泣き柄
これは私が実際に体験した話です。そんな物語のような出会いを小説にしました。
"死にたかった"死ぬしかないと思っていた。生きる意味も見つからず、何をするにも無気力、まるで"亡骸"のようで生きる意味なんて一つもなかった。悔しかった、こんな自分が嫌だった。そんな僕の人生に一筋の光が差し込んできた。それが君だった。
そんな、"死にたがり"の僕と僕を照らした太陽の話だ。
僕は望まれて生まれたわけではなかった。物心ついた時には親は家にはおらず祖父母の家で育てられた。親はクズだった。父親は不倫、母親は話が通じず夢も希望もすべて打ち砕かれた。悔しくて仕方なかった。毎日死にたいと思っていた。何度も死のうとした。でも死ねなかった、怖かった、生きてたらいいことがあるのかも、神にでもすがるつもりだった。でもそんなことが訪れることはなかった。
「はぁ、何のため生きてきたんだろ」
15歳の時ゲームで知り合った人にこんな言葉を投げつけてしまった。その人と遊ぶのは初めてだったからまずいやってしまったと思っていたらその人は元気よく声をかけてくれた。
「私と出会うためだよ!私は君と出会うために生まれてきたって思うもん!」
冗談交じりに言う彼女は元気な人だった。だが彼女の声はきれいで透き通っていて今にも消えてしまうんじゃないかと思うほどだった。その声に何度励まされただろう。今までの苦労がすべて報われた気がして、気づいたら涙が溢れてきてずっと泣いてしまった。そんな僕に彼女はずっと優しく声をかけてくれた。
「大丈夫、大丈夫だよ」
彼女の元気な言葉とやさしさに生まれて初めて認められた気がした。これが僕と彼女の出会いだった。彼女は僕の味方だった。唯一の味方だった。辛いとき悲しいとき死んでしまいたくなった時ずっとそばで支えてくれた。正直うれしかった、初めてだった、生まれてきてよかったんだって思えて、僕の世界にどんどん色がついていった。彼女は世界の美しさを僕に教えてくれたんだ。彼女と過ごした日々はつらく暗い過去を忘れさせてくれた。それから僕は彼女とよく遊ぶようになった。半年がたったころだろうか、僕は気づけば彼女を"好き"になっていた。人間は弱っているところに優しくされるとすぐ惚れてしまう、僕はこの理論は信じていなかったが、いざ自分がその立場になると自分でもびっくりするほどこの理論は正しいと実感してしまった。彼女と話す度幸せでずっと話していたい、そう感じる日々だった。彼女と過ごす日々は楽しく儚いものだった。僕はこの時間を大事に紡いでいこうと思った。
僕は彼女と"一緒に生きてみたくなっていた"
「ずっと一緒に生きていたいな、、」
あ、しまったと思った、思っていたことが口に出てしまった、
「なにそれww漫画のセリフみたいw」
恥ずかしくて死にそうだった、でも
「ダサいwでも君らしくてうれしいよ」
彼女は笑わずにそういった。こっ恥ずかしくてそのときは必死に冗談だとごまかしてしまった。なぜか僕もうれしくなって一日中にやけるのが止まらなかった。このころ彼女の変化に気づいていればこの先の運命は変わっていたのかもしれない。
もう悔やんでも遅いのに、、、、、、
彼女と出会ってから時間の流れはとても速く感じた。もうどのくらいたっただろう、彼女の声がいつもと違うことに気づいた、心配になり聞いたら大丈夫の一点張り、彼女は強い人だから大丈夫だろうこの考えがだめだったのかもしれない。なぜだろう彼女の声はきれいで透き通っていたがとても力強かった。そんな彼女の力強い声の弱り方になぜ早く気づけなかったんだろう。このころの能転気で自分のことしか考えていなかった自分にずっといら立ちを感じている。
彼女と出会って約1年がたった。彼女の性格が変わった。突然厳しく冷たくなり始めたのだ。僕は何か良くないことをしてしまったのか不安になり彼女に機嫌を取ろうとしていた。ずっと彼女の喜ぶような話をしたり面白い話をしたり、この時は自分はよくやってると思ってしまっていた。それが間違いだった。彼女から連絡がきた、彼女から連絡が来ることが少なくなっていたのでうれしかった。しかしその内容は僕の想定していたものなんかじゃなかった。
「もう連絡してこないで」
「え、、?」
自分でも驚くするほど情けない声が出た。理由がわからなかった、悲しかった、心にぽっかり穴が開き、どうすればいいのかもわからずずっと泣いていた。何度も死のうと思った。でも彼女が色を付けてくれた世界をみると生きてみたいと思ってしまう。そんな僕だから、もしかしたらまた彼女が僕に振り向いてくれるかもしれない。そんな浅はかな考えを信じるしかなかったのかもしれない。
そんなことなんて起こるはずないのに、、、、
何日たっただろう、僕はずっと泣き続けて時間なんて忘れていた。このころの僕はあの頃に戻ったようでまるで本当の"亡骸"みたいだったかもしれない。そんな"亡骸"をたたき起こしたのは部屋に響いた彼女からの着信だった。彼女から連絡がきたそう思った。ベットから飛び起き、電話に出てみると彼女の親だった。
「もしもし!〇〇!大丈夫!?」
「もしもし、すいません〇〇の母です。」
焦って出てしまい恥ずかしかったのを覚えている
「あ、すいません××です、何か御用ですか?」
「はい、ずっと〇〇と仲良くしてくれていた人ですか?」
「はい、そうです、嫌われちゃったみたいですけどねw」
僕は悲しさを紛らわせるために笑いながらそう言った
「嫌われてはいませんでしたよ、ずっとあなたのことを大切に思っていました」
「え、いませんでしたって?いま〇〇は!?〇〇はどうなっているんですか!?」
なぜか嫌な胸騒ぎがして、彼女の親に強い口調で聞いてしまった
「〇〇は心臓病でなくなりました、最後にあなたの名前とちゃんと生きてねそう言い残して」
「え、、、なん、、ていい、、ましたか??、、彼女が、しんだ?嘘ですよね、冗談にしては質が悪すぎますって、ねえなんか言ってくださいよ!なんで何も言わないんですか!!!」
非常にも彼女の親から帰ってきたのは沈黙とすすり泣く音だけだった。
何分経っただろう、その沈黙を切り裂くように彼女の親が口を開いた
「〇〇の日記が残っています、送るので読んであげてくれませんか、、?」
「日記、、、?はい、、、わかりました」
よくわからず生返事を返した、死んだという実感がわいていなかったのかもしれない。でも、それでも彼女が残した日記が気になってしょうがなかった。彼女の親に住所を伝え日記が届くのを待った、、、、、、、
数日後日記が届いた。日記はところどころ書かれておりすべて埋まっているわけではなかった。まずは1ページを読むことにした。
5月13日
「今日は優しいけど死にたがりな子と出会った!なぜか放っておけなくて何時間も相談に乗ってしまった笑私の大切な時間だぞ~!!見返り期待しとこ~笑」
彼女らしいな、、、日記の節々の彼女を感じた。
7月6日
「今日もあの子と遊んだ!!なんかほっとけない!もしかして好きなのかな?、、、、、いや!そんなわけない!!」
一筋の水滴が僕の頬をなでた
10月30日
「今日もあの子と遊んだ~やっぱり好きなんだと思う、やっと気づいた!!!私はあの子と幸せになりたい!!」
水滴があふれてきて、前が見えなくなってやっと気づいた、それが僕自身の涙だと、
11月26日
「なんか重たい病気にかかったらしい!!大丈夫!絶対治るって先生言ってるもん!!早く治して××といっぱいゲームするんだ~!!」
自分の不意外なさや、彼女の気持ちと病気に早く気づいてあげれなかった鈍感さ、すべてが憎い
1月6日
「今日はあの子の誕生日!!私までうれしくなっちゃっていっぱい祝っちゃった!!ずっと生きててほしいな!でも体調悪いのばれちゃったかな?気を付けないと!」
なんで相談してくれないんだよ、唇をかみしめていたら血の味がじんわりと口の中に広がった
3月14日
「余命宣告された、治るんだよね?苦しいよ、、まだまだ××とやりたいこと、したいこといっぱいあるのにひどいよ、なんで、神様ひどいよ、××には迷惑かけたくない、そうだ!嫌われればいいんだ!私が嫌われて××が悲しまないようにしたい!それが私のお願いだ!!」
日記の字がどんどん薄れていき涙で滲んでいた。彼女の"泣き柄"は驚くほど容易に想像できた。やっと実感がわいてきた、彼女はもうこの世にいないんだ、
僕はもう耐えられなかった、言葉にならない嗚咽が部屋に響いている。。。。。。
そして力が入らない中、泣きながら頑張って書いたであろう涙でにじんだ最後のページが出てきた。
××へのお願い
私もう死ぬみたい、今までひどいこと言ってごめんね、連絡ずっとうれしかったよ、嫌いになんてなってないよ、ずっと大好きだよ、でも私はあなたと一緒に生きられないみたい、ごめんね、でも頑張って生きてほしい私はあなたが生きていてくれていることを願っています。
でもわがままを言ってもいいなら、、、、、、、、、、、
わがままなんかじゃない、いつも人のことを考えて、自分のことは後回しで、優しい君が僕もずっと好きだった、大好きだった、この思いを伝えられずに君はいなくなってしまった、不甲斐なくてごめんなさいこんな僕でごめんなさい。
でもこんな僕でもわがままを言っていいなら
私は
僕も
「「"あなたと一緒に生きてみたかった"」」




