《「〔[{(《箱庭》)}]〕」》
目に見えているものが真実だとは限りませんよね。
あなたの存在を証明できるのはあなたしかいません。
メアリー。誕生日おめでとう。何が欲しいか言ってごらん?父のフレディは娘のメアリーをハグしてそう言った。
あのね、パパ。私、《箱庭》が欲しいの!周りの子たちはみーんな持ってるのよ?私にも買って!いいでしょう?パパ!と、メアリーは愛嬌たっぷりに《箱庭》を要求した。
そうか、メアリーはもう10歳だもんな。よし分かった。買ってやろう!と、フレディは快諾した。そう言うのは予想済みだったのだ。
※《箱庭》とは……仮想シミュレーションゲームの通称名である。誰でも簡単に自分の好きな《箱庭》を作ることができる自由度の高さからこの時全世界で爆発的な流行となっていた。
メアリー、ちゃんと説明書を読んでルールを守って《箱庭》で遊ぶんだぞ?パパと約束できるかな?
もちろんよ!優しいパパ!と、メアリーはこぼれそうな笑顔でフレディに抱きつく
そうね、主人公はスティーブにしましょ!彼は・・・10歳!私と同い歳のちょっぴり恥ずかしがり屋の男の子。どうかしら?パパ?
いいんじゃないか?メアリー、お前の世界だ。お前の好きなようにしなさい。
そうよね!スティーブはきっと幸せな人生を送るわ。きっとそうに違いないわよ!
そうだ!ボーイフレンドのマイクに私の《箱庭》を見せにいってもいいかしら?
あぁ。好きになさい。夕飯までには帰ってくるんだぞ?いいかい?
はーい!と、元気よく走っていくメアリー。
(なんてのはどうかな?アンナ)
(トム、それは少し具体的すぎないかしら?《箱庭》は大雑把に設定する方が世界がその流れに沿って進んでいくから不具合が起きづらいらしいわよ?)
(確かに君の言う通りだな。主人公は10歳の少女、メアリーでボーイフレンドがマイク。初期設定はそんなもんでやめておこうか。そして時間の速度を1000倍にセットしてっと。)
(ふふ。1週間後が楽しみね?大体《箱庭》の世界だと20年後くらいね。大人になったメアリーとマイクはどうなっているのかしら)
{果タシテコンナ実験ニ意味ガアルノダロウカ}
{ソレハ我々ニハ理解デキマイ}
{タダ我々ハ《箱庭》カラ実験データヲ採取スル、ソレダケ}
{イツ終ワルノダロウカ。気ガ狂イソウダ}
[つまんねーゲームだなこれ!宇宙人が実験するだけとか!誰がおもしれーと思うんだよ!パパ!こんなゲームいらない!]
[そう言わないでくれよ!ジョン!《箱庭》は結構いい値段するんだぞ?]
〔生命の倫理を守れ!人種差別反対!自然を守ろう!平和な世界にしよう!小説家になろう!〕
「ねぇパパ?この《箱庭》にも名前を付けたの!
「へぇ。なんていう名前だい?」
「それはね!《地球》!箱なのに球にしてみたの!シャレが効いてると思わない?」
「ハッハッハッ!さすが我が娘だ!それで?主人公はなんていう名前なんだい?」
「主人公はね……」
《あなたかもしれませんね》