手札の確認
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
春の90日。今日で春が終わりだ。色々とあった春だったが、漸くと終わる。まあ、そんなに時間は経っていないんだけどな。次からは夏がやってくる。何かが劇的に変わる訳でもないんだけどな。色々と考える事もあるんだけど、それでも今年の春は終わったんだ。
「とりあえず、春が終わったね。無事に、とはまだ言えないけど。これからが大変だからね。商人との話し合いが一番大変かな?」
「ですわね。商人から何処までの利益を引き出せるのか。それが解るのが次の来訪ですから。大体が夏の20日から25日に程度の期間にやってくるのでしょう? 準備はできていて?」
「勿論、と言いたい所ではあるけど、まだ未知数の事もあるしね。こっちの手札は増やしておいて損はないとは思うけど」
「それはそうでしょうね。こちらの手札が多ければ、対応できることも多くあるでしょうし。出来るだけ手札を見せた方が良いとは思いますわね。こういう交渉は手札を見せない方が良いとは言いますが、私たちの場合は事情が違うわね。こちらの手札を全て見せたうえで、向こう側から引き出すものもあると言う事です。私やアーミンも交渉には参加しますが、出来る限りコンラートが上手く運びなさいな。こちらも意見は出させてもらうけれど、決定権はコンラートが握りなさい。そうしなければ、次の準男爵への道が途絶えるわよ?」
「まあ、準男爵位に興味があるかと言われると、余りないんだけどね。僕としては、準男爵領が豊かになって欲しいとは思うけど、それ以上でも無いからね。全ては流れ次第ってね。準男爵になった方が、領地の運営がやりやすいとは思うから、積極的に狙うのはあるんだけど。それに、オスカー兄さんやウルリケ姉さんには任せられないしね。クルト兄さんならまだいいんだけど」
まあ、そうだよな。領地が発展すれば良いと考えていれば、準男爵位なんて別に無くても良いんだよな。無いと色々と困ることになる可能性があるから、狙うだけで。だってなあ。所詮は準男爵だからな。もっと爵位が高ければとか、領地が栄えていればとか、考えることはあるけど、所詮は木っ端の準男爵家。しがみついてでも貴族になりたいって思いが無ければ、やる意味なんて余りないんだよな。俺はそもそも準男爵には興味がないし。
貧乏から脱出できればそれで良いのである。それがオスカーの元であってもかと言われたら、嫌だとは思うんだけど。出来れば上に立つ人間は、コンラートの方が良い。無能とまでは言うつもりはないが、オスカーとは話が合わないだろうからな。話をさせてくれるかどうかも怪しい所ではあるんだけど。色々と危ういからなあ。
貧乏から脱出するには、領地が豊かにならなければならない。領民が豊かな生活を送れなければならない。自分だけ富豪になっても意味はない。税を沢山とって、上の立場に居るだけってのはよろしくない。そんな贅沢はまっぴらごめんだ。出来れば皆で豊かになりたい。そういう感じなんだよ。
「父さんが何処までこっちの状況を見てくれるのか。それ次第かな。多少は考慮してくれると有難いけどね。ここまで発展させたんだって言いたくはある。まあ、まだまだ時間はかかるけどね。こんなに発展させたんだって誇れるくらいには、領地を発展させないと。オスカー兄さんにもウルリケ姉さんにも負けるつもりは無いかな。出来れば、カタリーナ姉さんにも居て欲しいけど」
「駄目よ。私は婚姻で外に行くの。そのくらいは強かになりなさいな。出来れば、ヨナターク子爵家に近い所に押し込める様になっていて欲しいわね。そのくらいの力は欲しいかしら?」
「善処するよ。まあ、まずは商人との話し合いを成功させないといけない訳なんだけど。こっちが出せる手札は、今はどれだけあるっけ?」
「そうですわね……。まずはジャムを作り始めた。これは手札になりますわね。色々とジャムを作っているけれど、やはりクイーンベリーが一番かしら? 甘味が違うもの。そこは手札になると思うわ」
「次に手札になるのはオリーブだよね。油が採れるんだから。油も多少は希少性があると嬉しいんだけど。手札にはなると思うよ」
「それと石鹸ね。アーミンが更に価値を付けようとはしているけど、とりあえずの物は出来ているもの。それをどのくらいまでの価格で売れるのかどうかね。石鹸は貴族から取引があるはずよ。……独占して作っているのであれば、その優位性を揺るがすことになるのですし、商人としては美味しい手札になってくれると思うわ」
「それと蜂蜜もだよね。来年の春からは、多少なりとも採れる。そのくらいの計画でしかないけど、蜂蜜があるのは良い事だよ。砂糖の代わりにも使えるし。砂糖が貴重品なんだから、蜂蜜も貴重品であってくれると思う」
「とりあえずはその辺りかしら? こちらの手札は4枚になるのね」
「カタリーナ姉さん、腸詰なんかの肉類も手札になると思うよ。燻製もかなりの量が作れているからね。輸出は出来ると思う。だから5枚かな?」
「コンラート兄さん、こっちでお酒を作ることも手札に入れてください。向こうが許可を取っていれば、ここでもお酒が作れるんです。それは商人にとっても利益になるはずです。なので、6枚にしておいてください」
「6枚か。多いのか少ないのか、微妙な所かな?」
「十分に多いと思いますわよ? 問題は要求の大きさではありますけど」
「それなんだよね。6枚目の手札になるとは言っても、お酒造りが出来るかどうかは未知数だからね。まずは酒造を許してもらう事を話さないといけないかな」
「それと船ですわね。借金をする事にはなりますが、船は欲しいです。船が手に入れば、色々な事が解決するとは思いますけれど……」
「その為に何枚の手札を要求されるのか、だけど、全部見せるなら、全部で何とか交換してもらうって事になるのかな?」
「そうするしか方法が無いとは思いますわね。船が購入できれば、向こうとの交易は進められると思った方が良いとは思います。最悪、アラゴン以外の町に行けば良い事ですから、アラゴンで引き止められるとは思いますけれど」
「みすみす利益を他の所には流さないよね。要求ってそれだけだよね?」
「定期的に買ってくれるって事を考えれば、船を買えれば達成したと思ってもいいのではないですか?」
「専売契約は結んでおきたいですわね。他の商人がこちらに来る可能性もありますから。お土産を持たせる程度は構わないとは思いますが、来てくれている商人を通してくれと言った方が良いとは思いますわ。特に石鹸なんかは高価で、専売にする価値があるとは思いますわね」
「確かにね。専売にする方が商人にもメリットはあるだろうし、そうした方が良いだろうね」
「あと、お酒を買う事も考えておいてくださいね? 自分たちで作るのは輸出用で、飲むためのものは買うんですから。空瓶を運んでもらうのは向こうに取ってもデメリットになるんでしょうし」
「そうだね。その辺も追加しておかないとね」
色々とあるんだけど、あらかじめ手札を確認しておかないとな。そして、ここだけはって点も決めておかないと。船が買えた時点で勝利って思っても良いとは思うけどね。
船を買えたって事は、借金を許してくれたことにもなるし、それだけ利益が出ると思ってもらえたって事だからな。利益は利益で返す。借金は利益で返すのだ。そのくらいの事は出来るだろう。後は、何処まで強度のある交渉を出来るのかにかかっている。こちらの要望が通せるだけの手札は用意したはずなんだ。




