……」
「そうだね。今度はそこが問題になってくるかな。レイミール商会にどうやって伝えるのかだよね。こっちから使者を派遣するしかないかな。ちょっと不安だけど、村長に行ってもらうって事になるんじゃないかなとは思う。流石に僕は離れられないし、カタリーナ姉さんを行かせる訳にもいかないだろうからね。アーミンはもっと無理かな」
「そうなりますわね。女の私では、舐められる可能性もありますから」
性別で舐められるとかあるのか? レイミール商会なんだからいいんじゃないのか? そう思わなくも無いんだけど、そう言う事なら止めておいた方が良いとは思う。まあ、気にし過ぎな気がしないでもないんだけど。それに俺が行くのは論外だ。そもそも交渉に子供を付けたのかって言われかねない。まあ、人選としては村長に行ってもらうしか無いだろうな。
そして、何人受け入れるのかなんかを話し合って、手紙を村長に持っていってもらう事に決まった。早ければ、次の行商の時にでも移民を連れて来て貰おうとは思っている。……勿論だが、それよりも早くに来て貰ってもいいんだがな。移民を受け入れるって事は、こっちも準備が必要になってくるだろうし、色々としないといけないことが多いとは思う。
まあでも、そこまで悲観する様な事でもないって事が解っただけでも良かったかなとは思うな。移民を即座に受け入れたいって気持ちはあるんだけど、レイミール商会も忙しいだろうしな。何かしら条件を付けてくるかもしれないし、慎重に動いて損はないとは思う。
そんな訳で、夜の会議が終わって、次の夏の50日。いつも通りに過ごすわけにもいかない。石鹸を作りたい所ではあるんだけど、今日は水車小屋の方に呼ばれているんだ。大歯車を取り付けたから、とりあえず見てくれとは昨日伝えられたんだよ。あの後は夕方だったから、昨日は見れなかったんだけど、今日はとりあえず見に行くことになっていた。
「おおー。大きいですね。これなら確かにしっかりと回ってくれると思います。……まあ、ちょっと大きく設計しすぎた可能性もありますけど、混ぜるにはかなりの力が必要になるから、この位で丁度いいのかもしれないな」
「おう、大きくて丈夫なように作ったからな。少々の事では壊れねえ。水位もいい感じに調整できるようになるだろうからな。水力としてはかなりの出力になるはずだ。混ぜる力はかなりの物になるんじゃないかと思うぞ。まあ、そこまでの力が必要なのかどうかもよく解ってないんだが」
「必要ではあると思います。思いっきり混ぜるので、そのくらいの勢いは必要になると思うんですよね。これでとりあえずは大丈夫だと思います。このまま進めて貰って、用途で回転の早さを変えられるようにすればいいんですよ。出来るんですよね?」
「出来ない訳がねえだろ? まあ、その辺は上手く作るさ。任せときな」
ブロロロロロロロ
「ん? なんだ? 川の上からだな」
「もしかして船ですかね?」
「あん? まだ船着き場は完成してねえぞ? どうするんだ?」
「さあ? とりあえずですが、ルートの確認をしに来たんじゃないですか? どうやって河川を下ったら、ここに到着するのかを確かめに来たんじゃないですかね? ん? あれ?」
「あ? どうした?」
「これで使者を出さなくても済む! 止まって! 止まってくださーい! こっちに着てくださーい!」
船がいいタイミングで来てくれた。と言う事は、石鹸の効果が確かにあったと言う事でもある。よって船を派遣する事になったんだろうけど、どうやって行けばいいのかが解らなかった。だから、確かめに行く必要があったと。そう言う事なんだろう。それが今日だったって事なんじゃないかな?
そんな訳で、船がこっちに止まってくれた。……何でも2時間程度で下って来たらしい。早いな。思った以上に早い。荷物が何も無いからってのもあるんだろうけど、相当速度を出してきたんだな。それと下りだからってのもありそうだ。遡上するにはもう少し時間がかかるのかもしれない。
「ここはアマシエ村で良かったですか?」
「そうです。ここはアマシエ村です。ようこそ、よく来てくださいました。歓迎します」
「いえ、我々は道順を確認しに来ただけなので、直ぐにでも撤収しますよ」
「それなんですけど、ちょっと待ってもらえますか? 今、コンラート兄さんに話を付けに行って貰っているんです。ちょっとお願いしたいことがありまして」
「お願い事ですか? 交易はまだだと聞いているんですが……」
「交易では無いんです。その、移民の受け入れをしたくてですね。出来れば100人程度の移民をこちらに送り込んでもらいたいんですよ。その為の手紙を書いてもらっている所なんです」
「移民ですか。……なるほど、本格的に商売をするようになると言う事でもありますね」
「そう言う事です。この村を大きくしないといけないですからね。移民の受け入れのお願いをしたいんですよ。出来るだけ早くに」
渡りに船とはこのことだ。本当に船が来るとは思わなかったが。運が良い。これで移民を呼び込めるぞ。移民の受け入れは早い方が良いからな。どれだけの移民を受け入れる事になるのかは不明だけど、樵曰く、100人って言えば、200人くらいは来るらしい。それくらいには人口が余っているらしいんだよな。じゃあ、直ぐにでも送って貰えれば良い訳で。明日でもいいぞ。移民は歓迎する。




