燻製小屋完成
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春の82日。漸く燻製小屋が完成した。……長かった、とは流石に言えない。これだけの短期間でよくぞやってくれたとは思う。色々と無茶を言ったとは思うが、遂に完成した。これで腸詰以外にも燻製が作れる。簡易の燻製器では、どうしても無理だったものがあるからな。
鹿の後ろ脚をそのまま燻製にするとか、そういうのはどうしても無理がある。まあ、ある程度肉に塩を塗り込んでおかないといけないんだけど、塩は椀飯振舞しても大丈夫。もうちょっとしたら商人が来てくれるからな。普段から節約しているんだ。多少の塩は残っている。
「……燻製小屋もしっかりと出来たし、次は水車小屋の改造と、船着き場になるんだよね。大丈夫? 人員は足りてる?」
「心配ねえ。既に水車小屋に取り付ける歯車については半分くらいは完成しているんだ。後は取り付けてみて、動作確認をしながらの作業になるな。心配しなくても、秋の初め位には出来上がるんだ。それまで待ってくれればいい。待てないって事も無いんだろう?」
「そりゃあね。待てないなんてことはないよ。でも、橋も作るんでしょ? 本当に大丈夫?」
「だから心配すんなって。橋についても既に取り掛かっているんだ。まずは向こう岸までの橋を作らない事には話にならんからな。多少大きめに作っておくから、狩りにも使えると思うぞ。橋だけなら夏の中盤頃には出来ているだろうからな。狩りの場所も広い方が良いんだろう? 聞いたぜ? 北の狩場がどうにも小さいからって、ドルトやフォークの方まで行っているってな」
「あー、まあ、仕方がないんだよね。どうしても河川に囲まれているからさ。動物は簡単に河川を渡ってくるけど、人はそういう訳にはいかないし。グロドツギの森も広いんだから、どんどんとそっちの方にも行きたいんだけどね。どうしても河川を渡る必要があるからさ。橋を作ってくれるのは本当に有難いと思っているんだよ。そうしないと、南側にいけないからね」
船着き場が出来れば、橋が出来れば、一気に未開地へと進める。どうしても河川にさえぎられているからな。それを簡単に超えられるとは思っていない。だから、橋が出来てくれるのは本当に助かるんだ。冒険者の真似事をしている人たちも、未開地に慣れてくれれば、ある程度の成果は期待できると思うからな。今のままだと、こっちの森は狩り尽くしてしまいそうだからな。
出来れば、資源は残しておかないといけない。この場所から動物を駆逐するのはよろしくない。魔物は駆逐しても良いんだけど、魔物については何処からともなく現れるので、駆逐は出来ないんだよな。特に植物系の魔物については、どうやって成長しているのかが解らないので、何時何処に出てくるのかが解らない。ゴブリンやコボルトは殆ど見なくなったらしいんだけどな。
そんな感じで狩場の維持もしなければならないのだ。今のままでは北の森を狩り尽くしてしまう恐れがある。加減はしてもらいたいが、そうも言ってられないだろうからな。狩りをしなければ、肉が食べられない。まあ、多少は止めても、肉はあるんだけど、売るってなってくると話が変わってくるからな。売れるのであれば売ってしまう方が良いんだよ。
それも商人に何処まで余裕があるのかだよな。腸詰だけで良いのか。枝肉も持っていくのか。その辺は商人に話を聞いてみない事には解らないしな。肉も売れるのであれば、かなりの利益になるとは思う。それだけこの森が豊かなんだよ。野生動物も沢山居るし、その分魔物も多くいる。資源としてはかなりのものではあるんだ。有効活用していかないといけない。
「これからの計画はどうなっているの? まずは橋を掛けるんだよね?」
「そうだな。まずは橋を掛ける。これが最優先だ。水車小屋の方もまあ、橋を優先した方が良いだろうな。作業は進めるが、人員は橋の方に大きく割く。それで夏の中頃には橋が向こう岸までかかる様にする。そこから水車小屋の大歯車を取り付けてみて、良ければ金属を使って色々とするって感じになるだろうな。んで、秋の初め頃には水車小屋の改造が終わって、その10日くらい後に船着き場が出来ているってのが理想だな。天候の事もあるだろうが、天気が良ければ、そのままの予定で行くつもりだ。多少の雨ならどうにでもなるが、上流でかなりの雨が降ったら、作業はどんどんと遅れていくな。まあ、今までの様子だと、そんな事は無かったが」
「ああ、じゃあやっぱり堤防を作ろうとはしていた訳ですか。ただ、危ない時が無かったから、急いで作らないといけないって事がなくなっただけで」
「まあな。計画としてはあったんだよ。当初にな。それはどの村でも同じだとは思うが、あの時は畑最優先だったしな。木材を確保しているだけで終わってしまっていたんだよ。もっと早くに作らなきゃいけなかったんだろうが、そんな余裕が無かったわけだ。それ以外の仕事が多くてな。というか、畑の仕事をやらなきゃ、そこまでの仕事は無かったはずなんだよ。畑を維持しないといけなかったから今まで手を付けられなかっただけなんだ」
「まあ、そうなるよな。普通に考えて、こんな河川に挟まれている土地で、堤防を作らないなんておかしいなとは思っていた。最近になって、地理も勉強し始めているからな。どう考えても、この立地なら、堤防を作らないのはおかしい。余計にそう思うようになってきたんだよ」
最近は何処で狩りをしたとかの記録を作るのに、この辺の地理も勉強しているんだけど、この準男爵領は、全方向を河川に囲まれているんだ。アタライ村に向かうのに、橋を1つ渡るんだけど、それが河川に囲まれた土地への入り口なんだ。そんな場所に準男爵領があるんだよ。なんでこんな場所に作ったのかは知らない。でも、河川がある方が便利ではあるよな。……そもそも橋を作らないで、その辺に村を作れば良かったんじゃないかとは思わなくも無いんだが。もしかしたら、橋を作らなければ、ヨナターク子爵が納得しなかった可能性もあるんだけど。
「基本的には心配する様な事は無いから安心しろ。安全第一で工事は進める。そのくらいは解っているつもりだ。まあ、多少の無茶はしなければならないが。それでも多少で済むんだから問題ない。そのくらいのリスクは負うべきだ。作業効率にも関わるからな。心配しなくても橋が出来れば、一気に楽になるんだからな。俺たちにとっても悪い事じゃねえし、気にすんな」
「本当に安全第一でお願いしますよ? まずは人命が一番大事なので」
「わあってるよ。誰も死なせたりしねえからよ。だが、ちゃんと酒は用意してくれよ? その為に仕事をやるようなものなんだからな」
「ええ、それは勿論。約束はしますよ。まあ、飲みたくないと言っても飲んでもらう訳なんですが」
「もう飲めねえなんていう訳がないだろう? あればあるだけ飲むんだからな。まあ、その辺はかあちゃんと相談だな。どれだけでも飲んで良いってんなら、無限に飲めるぜ?」
……本当に無限に飲みそうだからなあ。何とも言えない。酒は幾らでも買えるって状況にしておかないといけないとは思うんだよ。流石に空瓶を持ってこさせるわけにはいかないだろうからな。荷物は必要だと思う。
そのくらいの利益が無いと、商人としても旨味がないだろうからな。利益をちゃんとあげられるようになっていないといけない。こっちが得すれば良いという訳でもないんだ。そもそも義理で来て貰っているんだから、恩は返さないといけないんだよ。




