石鹸を作る作業
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その後、油を貰って家に帰ってきた。そして、ひたすらに灰汁と油を練る作業に入った。これが辛いんだ。簡単に鹸化するとは思わない方が良い。しかも温度調整していない水だからな。もうちょっと温度が高い方が良いんだけど、そんな事はお構いなしに練る。
「これ、本当に鹸化するんだよな? そもそも水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムとでは、結果が変わってくるんだけど。……これに蜜蜂が居てくれればよかったんだが。蜜蝋を入れるだけで、難易度が全然違うんだけどな。ひたすらに練るしかないか。まあ、夕飯までは5時間くらいはある。それまでひたすら練るしかない」
練り練り。練り練り。まあ、ひたすらこれをやり続けるだけなんだよ。まあ、苦行だ。これをひたすらやり続ける。粘りが出てくるまでひたすらだ。粘りが強くなって、マヨネーズよりも硬くなって来ないと、固まらないんだ。マヨネーズくらいで止まるのであれば、水酸化カルシウムが多かったって事になるんだよ。単純に言うと、失敗である。いや、失敗ではないのか。一応石鹸にはなっているんだから。
練り練り。練り練り。水と油が反応するには時間がかかる。その間、色んな事を考えられるとは思うんだけど、考える余力がない。腕が痛いって言う思考が頭の中を駆け回るからな。これで余裕だと言えたら、どれだけ良かったか。苦行だ。耐えるしかない。
そんな訳で混ぜ続けていた。最終的には何とかマヨネーズよりは硬くなったんだけど、それまでには4時間半程度混ぜていた。マジで苦行なんだよなあ。でも、実験だから。やらなければならなかった。これで何とかなるんだけど、問題がある。型をどうしようかな。……とりあえず、布でいいか。それで固まるのを待とう。布も貰って来ないとな。台所に行くか。
貰ってきました。多少綺麗な布。それになるべく成型していく。まあ、木枠か何かが必要になるんだろうけど、とりあえずはこれでいいんだ。これで寝かせて完成だ。……まあ、材料はまだあるんだけど、今日は無理だ。明日以降も頑張ろう。最低でも材料が無くなるまではこのままだ。これからも苦行をしなければならない。
で、夕飯を食べて、またいつもの会議だ。いつも通りに今日の報告をしていく。俺の方では、空瓶問題を何とか出来る方策を見つけてきた。まあ、偶然ではあるんだけど。酒は消費するんだし、空瓶を作るにはもってこいだからな。
「なるほど……。お酒か。盲点だったね」
「お酒であれば、飲めばいいだけですし、その後ちゃんと洗えば、使えますわね」
「うん。そう思うんだよ。樵さんと鍛冶屋さんが飲みたそうにしてたからね。そういう人が結構いるんじゃないかとは思うんだ。お酒は好きな人が多いんじゃないかって」
「確かに。好きな人は多いと思う。……それなら商人さんにも損をさせないで済むかな。お酒を卸しに来るっていう口実が出来るからね」
「ですわね。良い口実だと思いますわ」
「うん。それと、水車小屋の改造もお願いしてきたのと、銅で蒸留器を作って欲しいってお願いもしてきたんだけど、良かったかな?」
「水車小屋の改造と、蒸留器? まあ、別に良いけど、何に使うんだい?」
「とりあえず、今は試作段階なので、何とも言えないんですけど、石鹸を作ってます」
「石鹸!?」
「あれ? カタリーナ姉さん、急にどうしたの? 珍しいね」
「コンラートは知りませんの? 石鹸ですわよ?」
「いや、知らないかな。石鹸って何なの?」
「石鹸は手や顔、身体を洗うためのものです。アグネス母さまも1つ隠し持っていますわ」
「それがどうかしたの?」
「石鹸は、かなりの高級品なのよ。それこそ、ジャムなんか目じゃないくらいには」
「それを、アーミンが作ったのかい?」
「いえ、まだ出来ている訳ではないです。その、まだ固めている段階なので」
「それじゃあ石鹸自体は出来たのかい?」
「石鹸として使う事は出来ますけど、まだ完成とは言えないですね」
「そういえば、油を貰ってくると言っていましたわね。石鹸は油から?」
「そうです。油から作りました。でも、作るのが面倒なので、水車小屋を改造して、大量生産しようかなって思っています」
「石鹸を大量生産……。コンラート、販路を拡大した方がいいわよ。石鹸となれば売れるわ。それも貴族相手に。生産量はどの位を予定していますの?」
「具体的には何も、ですね。ですが、大量に作ろうとなると、オリーブが大量に必要になります」
「……これは、オリーブも育てないと駄目ね。明日、冒険者の真似事をしている班と樵に命じます。早急にオリーブとベリー系統を育てる場所が必要になりますわね」
「急ぐのは賛成だけど、石鹸はまだ作れないんだからね? アーミン、水車小屋の改造ってどの位までかかるんだい?」
「えっと、予定は秋の10日です。まずは燻製小屋から作って貰うので、その後になります」
「カタリーナ姉さん、それまでは我慢ね。作れないことはないらしいけど、大量には無理らしいから。まあ、殆どは売り物になるんだろうけど」
「……仕方がありませんわね。ですが、必ず成功させるのですよ?」
「アーミン、頑張ってね」
「えっと、任せてください?」
まあ、石鹸が高く売れそうなのは良い事だ。でも、村でも使ってもらうからね? 基本的には衛生状態をマシにするために作るんだし。まあ、輸出しても余るとは思うから良いけど。大切に使われるよりも、消耗品として使って欲しいからな。
「まあ、それもなんだけど、4班が蜂の巣を見つけたって言っていたよ。だから、急いで蜂の巣箱を作って貰わないといけないんだよね」
「本当ですか!?」
「ああ、本当だよ。明日は弓矢の試射会だから、その時に頼もうと思っていたんだ。これで蜂蜜も採れるでしょ? 蜂蜜も砂糖程じゃないけど、高いものだからね」
「それ以上に、蜜蝋があれば助かりますね。石鹸を作るのに、必須という訳ではないんですが、あると固まりやすくなるので」
「そうなのかい? まあ、石鹸はアーミンに任せるからさ。上手に使ってあげて。……でも、蜜を採るのは、来年の春ごろになるのかな。越冬させないといけないだろうし」
「そうですね。越冬させてから蜂蜜を採った方が良いとは思います」
「空き瓶問題も片付きそうですし、今日は実りのある事が多かったわね」
「本当にね。僕もアーミンみたいに出歩いてみないといけないかな?」
「流石にそれは駄目ですわね。村長としての仕事もありますから。そう言った事は、私やアーミンに任せなさいな」
「そうですよ。文書なんかは俺には解らないですし、コンラート兄さんが抜けるのは不味いんじゃないですか?」
「そうかな。直接寄与する事を出来ればなとは思うんだけどね」
「書類仕事も立派なお仕事ですわ。しっかりなさいな」
「仕方がないかな。カタリーナ姉さんとアーミンに任せる形になって悪いね」
それは仕方がないんじゃないかな。書類仕事は大切なんだから。基本的には書類の適性が無ければ、貴族になんてならない方が良いんだよ。少なくとも俺は無理だ。定型文の会話すら危うい。何かしらの取引で、大きな商会とやり取りするだけでも大変だと思う訳だ。
そんな面倒な事はしたくない。やりたくない。内政を頑張っていた方がマシだな。やれることは多くないけど、何とかして貧乏からは脱出しなきゃ。目指せ3食昼寝付き。2食はひもじいよ。ちゃんと3食食べようよ。そう言いたい。昼ごはんが食べたいな。極貧生活をしているのが貴族っておかしいだろ? 上はちゃんと食べて、下を引き上げていかないとさ。




