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さみしさ
隕石は
夜のベールをつらぬいて
春の深きに
ほのおを這わす
にわかにいろづく
花の、その根や
ゆびのからまりや
くちびるのやわらかさに
やどっている
とうめいなほのお
まちの黒塗り
そこぬけの夜と自転車
ねこたちの寝息
ほのおはあつく
しかしすべてを焼かない
(ほのおはあつく
しかし骨をのこすから)
いのちの体温は
知らぬまに
この手をすりぬけて
春のみゃくみゃくとした熱に
とりのこされている
わたしのからだ
さみしさは
ふれられるもの
つめたい肌に
やどっている