温室作りを始めます
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
秋の42日。コンラートの演説は大成功を納めたといってもいい。しかし、それはそれでいい事ではあるんだが、俺のハードルが上がってしまった。俺も似たような演説が出来ないと、恰好が悪いと言う事になってしまう。コンラートの演説は、住民の心を掴んだんだ。世の中の評価的にはどうなのかは解らない。だが、聞いていた住民の心を掴んだのであれば、上出来だと言わざるを得ない。どれだけ酷評されたとしても、それは他人の評価である。受け取った人たちの評価が良ければ、演説は成功なのだ。外野がとやかく言う事ではない。まあ、外野がやいのやいの言う事なんて当たり前なんだがな。それはただの嫉妬だから。嫉妬でぐちぐち言っているだけなのだ。
演説の賛否は、聞いていた人たちに響くかどうか。それが問題なんだよ。どれだけ素晴らしい演説でも、聞いた人が何の感動も示さなければ意味がない。美しい演説が、素晴らしいものだというのは間違えているんだよ。泥臭くても、真に心に迫った演説の勝利である。俺はそう思う。
まあ、将来的には俺も演説をしなければならないというのは置いておくとしてだ。今からは、温室作りに入らなければならない。既に準備はしてもらっているんだけど、それの最終決定をしなければならないんだよ。
「なあ、ちっこいの。これはいいんだがよ。流石に無理じゃねえか? いくらなんでもな? 本気でこんなことをやるのか?」
「当然ですね。勿論やりますとも。温室が出来れば、年中ベリーやカカオが取れることになるかもしれないんですよ? 既に魔道具は作り終わっているんですから、後は温室を作るだけなんですよ。それには、日光を通さないといけないので、壁は全て和紙で作ります。雨や雪に弱いので、蜜蝋でコーティングして、雨と雪に強くします。それだけの準備は整っているんですよ。失敗しても問題なしです。失敗したら、今まで通りってなるだけなんですから。だから失敗しても構わないんですよ。ですが、温室を作れたら、成果は出てくれると思っているんです。気温の問題だと思っているので。それで、これだけの準備をしてもらったんですよ。作るのが早過ぎれば、収穫が面倒になるだけですからね。失敗しても撤去すればいいだけなんですから、気楽にいきましょう」
「本当にやるんだな……。まあ、薄い和紙が日光を通してくれるってのは解る。多少は薄暗くなるんだろうけどな。それで、魔道具で中を温めて、夏の様にするってか。出来なくはないだろうが、本当にそんな事で実が生るのか?」
「解りません。でも、可能性はあります。気温の問題であれば、これで解決できます。気温の問題以外であれば、何も変わらないだけですので。まあ、単価の高いクイーンベリーとカカオだけでの実験になりますけどね。もしも上手くいくようであれば、オリーブも追加した方が良いかなとは思うんですけど、今でもオリーブって大量に余っているんですよね。油にするにしても、まだ必要ない感じですからね。とりあえずは、クイーンベリーとカカオです。これが量産できれば、収入に困らなくなるんですから。駄目で元々。試すだけの価値はあります」
まあ、簡単である。まずは温室の枠組みを作る。これは木材で作る。……金属では、流石に勿体ないので、木材で作るのだ。わざわざ屋根をドーム型にする必要も無し。三角屋根でいいんだよ。その分、ちょっと高く作るんだけど、その辺は問題なし。で、組み終わったら、そこの壁に板ではなくて、和紙を貼っていく。この日のために、薄く作った和紙に、蜜蝋をコーティングするという、非情に面倒な作業もやって貰ったんだ。蜜蝋も、薄くコーティングしないと、日光を通さないので、その辺は結構気を使ったんだよ。まあ、出来ないことはないだろうと言う事を信じて、何とかした次第である。……これのせいで、若干、村の名前を伝えるのが遅くなったのは言うまでもない。俺の中ではこっちが本命だったのだ。村の名前の大演説は、本当は予定に無かったことなんだよな。コンラートには悪いが。だって、あんなに大演説をかますなんて思っていなかったんだ。
という訳で、早速作業をしてもらう。既に組み立てれば大丈夫なようになっているからな。穴を掘って、寸分の狂いなく、設置してもらえればいいのである。和紙には限りがあるからな。和紙にはそんなにストックがない訳ではないんだが、蜜蝋の方が問題なんだよ。採れる量が決まっているからな。そんなに大量には取れない。元々は、石鹸が固まらなかった時の為に用意したものではあるんだけど、固まったので問題なしだ。こっちに使った方が有意義である。そもそも蜜蝋なんてそこまでの使い道は無いんだよ。精々蝋燭くらいなものだからな。
「じゃあ、後はお願いしますね。和紙を貼り付ける時は、慎重に行ってくださいよ? ただでさえ破れやすいんですから。薄い紙って簡単に破れるんですからね? 前の日にはちゃんとお酒も抜いてくださいよ?」
「お前は俺のかーちゃんか! まあ、慎重にやれってのは解っているんだよ。そもそも板じゃねえからな。登れねえ。しかも柱に触っても破りかねねえ。面倒な依頼だが、まあ、やってやるよ。出来ない事でもやりゃあ何とかなるかもしれねえからな。無理なものは無理って言うが、現実的に可能かどうかは置いておくとして、作れって言われたら、まあ、出来なくもない」
「その辺は信用しているので大丈夫ですね。これでクイーンベリーとカカオが年中取れるとなると、貿易にお酒が使わなくなる可能性がありますからね。そうすれば、別の用途にも使えますし、飲んだっていいんですよ。冬の貿易品の確保の為です。何とかしてくださいね?」
「酒がかかっているんなら仕方ねえな。形にはしてやるよ。ただ、中でベリーとカカオが育つ保証はねえからな? そんな事は誰もしたことがねえんだからよ。まあ、やれって言われているからやるが、俺は半信半疑だ。本当にそんな事が出来るのかってな。今までも無茶な要求をされてはきたが、無理だとは思わなかったからな。だが、本気でこんなことが出来るのかってのは、思うぞ。出来なくても泣くんじゃねえぞ?」
「泣きませんよ。がっくりはしますけど。そもそも本気で出来るのかどうかは解らないですからね。普通なら出来るとは思うんですけど、グロドツギの森は普通じゃないですからね……。普通じゃない所に、普通のものを持ってきても、意味があるのかってのは、やってみない事には解らないんですよ。だから、盛大に失敗しても仕方がないとは思っています」
「……俺にとっては、これも十分普通の事じゃないとは思うんだがな? まあ、そんな事はいいか。何とかしてやるから、成功はさせてくれよな。そうじゃなきゃ、作った意味がなくなるからよ。出来る限りで良い。成功させてくれ。まあ、作ってみりゃあ解ることではあるがな」
「そうですね。作ってみない事には何とも解らない訳ですよ。だから、何とかしてほしい訳です。そこからは、俺が考えるので。無理なら無理で、別の方法を考えるだけですからね」
無理なら無理で仕方がない。出来ることをやってみるだけなんだ。成功すれば儲けもの程度の感覚でいいんだよ。絶対に成功する、とは思わない。可能性があるってだけなんだよな。そもそもが特殊環境なんだ。特殊環境の上書きというか、足し算は出来るのかって話な訳で。足し算が出来ると、色々と出来ることが増えるかもしれない。そんな実験なんだよ。




