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収穫

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 夏の10日。今日からは暫く麦の刈り取りだ。ライ麦が先。小麦が後になる。生育の関係で、小麦を後にしないといけない。今日から10日間は麦の刈り取りと、畑の耕し直しに費やされる。今度は畑の形も拘るから。ちゃんとライ麦と小麦を育てる場所を分けるから。今までは分けてなかったんだよな。効率が悪い。共同運用になったんだから、ライ麦と小麦を育てる場所を分ける。そうした方が、後々楽になるからな。


 刈り取りと、耕し直しについては、全員で行う。これを商人が来る前には終わらせないといけない。そうしないと小麦が売れないからだな。必至になってライ麦を刈り取っていく。……今日は俺たちも刈り取りに参加だ。まあ、子供の俺は落ち穂拾いの仕事なんだけど。大切だからな? 落ち穂拾いも大切な仕事なのだ。子供の仕事と言えば、これなんだよな。大人はどんどんと刈り取り、千歯こきで脱穀していく。それを既定の袋に詰めて縛る。それをひたすら繰り返す。


 一気に刈り取られて行くが、そこをすかさず掘り返す。とにかく流れ作業だ。今日中に終わらせないといけない訳ではないが、今日中にでも終わらせようと思わないと、次の小麦は待ってくれないからな。商人がいつ来るのかが解らないのだ。こっちは必死である。出来る限り早く終わらせるのだという気迫が感じられる。ひたすらに麦を刈り取っていく姿は、本気で狩人の様だと思った。


 全員が作業をしていくから、もの凄い勢いで作業が終わっていく。1日、また1日とひたすらに同じ作業を繰り返す。そして、夏の18日には、全ての麦の刈り取りを終えた。後は耕して、新たな種を播≪ま≫くだけである。まあ、水やりもしないといけない訳なんだけど。


 今回は、区画をしっかりと決めて耕したので、歪な形をしていない。出来る限り矩形にしたつもりなんだ。南でライ麦、北で小麦を育てる。これからはこうしていく。そうする事で、刈り取りも楽になるし、混ざるなんて事にはならないはずだ。……今の小麦は混ざっている可能性があるからな。思い思いに耕しているから、どうしても小麦とライ麦が混ざってしまう。それではいけない。ちゃんと品質は良好にしておかないといけないんだよ。


 そうして、夏の23日。今日で漸くと麦の種蒔≪ま≫きが終わった。……身体をひたすら動かしたからな。この体になってから、初めての筋肉痛かもしれない。それ程疲労感がたっぷりなんだ。これで何とか普通の作業に戻れる。……まあ、作業と言っても、石鹸作りなんだけど。


「いやー、聞いているのと参加するのとでは全然違うね。今年は早く終わったらしいけど」


「普通は28日くらいまで時間がかかるそうですからね。収穫は20日程度で終わるのですが、耕して植えるのはその位まで時間がかかってしまうとか。今年は早くに終われて良かったですわね」


「本当だよ。とりあえず、商人がやって来るまでには終わらせられてよかったよ。これで終わらなかったらと思うと、大変だよね。小麦で塩を買うんだからさ。まあ、今回からは僕らが一括で買って、皆に分配する形になるんだけどね。まあ、そもそも買い取る価格と売り価格は変わらないからね。ここだけ塩を多めに頼むって訳にはいかないし。適切な分を購入すれば良いとは思うけどね。足りないって事になったら問題があるけど」


「商人が数を覚えているとは思うので、大丈夫だとは思いますけどね。それでも、こちらでも把握はしておかないと駄目でしょう? その辺は解っているのですか?」


「解ってるよ。全部で1208瓶買えば良いんだよ。それは解ってる。でも、余分があるなら買っておきたいね。塩も多めに準備しておかないと、燻製を作る時にも必要になるから。枝肉なんかは塩を塗りこまないといけないからね」


「そうですわね。出来れば多めに買っておきたいですわね。ですが、余分に持ってきているでしょうか?」


「確実にもってきているよ。途中で瓶が割れるなんてこともあり得るし。大体5分くらいは余分を持ってきているんじゃないかな。そのくらいの余裕を見ておいた方が、問題になることも無いしね。損をするのは自分たちって事になるんだけど、そのくらいは仕方がないとは思っているんじゃないかな。どれだけ得するのかを考えて商売しているのは向こうなんだし」


「こっちが考えるのは、どれだけ儲けられるか、じゃないですか? 向こうの儲けはともかく、こっちがどれだけ儲けるのかで色々と変わってくるとは思いますけど」


「そうね。主力製品もある訳だし。アーミン? 石鹸はどの位出来たのかしら?」


「型に填めて作ったのが200個って所かな。それ以上は無理。腕が上がらなくなっちゃう」


「それだけあれば、十分に交渉のテーブルに乗りますわね。それで船を買えるだけのお金になれば良いのですが……」


「流石に無理じゃないですか? いくら石鹸が高いといっても、商人側も価値を確かめない事には売れないでしょうし。借金はしないといけないと思いますよ?」


「だろうね。まずはこの石鹸がどのくらい売れるのか。その調査からかな。だからある程度の値段にしかならないとは思う。反応が良ければ、次からの価格は考えてくれるはずだよ」


「こっちからその話を持ち出しても良いですしね。船が手に入れば、こっちのものですから」


「ですわね。私の見立てでは飛びついてくるとは思いますけども。それだけ石鹸というものは良い物なのですから。直接使っている私が言うのです。問題ありませんわ」


「だそうですよ? コンラート兄さん。交渉は頑張ってください」


「まあ、善処はするよ。こっちも安く買い叩かれる様な事はしないから。かといって、高値を付け過ぎても問題になるんだけどね。アーミンは石鹸を更に良いものにしようとしているんでしょ?」


「ですね。1ランク上げるつもりです。価値としては高くなるはずですので」


「それなら、ある程度は程々にしておかないといけないんじゃないかなって思うね。まあ、それでも結構な金額にはなると思うけど」


 石鹸は香油を混ぜて作った方が、絶対に香りが良くなるので、高く売れるんだよ。そういう匂いに敏感なのが女性だからな。絶対に売れると思うんだよ。


 品質は姉さんが保証してくれているしね。……姉さんが使わなければ、400個は出来たと思うんだけどな。でも、絶対にサンプルは必要だから。姉さんの肌艶を見て貰えれば解る。これは石鹸の力だ。特に髪の毛だな。専用のシャンプーやリンスではないから、多少の荒さはあるんだろうけど、艶は本物だしね。リンスも作って良いとは思うんだけどね。オリーブオイルにレモン果汁を入れるだけのお手軽リンスだけど。ちょっと果肉や皮も入っていると良い感じになるんだよな。


 まあ、それはまた今度だ。それは液体なので、空瓶がどうしても必要になってくる。そうなってくると、ジャムや他の物と同様に、船で運ばなければならなくなってくるんだよな。面倒だけど、やるしかない。それが俺たちの生き残る道でもあるんだから。


 後は商人を待つばかりだ。小麦の準備は出来たんだし、後はいつ来てもらっても大丈夫なんだよ。売り物の準備は出来ているし、抜かりはない。後は出たところで勝負するしかないんだよな。ある程度はこっちが優位に進められるんじゃないかとは思うけど、そこは交渉をするコンラート次第である。まあ、こっちばかりが利益を得過ぎても問題なんだけどな。商人とはwin-winの関係で居ないといけない。搾り取り過ぎても問題なんだ。その辺の加減はしないといけないんだよ。

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