船着き場の場所と工事計画
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春の34日。いつも通りとはいかないが、今日は川を見に来た。船が使えるのであれば、かなりいい話になる。魔道具の動力で船を走らせれば、アラゴンに1日で到着できる可能性がある。そうすれば、一気に色んな事が解決する。泊まる場所なんかも考えなくても良い。魔物に襲われる心配もない。だから、船員が何人か居れば、それで完結する事になる。
魔石に関しても、何処までの燃費になるのかは検証してみないといけないが、少なくとも100個単位で必要だと言う事は無いはずである。1回遡上するのに50個程度必要だと言うのであれば、5日に1回はいける計算にもなる。魔物の討伐は、そのくらいには順調ではあるんだよ。
しかも、何が良いって、フォーク村の横は通るが、アタライ村の横は通らない。フォーク村に居るウルリケには知られるが、オスカーには知られることはない。まあ、ウルリケも何をしに船で遡上しているのかまでは解らないだろうからな。そこは心配していない。
「この水深であれば、十分に船を使えるよな。そうなってくると、船着き場が必要になってくる訳で。水車小屋の事を考えるのであれば、あの辺に船着き場を用意すれば、結構いい線いくと思うんだがな。速度重視の船で行くにしても、小規模商隊くらいの荷物は運べるわけで。護衛も必要ないんだから、そこまで苦労はしないと思うんだけどな……」
船を動かせる人員をどうやって作るのかと言えば、それに関しては向こうの商会に管理してもらえば良いとは思う。こっちは魔石を支払って、船もこっちが購入をするが、運用は向こうにやって貰えればいいとは思うんだよ。こっちにしか来れない様な契約にしなくても、必要になった時に来れる様な契約にしておけばいい。そうすれば、向こうも下手な在庫を抱え込むことはなくなるだろうし、主導権は向こうが握ることになる。
こっちに主導権を渡すとなると、流れていく商品があるだろうからな。その商会の規模にも寄るが、商会が抱え込めないだけの商品を流せば、他の商会に商品が渡ってしまう。そうなると、今度は独占が崩れることになる。それは向こうの商会も避けたいはずだ。
商売というものは、稼げるときに、稼げるだけ、稼いでおいた方がいいんだ。それくらいは俺でも解っている。だから、利益は手放さないはずだ。
「そうなると、どの位の頻度でこちらに来てくれるのかが問題な訳なんだけど、魅力的な商品を用意すれば、自然とこっちに来なくてはいけなくなってくる。そうなれば、5日に1回程度の訪問はしてくれる可能性は十分にあり得る事だ。そういう風に誘導していけば、何とか商機はあるかもしれない」
とにかく魅力的な商品を届け続ける事で、こちらの価値を高めていくしかない。本来であれば、大規模な商隊が来れる様に、街道を整備して、宿泊場所も確保してとするのが一番いいんだが、そんな連携を取れる様な兄弟ではないからな。自分の利益を優先しそうなオスカー。こっちの利益を度外視してきそうなウルリケ。クルトはまだ解ってくれそうな気がするが……。
勝負所だとは思う。船を確保して、運用は向こうの商会にやって貰う。そして、5日に1度や10日に1度という形で、商品を取りに来る船便を確保する。それが出来れば、勝利と言っても良いだろう。俺が考えないといけないことは、この村の利益の最大化だ。その為には、そのくらいのリスクを取らないといけない気がする。
そうじゃないと、魔族が多い村で勝とうというのが無理なんだろうとは思う。父さんがどう思っているのかは知らないが、魔族だって、人間と殆ど同じなんだよ。それが貴族界でどうなっているのかは知らないし、ヨナターク子爵家が魔族を排斥している可能性だってある。
寄親の意向には逆らえないだろうし、そもそも新興貴族のうちを歓迎してくれているのかどうかも解らない。支援はしてくれているが、そもそも恩返しを出来ているのかどうかも怪しい訳で。昔は小麦を卸しているだけでも良かったんだろうが、それ以上発展が見込めないとなると、切られる可能性は十分にあり得る。
「次の商人が来た時が勝負だな。何処まで要求できるのか。そもそもこちらに商機があると伝えられるのかだ。そこで物別れになれば、それで終了だな。コンラートが6代目になることは諦めた方が良いという判断になるだろう。魔族の村で、これらの発展を見返すことが出来るのか。そこが問題になってくるんだろうな……」
「港……とまではいかないまでも、船着き場くらいは計画していることにしておかないといけないか。……そうなってくると、水車小屋の改造が遅れる。石鹸という魅力的な商品無しに、船着き場を作っても意味があるのか。そこが問題になってくるだろうな。まずは石鹸ありきで動いた方が良いだろう。だが、話しておかないと、後で話がいっても大事になるかもしれないしな」
そんな訳で、樵の人の所にやってきた。船着き場を作る計画を話しておかないと、後で出来ないって言われても困るからな。出来る様に準備をしておいてもらわないといけない。
「おう、ちっこいの。今日は何しに来たんだ?」
「ちょっと長期的なお願いになるんですけど、良いですか? 準備をしておいてもらいたくてですね」
「おう。準備な。別に良いが、今度は何を作るんだ?」
「水車小屋のちょっと上流に船着き場を作りたいんですよ」
「……船着き場? なんでまたそんなものが必要なんだ?」
「この村の製品を輸出するためですね。大量に輸出したいものが出てきたら困るので」
「っつってもな。船着き場を作るのは良いが、船はどうするんだ? 船がねえとそもそも意味をなさないだろう?」
「船はヨナターク子爵家が送って来てくれている商人から買おうかと思ってます」
「あん? それじゃあ商隊で良いんじゃないのか?」
「そういう訳にもいかなくてですね。商隊で来ると、どうしても他の村にも寄るじゃないですか。そうすると、商人を歓待しなければならない訳ですよ。この村はそんな余裕がありますが、他の村にそんな余裕があると思いますか?」
「……なるほどな。そう言う事か。まあ、それなら仕方ねえな。船着き場だな? 何時頃作りたいんだ?」
「水車小屋の改造後、直ぐにでもですね」
「それなら水車小屋の改造と一緒に作っちまうか」
「あれ? そんな余裕あります?」
「ない訳じゃないからな。水車小屋の方だって、材料は今も集めているし、そもそも加工は始めているからな。予定があるが、そもそも水車小屋ばかりに人員を割いている訳でもねえしな。やろうと思えば、並行して船着き場くらいは作ってやるさ」
おおー。それなら結構早く出来そうだな。確か商人が来るのが夏の20日から30日の間くらいのはずだ。その時に船を購入させてもらって、船着き場が秋の20日くらいには完成するのか? 並行して作るってなると、そのくらいには出来ているって事になるとは思うんだけど……。それだと秋の50日から60日に来る商人にその話を出来るな。そこから冬の間にピストン輸送をするのか、春になってからにするのかは、決めて貰えば良いからな。
こういう時に頼りになる村人が居ると助かる。船着き場ってなんですかって話からしないといけないと、面倒な所だったんだよ。知っているなら話が早い。流石は歳を食っているだけはあるな。頼りになる。こっちも裏切らない様にしないとな。お酒の仕入れくらいしか出来ないけど。それで勘弁願おうじゃないか。まあ、何とかなるならいいか。急いで作るものではあるんだけどな。




