商売が終わって
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「そうですね……。石鹸がこれだけの数があり、次回にも同じ程度の数を用意できるのであれば、こちらの価値を計ってみせましょう。売るに値しなければ、それはそれでと言う事になりますが、よろしいですか?」
「ええ、その時は仕方がないので諦めます。ですが、こちらは既に成功したものとして動き始めております。船着き場については、着手済みです。成功したとして確信があるのですよ」
「その通りですわ。実験台として私が使用しました。肌の張りもそうですが、髪の艶もありますでしょう? それがその石鹸の効果です」
「……なるほど。既に身内の者が使っていると。それでは、期待させてもらってもよろしいので?」
「ええ、期待していてください。既に品質は向こうの物と変わらないとは思います」
「それをもう1段階上に上げると、そう言う事ですか」
「ええ、その様になりますね」
そうなるな。まあ、これで負けていたらどうしようもない。この計画は駄目だったと言う事になるからな。まあ、そうなれば、次の作戦に移るだけなんだけど。
リンスを作ればいい。作り方は簡単だ。オリーブオイルに粉砕したレモンを入れる。それだけだ。欲しいのはレモンの中にあるクエン酸なので、絞り汁でもいいんだが、それだけだと問題がある。爽快感が無いんだ。レモンを砕いた破片が、髪のゴミとりをしてくれるのである。それが合わさった時、髪の毛の艶が石鹸の比じゃないくらいには良くなる。それで勝負すれば問題ない。
まあ、出さなくてもいい様にしてもらう方がいいんだけどな。リンスには空瓶が絶対に必要になるからな。今のままでは、空瓶を輸入するのは難しい。どうしても酒が入ってくる。それだけのん兵衛どもを喜ばせることになるんだけど、船便が足りなくなる可能性があるからな。船の代金はこちらの石鹸から支払われなければならない。となると、ある程度の金額は必要になってくる訳で。色々とあるんだが、何かと必要になるものが多いんだよ。
「では、こちらは船便を出す。そちらは石鹸を売る。その契約でよろしいでしょうか?」
「いや、念のために船はこちらで買い取らせて欲しい。レイミール商会の中古で構わない。ただ、管理はこちらでは出来ないと思う。だから、運用はそちらに一任したい」
「……船を買い取ると。中々に大きく出ましたな。しかし、管理もしなくてもいいので?」
「構わない。こちらが船便を出してもらうのだ。船くらいは買わせてくれ。それと、出来れば専売でお願いしたい。だから船はそちらに預ける。まあ、ここまではるばる商売をしに来た者については売るかもしれないが、基本的には石鹸は船便を介してのみで行いたいと思う」
「ほう。それはこちらの利益になるので良いのですが、本当によろしいので?」
「構わない。今までも利益が少ない中、塩を届けてくれた礼とでも思ってくれ。それがたとえヨナターク子爵家の意向であったとしてもだ」
「……なるほどなるほど。意向は解りました。真意の方も、なんとなくですが解りました。それでは石鹸については、こちらの専売でお願いします」
真意の方も、ね。まあ、裏がない訳ではない、と言う事でもある。最悪の場合は、ヨナターク子爵家の力を使って独立してしまうと言う事である。……もっとも、コンラートやカタリーナがそこまで考えているのかは解らないが、もしも父さんがコンラートを選ばなかった場合、かつ、こちらのやり方を否定してきた場合、何時でも独立できるよという準備である。村1つの準男爵家が出来ることになるんだが、それでも良いとは思っている。
何せ開拓してしまえば良いからだな。その為の手はある。独立を止めることは出来ない。既にヨナターク子爵家の許可がおりているのだから、という風に持っていきたいという事ではある。……その真意は、多分だけど、コンラートには伝わってないんじゃないかな。あくまでも、貧乏に戻らないための保険だからな。順当にコンラートが次期準男爵になれば、問題は何も無いんだが。
「よろしく頼む。……それで、船便で石鹸だけを運ぶのは難しい。かといって、何時でもジャムが手に入るとも限らない。出来れば積み荷が多い方がいい。そうじゃないか?」
「……ですな。なるほど。それであのパンと関わってくる訳ですか」
「そう言う事だな。酒造の許可を頂きたく。レイミール商会は酒造の許可を持っている、そうじゃないのか?」
「いえ、持っていますな。ですが、空瓶にはお酒を入れて運ぶのではないですか?」
「ああ、そのつもりだ。輸出用は樽で運ぶ。こちらでもある程度は飲むが、それでも消費が追いつかない程度には作るつもりだ。だから船便には酒も乗せたい」
「……いいでしょう。私の権限で何とかなる範囲の事ですので。ですが、品質はしっかりと守って貰う事を承知してもらいます。一定の基準以下の酒に関しては、買い取り不可とさせて頂きたく」
「それは当然だな。……ただ、そうなると、冬場の荷物がなくなる。そう思わないか?」
「……でしょうな。流石にグロドツギの森と言えども、冬場には果物は採れないでしょう」
「そこでなんだが、肉の需要はどの程度ある?」
「……そうですな。肉の需要はあります。町でも足りないくらいにはなっておりますからね。最近は人口も増えてきて、肉類が少なくなっているのも事実ではありますね」
「こちらの冬の便には、燻製された肉類を運ぶのはどうかと考えているんだが?」
「消費分は確保されているので?」
「勿論だ。消費分は確保してある。売るのに何の問題もない」
肉の消費量は、供給量よりも多いのか。それはいい事を聞いた。今後の肉類はどんどんと輸出してしまえばいい。空いた場所に詰め込んでも良いな。確実に売れるのであれば、売ってしまえばいいんだよ。利益になるなら猶更だ。石鹸しか運ばないってなると、少々厳しいからな。積み荷の嵩が無い。どうしてもジャムやその他で嵩増しする事になる。
そうなると、絶対に100%にならないんだよ。だから、多少無理やりにでも肉類を詰め込めた方がいいんだよな。魔石を動かして動力を得ているはずだ。それで利益が出るかどうかと言えば、出るんだけど、最大化させたいよねって話になってくる。
酒もいいんだが、醸造までには暫くの時間がかかる。大体酒になるまでには3か月くらいは必要になってくるだろう。そうなってくると、酒で埋めるのも難しい。適当に詰め込んでも利益になる肉類が売れるのはいい事だ。雑に狩りをしてきても、売り先があるのはいい事である。
「では、簡単に纏めましょうか。そちらが売るのは、ジャム、石鹸、肉類、酒、薬草となりますが、よろしいですか?」
「いや、そこに蜂蜜とオリーブも加えて貰いたい。蜂蜜もオリーブも需要はあると思うが?」
「……蜂蜜はいいですね。ですが、オリーブは少し、弱いかと。そこまで需要がある訳ではありませんし、農家が作ってますしね」
「そうか……。それなら蜂蜜も加えておいてくれ」
「解りました。……これで全部ですかね?」
「ああ、全部になるな。とりあえずだが、各村で回収した空瓶は置いて行ってくれるか? そちらにもジャムを詰めて、次の便に備えよう」
「ああ、それはいいですね。では置いておきましょう。後は必要な物はありませんか?」
その後結構買い込んだ。鉄と銅をなるべくたっぷりと。銅はいいぞ。これで蒸留器が作れるからな。香油で石鹸を1段階上に上げるぞ。価値を上げてしまえば、必ず売れてくれるだろう。他の領地に負けるものか。




