13 ルーヴァス様とお茶会
「ルーヴァス様、王宮での自由をありがとうございます」
「アルティナ? ああそうか、さっそく王宮内を探索でもしているのか?」
「ええ、そうです。これもルーヴァス様のおかげです。そうだ、ルーヴァス様はこれから休憩ですよね? だったら私とお茶でもいかがですか?」
「そう言えば腹が減ってきたな。ではそうするか」
廊下で見張ること二時間ほど。
ルーヴァス様との邂逅は意外と早くやって来た。そしてルーヴァス様とのお茶会ゲット。
ルーヴァス様が自分のところの侍女に依頼してくれた場所は、執務室から一番近い中庭だった。
「アルティナはずっと部屋に閉じ込められていたからな。外の空気を吸いたいのではないかと思ってここにしたんだが」
「ありがとうございます。もう幸せすぎます」
ルーヴァス様と一緒で!
「それはよかった。他にも美しい庭園がいくつかあるから、そっちも見て回るといい。ビアンカが案内してくれるだろう」
ルーヴァス様が少し離れた場所で待機しているビアンカに目を向けた。それはとても優しい眼差しだ。
ずきんっ
ビアンカの方はルーヴァス様のことを、何とも思っていないって言ったけど、ルーヴァス様がビアンカを想っていたらどうしよう。
そんなことを悩んでいると、ルーヴァス様は私の目の前で、用意された軽食に手を付けたかと思うとあっという間に平らげていく。
「あれ、ビアンカじゃなくて食べ物の方に気持ちが移ってる?」
「何か言ったか?」
「いいえ、何でもありません」
もしかして、ビアンカ<私の香りなのかしら?
もしそうならルーヴァス様が空腹の時が狙い目ね。
でも念のため――。
「ルーヴァス様はどんな女性がタイプですか」
「忙しすぎて、あまり考えたことがないな」
「では今まで好きになった方はどんな人ですか」
そうだな、と呟きながらルーヴァス様は少し考える。
「芯の強い信念を持っている女性だ」
「そうなんですか」
それはやっぱりビアンカのことなんだろう。
侯爵家に産まれながら騎士を目指して、最終的には近衛騎士までになったビアンカ。
私は剣なんて持ったことがないけど、そんな私でも並大抵のことではないことくらいは知っている。
ペルセダン人は強力な爪を持っているけど、それだけで飛竜と対峙できるのはルーヴァス様以外にはそれほどいないそうだから、騎士や兵士はカカルシアと同じで剣術を習うのが普通らしい。
ビアンカは幼いころから剣を握っていたそうだ。
芯の強い信念を持っている女性そのものではないだろうか。
「それは見た目は関係ないんですよね」
「容姿のことか? 今まで気になった女性に一貫性はないな」
「よっしっ」
思わずガッツポーズをとってしまった。だってビアンカのような体形が好きだと言われたら、私は肉体改造するしかない。
魔女を探さなければいけないところだった。
「アルティナ……」
そんな私を見ているルーヴァス様の呆れた瞳は、先ほどビアンカを見ていた時とはかなり違うけど、気がつかなかったことにしておこう。




